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カテゴリ:世田谷区
今年も早いものでいつの間にやら師走を目前にしてしまってしまいました。あれこれやり残したことの多い一年をそのままに終えることになりそうなのですが、とりわけぐずぐずといつまでもふさがらない傷口のように爪先で弄んては完治を遠ざけるようにすることで、記憶の片隅に仕舞い込まないようにしている一軒の喫茶店があります。その喫茶店があるのは東急の世田谷線沿線の駅、駒沢大学駅から10分ほどの場所にあります。でもとりあえずは、駒沢公園を抜けてこちらもまた何度か空振りしている老舗喫茶を訪れることにしました。
駒沢公園に面するほぼ住宅街の様相を見せる通りに「喫茶 芝生」はあります。一見して古いお店であることが察せられ、駅から近くはない場所にあるため、あまり面白くもない通りを歩くのは憂鬱でもありますが、なんとしてもなかを覗いてみたい、一杯の珈琲を店の歴史を感じつつ味わい尽くしたいという一念のみでひたすら歩を進めます。何度目かトライで到達した当のお店はこの日は無事営業していました。カウンターはどこかしらスナックらしさが感じられるものの、それ以外は紛うことなき純喫茶の佇まいで、それも正統的な純度の高めであることにひとまず大満足します。大きくやけに健康的な人々の溢れる、散歩したくなるような魅力にかけるーあくまで私的な感想ーのそばに、こうした暗くてどこかしら怪しげで不健康な印象すら漂わす喫茶店の存在することに安堵すら感じます。 もう一軒の空振りを続ける喫茶店は同じ通りをひたすら北上することになります。何度目かの同じルートを飽きもせずーウソ、もうウンザリですー、首都高の渋谷線を見上げつつ突っ切り、さらにまだまだ直進します。うっかり回り道をすると袋小路やたんに遠回りになるだけなのは、すでに経験しています。 さてようやく目当ての店が見えてきました。「アポロ(APOLLO)」です。ここのことを書きたいと思ったのはまたもや入ることができなかったからです。こちらのお店は未だ現役なのでしょうか? ご存知の方がおられるなら是非ともお聞かせ願いたいと思ったのです。店内にはそうお年を召したわけでもなさそうな女性の姿もあります。無作法ながら覗き込んだ店内も渋くて味わいがあり、しかし充分現役でも耐えうる輝きが感じられます。すぐ先にはこちらも負けず劣らす古めかしいパン屋さん「Syogetsu Pan」があり、立ち寄りたくなる誘惑に駆られますが、この二軒は是非ともセットで楽しみたいものといつも通り涙を呑んで見送ることにするのでした。 そんな場合に。「カフェ プティ フォンティーヌ」に立ち寄るのもお決まりになってしまいました。上品で可憐なお店で、まさに高級住宅街のカフェにふさわしいお店で、美味しいコーヒーを上品に味わいたいならお勧めします。 せっかくなのでもうちょっと、「LARE(ラルー)」は、洋菓子屋さん併設の喫茶店、装飾は抑え目ですが古びていながらもお客さんのたくさん出入りする明るく賑やかなお店です。 もう少し時間を潰すと呑みにも程よい時間となりました。三軒茶屋に向かうことにしましょうか。のんびり歩いていると環七にぶつかり、そういえば環七に面して、良さそうな喫茶店があるということを思い出しました。しばらく南下するとありますあります。期待通りの古い喫茶店、「カフェ・ド・ラ・メール」です。若干散らかっているのが惜しい気もしますが、紛れもない硬質な印象の純喫茶です。ところがお客さんもいない店内は寂しいくらいで、こうした古い喫茶店て独りぼっちはとっくに慣れっこのつもりでしたが、妙に人恋しくなります。急激に酒を呑みたくなり、しかも誰か愉快に呑める相手が欲しくなり、ふと思い立ち三茶在住の知人と急遽約束を交わしたのでした。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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