カテゴリ:ある女の話:サキ
今日の日記
(週末新ドラマ「タンブリング」「怪物くん」「チェイス~国税査察官~」「新参者」感想☆) 昨日の日記 (映画「のだめカンタービレ(前編)」の感想☆) サキ15(本音はどこへ) 女物であろう傘を見て迷う。 まるで心理テストやクイズ番組みたいに。 A.この傘誰の?って聞いてみる B.見なかったことにする とりあえず傘からサッと目を背け、 Bを選んで前の景色を見る。 カズユキは気付いて無い。 でも、頭の中はAにしようかBにしようかずっと考えている。 さあ、どっち? さあ、どっち? Bでいいの?ファイナルアンサー? 車はカズユキのアパートの前に着いた。 降りて部屋の前まで来る。 「あのさ…」 「ん?」 カズユキは鍵で部屋を開けた。 「うわっ!暑っ!」 急いで中に入ってクーラーを入れている。 私は玄関でその様子を見ている。 「どしたの?何で入らない?」 「ああ…うん…」 カズユキは冷蔵庫を開けてビールを出した。 「あ~、うまっ!」 車だったから飲むのを我慢してたらしい。 私は、とりあえずベッドに座った。 「どした?」 「うん…あの…傘さ…」 「え?傘? あ!ああ~! ヨシザワの。こないだ送ったから。」 ずっと迷って、ようやく言った言葉に、 カズユキは、何てこと無いように言う。 「何?そんなの気にしてたの? サキって、ヤキモチ焼きだな。」 私は、そうかな?って思う。 フツーは、気にしないものなのかな? 私がヤキモチ焼きな女なのかな? カズユキはテレビをつけて服を脱いで、Tシャツとパンツだけになった。 そしてビールを飲みながら、テレビを見て、あははって笑ってる。 私の気持ちなんて、 きっとどーでもイイんだろうな。 それに、もうビールを飲んだってことは、 私を送る気なんて無いってことだよね。 何だか腹がたってきた。 「やっぱり今日は帰るね。」 「え?何で?」 「終電なくなっちゃうし。寮の門限に間に合わないし。」 「泊まればいいじゃん。」 「…」 「怒ってんの?ヨシザワ送ったこと?」 「怒って無いけど」 「怒ってんじゃん。」 「そうじゃ無くて… 言い訳とか説明とか、どうしてこっちが聞かなくても言ってくれないの? 何でこっちがいつも聞かないといけなくて、 どうして責める形になっちゃうの? だから何だか疑ってるみたいになっちゃうのに。 それがホントに嫌なのに。」 カズユキは私の言葉を私の顔をじっと見て聞いていた。 それから、ようやく聞き終わったかのような間を置いて言葉を出した。 「ああ… うん…何て言うかさ…」 ああもう! 歯切れ悪いっ! 何かホントに腹が立ってきた。 「だってほら…、別にさ、友達だしさ。 傘忘れてったなんて思ってなかったんだよ。ホント。 ホント何でも無いし。」 カズユキは残念そうな顔をして言った。 信じてもらえてないんだ? って顔。 そんな顔をされると何も言えなくなる。 「うん… うん、わかった。」 何でも無いんだろうけど… それは、わかってるんだけど… 「うん… ホント、なんでも無いから…。」 カズユキはつぶやくように言って、またテレビを見始めた。 何もなかったかのような空気を作ってるような気がするので、 私は仕方なく、隣にちょっと間を開けて座った。 その距離が私とカズユキの距離のように感じる。 さっき飲み会で赤木くんと隣同士だった時と同じ距離なのに…。 赤木くんなら… 彼女とケンカした時にどうするのかな? さっきみたいに手を繋いでくれる? 私の左手が、 何だか淋しそうに見えた。 (続く) 前の話を読む 目次 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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