「防ぐべき事故防げなかった」東電、福島第1原発事故で改革報告書
2013.3.29 22:37
記者会見する米原子力規制委員会のデール・クライン元委員長(右)=29日午後、東京・内幸町の東京電力本店
東京電力は29日、福島第1原発事故について「天災と片付けてはならず、防ぐべき事故を防げなかった」と原因を総括した上で、経営陣直轄の専門部署を設けるなど原子力部門改革の最終報告書をまとめた。東電は改革の実行で、柏崎刈羽原発(新潟県)の再稼働につなげたい考えだが、社会の理解を得られるかは不透明だ。
報告書は昨年9月から、広瀬直己社長を長とする約30人の作業チームが作成。米原子力規制委員会(NRC)のデール・クライン元委員長ら東電内外の5人の有識者でつくる「原子力改革監視委員会」がこの日了承した。
クライン氏は会見で「これは長い道のりの始まりだ。日本は原子力の安全を担保することができる。エネルギーの選択肢としてそれを使うことは必要だと思う」と述べた。
報告書では事故原因について、「設計段階から地震や津波で設備が故障するという配慮が足りず、全電源喪失という過酷な状況を招いた」と言及。「海外の安全性強化策などを収集・分析する努力が不足していた。結果、炉心溶融し、広域に大量の放射性物質を放出させる深刻な事故を引き起こした」とまとめた。
さらに東電の組織に内在する問題点も指摘。「過酷事故の発生を経営リスクととらえず、安全性を高めていく活動を重要な経営課題として明示していなかった」として、対策を先送りする「負の連鎖」が定着していたことを認めた。
こうした課題に取り組むため、東電は取締役会直轄の「原子力安全監視室」を置くなど6つの対策を示した。
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