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カテゴリ:中部地方(北陸・東山・東海)
あんなに気に入ったのであれば、ずっとそこで呑み明かせばいいのにと思わぬでもありませんが、根っから飽きっぽいためやはり一軒に留まるのはそこそこに次なる酒場を目指すのでした。
ちゃんと次のお目当ても昼間の散策時に決めてありました。「かわしま」の程近くにある「やきとり 鳥正(とりせい)」です。店そのものの味わいや年季の入り方では「かわしま」に一歩二歩劣るとはいえ、周りの風景との馴染み方やぽつねんと佇むその寂寥感の深みではこちらに軍配を上げたいと思います。店内に入るとコンパクトながらもカウンターやテーブル席の配置の妙で、多様な表情が楽しめます。柱や仕切板で狭さを逆手に取ったこれ以外の座席配置はないのではないかと思わせられます。こちらもお客の入りは今ひとつで結局店を出るまで一人の客も訪れることのないのは残念なことです。ここも上田らしく焼鳥には美味タレを掛けていただくのですが、先程のように客自らが好みに味付けするやり方ではなく、むっつり押し黙った店主にお任せするやり方らしく、上田流でもいくつかのスタイルがあるようです。 「花巻」は、上田らしい猥雑さの中心にあってつい立ち寄りたくなります。ここは外観の正統派の居酒屋然とした佇まいとは大いに印象が違って、入り口を入るとすぐにあるのはスナック風のかうんたーがある薄暗いスペース、その奥はいかにもな純クラシックな和風居酒屋が広がっていて、地元の常連で繁盛しています。われわれが通されたのは、喜ぶべきか憂うべきかスナックスペースでした。ここは居酒屋とスナックの二毛作店なのですね。都内ではまず見掛けないお店で、地方の温泉宿のような合理性は、目新しく感じられます。でも、カウンターに人が不在とあっては格別面白みも、取り柄も見いだせぬのでした。主人のいないスナックにおっさん二人は放り出されたまんまやたらとでかいホッケを持て余して、ぼんやりするしかないのでした。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2014/10/13 08:36:23 AM
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