memo

東日本大地震で被災した子供たちに
児童書や絵本を送ろうというプロジェクトがあることを知って
私の持っている絵本を出してきました。

阪神淡路大震災をテーマに書かれたものがいくつかあります。
そのうちの一つ。


【送料無料】1000の風1000のチェロ

作者の、いせひでこさんは
「グレイが待ってるから」で知った作家です。
シベリアンハスキーのグレイとの日々は
当時私もコーギーたちと過ごしていたこともあって
親しみを感じていたものです。

その後、この絵本で
いせさんがチェロを弾いていらっしゃることを知りました。

私も、学生時代に第二専攻でチェロと作曲を学び
卒業後は市民オーケストラでチェロを弾いていました。

だから、この絵本を読むと
いつも泣きたくなります。

「みんな　じぶんのかげをだいているようにみえた。
　たいせつなじぶんのぶんしんを」

　
　　　（「1000の風　1000のチェロ」より）




「チェロを弾く時は恋人を包み込むように」
初めてのレッスンで先生がおっしゃったことば。

チェロは、人の声に一番近い楽器と言われます。
音域が人間の男女の声域を全部だせるから。
ピアノにはできない抑揚もつけられるから。


物語の中で、震災で自分の楽器を失った老人が
震災で亡くなった友人のチェロを弾いています。

ヴァイオリンをはじめ、弦楽器は何百年も弾き継がれていくもの。
その楽器を失った方もいらっしゃるのではないだろうか。

今は、私のチェロは眠ったままです。

愛着のある楽器だし、
既に修理したものではあるものの
傷もあるしで
手放すことは考えていなかったのだけど
「たいせつなじぶんのぶんしん」を亡くした方があるのなら…




絵本を久しぶりに読んで思い出しました。


修理に出している間、弾くことのできなかったチェロ。
運悪く、オーケストラ仲間とのバーベキュー大会に重なって
みんなで興に任せて合奏を始めるにぎやかさの中で
自分の楽器の無い寂しさに心が凍りつくようでした。

もしも、チェロに限らず楽器を失った方があったら
「被災者を励ます音楽会」はさらなる心の傷になるのだろうなぁ。
自分の体験から、そう思います。
もちろん、そうでない人には明るい励ましになるでしょうが。


音楽は、奏でることも心をいやすために必要なこと。


今は生きることで精いっぱいでも

近い将来、

弾く喜びが

音楽を愛するすべての人々に戻りますように。





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