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カテゴリ:神奈川県
さて,すっかり存在感をなくしているA氏ですがまだまだ一緒に行動しています。実際おっさん二人で一日行動を共にしてあんまり親しげにしているのも見た目にはよろしくないものですし,お喋りなぼくでもそれほど盛り上げるほどの話題もないのでした。それに,A氏はどちらかというと寡黙なほうで,この日交わした会話も実際のところあまり印象にないのでした。まあぼくもしょうもないことばかり喋っているので,どっちもどっちですけど。いずれにせよさすがに夜も更けてきてはさらに会話もなくなりつつあります。そんな状況でもまだ次の駅を目指すのでした。
辿り着いたのは,尻手駅です。この日通過した駅でもとりわけ寂しいうらびれた駅前風景ですが,それなのにもっとも惹かれたのが尻手駅名のはやはりこの駅前が場末感をもっとも漂わせているからでしょうか。そんな駅の改札を出て真ん前にあるのが「新川屋酒店」です。酒屋さんの店舗の脇にちゃんと立飲みコーナーを設けているのがすばらしい。大阪ではよく見掛けるスタイルでありますが,都内でここまでしっかりと立ち呑み屋然とした構えで営業しているのはあまり見掛けません。都内の角打ちと言えば店舗と地続きの片隅で―実際は多くが店舗の真っただ中にビールケースが置かれているだけだったりすることも多い―,酒屋さんそのまんまの環境の中で呑むということが非常に多いケースですが,ここはしっかりと立ち呑み屋になっているのでした。当然,こうした店なので乾き物に缶詰しかないなんてことはなくて,手造りの肴も豊富に用意されています。頼んだぬか漬けはよく使ってるよとのご主人の言葉をあまり気にもせず注文してみたら,これが恐ろしく酸っぱい,ではなくてしょっぱいのでした。いや~,ぼくも東北で何年も生活してどえらくしょっぺえ漬物やら干物なんかを食べてきましたが,このぬか漬けのしょっぱさは飛びぬけていました。ここは日本酒といきたいところですが,せっかく復活した体調を壊してはどうにもならぬのでウーロンハイで我慢します。A氏はこのしょっぱさには耐えられなかったようで,1枚手を付けただけ。これはお茶漬けなんかに入れればおいしくいただけそうです。ともかくこれだけのいい雰囲気なのでお客さんも多く,大満足のお店でした。 ここで突如A氏がギブアップ宣言。ぼくはまだ1,2軒は巡りたいので駅の裏手の呑み屋街に写ります。よさそうなお店が並びますが,スナックっぽい店も多いので無難でかつ渋い佇まいの「一平」にお邪魔することにしました。カウンター席とテーブル席のごくありきたりの造りのお店ですが,年季を積んだ味わいがしっかりと感じ取れます。オヤジさんとその奥さんらしき方も気軽にしゃべりかけるというタイプではありませんがほんのり暖かい雰囲気です。ほとんどの席が塞がっています。カウンター席は独り客ばかりですが,遅れて入ったぼくはその輪に入り込むことなく黙々と呑むことにしました。お通しのまぐろの山掛けに焼鳥がなかなかけっこうな味です。相変わらずのウーロンハイをちびりちびり呑むこの日初めての孤独でありながらまったく寂しさを感じない満ち足りた時間を過ごすことができました。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2014/04/17 08:36:02 AM
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