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カテゴリ:墨田区
本所吾妻橋について、何事かを語ろうとしたのですが、何一つ言葉が浮かんできません。都心部の全てとまでは言わぬまでも、そこそこ歩いていると自負するぼくにとっては、大概の場所が何らかの記憶と結び付けてそれなりには思い出話に耽ってみせるという低級なやり方もできるのですが、それが本所吾妻橋にはないのです。というか二十三区で言うと世田谷区と近しい位に墨田区には縁がなかったのです。せいぜい錦糸町の楽天地で映画を見に通った程度です。そんな身に覚えのない土地ならばさぞ楽しかろうと言えなくもないのですが、未踏の地を楽しむ程度ほどには知らぬ土地ではないのです。というか、実のところこの界隈は、結構歩き回っているし、バスで通ってもいるから、新味には乏しいのです。ところがそんな思い込みが大概過ちであることを身に染みて分かっているのだけど、新味に乏しいと思っている場所に改めて行こうと思うのはなかなか困難な振舞いなのであります。未知の経験をしたいと思っているぼくにとっては、知り尽くしはいない町よりは、全く訪れたことのない町の方がより確実かつ安全に未知なるものと遭遇できるということです。なので本所吾妻橋のような場所を訪れるのには、よほど魅力的な酒場の存在を教わったといったような情報を得た場合か仕事の都合で好むと好まざるとに関わらず行かざるを得ない場合位しかないのであって、今回は後者の理由で訪れることにしたのです。って回りくどい割には内容のない文章をまた残すことになってしまうのだなあ。
でも町中華マニアならぬ酒場マニアも泣いて喜ぶに違いないかぐわしいオーラを放つ「宝来軒」に遭遇することもあるのだから、気乗りしない町への出張もたまにはいいものであります。それなりに散策していたはずなのになあ、町が碁盤上で見通しが良すぎてあらゆる道を踏破したような気持にさせられるんだよねえという言葉を吐きたくもなるけれど、それがいかにも言い訳じみてカッコ悪いことこの上ない。ともあれ勇んで店に入ってみると外観のハードさにはかなり劣るもののちゃんと落ち着くなあと思える内装なのでありました(近頃横着になって見せの様子を描写するのが面倒になっています)。カウンター席ではすでに呑んでるお二人さん。女性一人でやっておられるのだなあ。定番の餃子にビールなんかを注文します。丁寧に作られた、普通だけど他所のものよりちょっと美味しい餃子です。店の雰囲気に流されての好意的な感想になっているのかもしれません。でももう一品のレバ焼きですけど、これがいいのだ。ニラレバでもなく単に濃い目のタレで焼き付けただけというのが酒のアテにはちょうど具合がいいのです。でもこれでごはんはちょっと違うかもしれません。レバニラはごはんにも相性がいいからどちらがいいとか悪いとかじゃないのだ。どっちもいいけど、この店のビールのお供にはレバ焼きこそがお似合いなのです。夕暮れ時に急ぎ足で帰宅する人々を眺めながら過ごす幸福なひと時についつい長居したくなるのでした。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2024/06/16 08:30:12 AM
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