カテゴリ:ある女の話:サキ
今日の日記(今日はドキドキ保護者会☆)
サキ5(出会い) 普通、自分の付き合ってる彼が女友達と会うことになった場合、 大概の女の子なら、会わないで、とか、 行ったら嫌だな…とか、 もっとカワイイこと言うのかもしれないな。 でも、私がいっしょに行かないなら彼女とは会わないって言うカズユキの言葉に、 私は全く喜べなかった。 普通なら、自分を選んでくれた!って喜ぶものなのかもしれないのに。 そして、きっぱり2人きりで会うのをやめようとしなかったカズユキに、 私を連れて行っても、行かなくても、彼女とこれからも付き合って行くつもりなんだろう… と、ガッカリしている自分がいる。 私がいなければ、あの2人はもしかしたら、友情から恋人の仲へ発展したのかもしれない。 そう思うと、 私の心は、あれからモヤモヤしっぱなしだった。 みんなでバーベキューに行く車の中で上の空の私に、 ミサコちゃんとずっとしゃべっていた山川さんが私にも話しかけた。 「サキちゃんは、大学一年生だっけ?」 「そうですよ。山川さんの2つ下です。」 山川さん情報はミサコちゃんから時々聞いている。 私がずっとミサコちゃんと山川さんの話に適当に相槌を打ってたから、 気を使ってくれたのかもしれない。 優しい人なんじゃない? ミサコちゃんは、なかなか見る目があると思う。 友達が言うには、私は黙ってると不機嫌に見えるらしい。 気をつけないと。 「じゃあ、赤木と同じ歳なんだ?」 山川さんが助手席から後ろの私たちと運転手を見て言う。 「え?そうなの?」 私は、ちょっとビックリしてしまった。 口調から山川さんより年下だろうとは思っていたけど、 「放っておいて下さい」ってオーラを出しているような近付きがたいところが、 何となく同じ歳に思えなかったからだ。 私の反応に山川さんは満足そうに笑った。 運転している赤木くんは無口で無愛想だった。 「そうだね。」 赤木くんは私が同じ歳だってわかったからなのか、 私の驚きの問いに素っ気無いタメ語で答えた。 無口でクール。 女の子たちが陰で騒ぐタイプ。 彼がいる私には関係無いんだけどね。 フリーなら職場に一人いたら嬉しいかも。 正直、このバーベキューに彼が参加してるとは思わなかった。 「サキちゃんは、彼氏いるの?」 山川さんが、さっきミサコちゃんに聞いたことを私にも聞いてくる。 山川さんもミサコちゃんと同じ、ズバリ聞いてくるタイプなんだな~って思った。 「いますよ。」 「いるんだ~?何歳?大学生とか?」 「社会人です。」 私はありのままを正直に答えた。 「平日は、空いてるから来たんだよね~」 ミサコちゃんが助け舟を出す。 だから浮気モノとかじゃ無いんですよ、って、さりげなく言ってくれてる。 ミサコちゃん、私、協力するからね! 私は心の中でそうつぶやいた。 「赤木は彼女と別れたんだっけ?」 「痛いこといきなりいいますね。」 山川さんは、たいしたことじゃ無いよって感じで、あははって笑った。 「だから休んでた大学に行くことにしたんだろ~?」 「…山川さん、事故ってもイイですか?」 赤木くんが軽く蛇行運転をした。 山川さんは、バカ!やめろ!ごめん!悪かった!って慌てて言って、 そんな山川さんの様子に赤木くんが満足そうにククって笑う表情が、 バックミラーから見えた。 そうか、フリーターじゃないんだ? 同性には気さくな人なのかもしれない。 私は赤木くんのことをそう思った。 頭の中からカズユキが消えてたことに、 その時は全く気付いていなかった。 (続く) 前の話を読む 目次 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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