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カテゴリ:東北地方
喫茶篇は実はまだ続いてしまうのですが酒場篇はこれにて完了です。時系列が乱れてしまいますがもともとが酔っ払いブログなのでそんなに問題はないでしょう。昨日の喫茶篇で書いたとおり、矢板駅で今回の旅の締めくくりの生命線である仙台から東京までの切符を運良く回収できたものの次の列車までしばし間が空いてしまいます。もしかするとこのために切符紛失という愚かな事態を引き起こしたのかもしれぬと、精一杯の言い訳を自らに言い聞かせながら駅前食堂を目指すのでした。
その店名は「文化食堂」です。写真でもお分かりの通りなかなかに風格のある立派な建物の食堂です。本調子のぼくであったならこんなトラブルがなくとも迷わず入っていたはずですが、今ひとつ意欲に欠いているようです。期待に胸踊らせるべきでしょうが、胸の高鳴りは一向に高くなる気配がありません。ぼくは初心で擦れていない感情をとっくになくしてしまったのでしょうか、だとしたらこ酒場巡りなどという不健康の極みの趣味など放棄すべき時期が迫っているのかもしれません。ちっともときめき出す気配もなく戸を開けてみて、その理由を悟ったのでした。外観の素敵さに比して店内には、あまり魅力がなかったのでした。広い土間の造りは古い食堂であることを示してはいますが、かつて程の客が見込めなくなったからでしょうか、店の調度は最低限の数量に留まり、それはそれで構わぬとしても使い込まれた風が少しも感じられぬ味気のないものだったのです。それでもやけに値の張るビールを孤独な気分で啜りながら、食事の受け出しに使われていた今ではとんと見かけなくなった厨房との仕切窓越しに店の方が調理する姿を眺め見たり、足元で物干しげに餌をねだっているらしき猫を冷やかしたり、店の奥から覗かれる中庭に時折差し込む日の光に訳もなく感動してみたりするうちにやはり立ち寄っておいて間違いではなかったなと感じるのでした。 次に氏家駅、小金井駅と下車しましたが、それは喫茶店に立ち寄っただけで、酒場はなしなのでその話は喫茶篇に譲るとして、話は間々田駅の酒場になります。目当ての喫茶店が空振りで、時間はそろそろ夕暮れ時なので酒場が恋しくなってきました。けれどこの駅の周辺には酒場どころか商店すらほとんど見当たりません。時間もまだ5時にはなっておらず次の駅に移ろうかと考えていたところなんのことはない駅からすぐの裏通りに何だかちょっと微妙な雰囲気の、でもグルメ系からは程遠いこのブログ向きの古ぼけた酒場があったのでした。微妙なというのは看板に書かれた女将さんの絵の不気味さではなくて、こうした酒場どころか娯楽施設の少ない駅前のお店にあっては、酒場が酒場としての役割では済まされず最低限カラオケスナックとしての機能も担っているに違いなかろうという予感があったのでした。それでも思い切って入ってみたら周辺の社交場であるのは予想に違わぬのでありましたが、カラオケが鳴り響くことは最後までありませんでした。どうということもない古いし酒場で女将さんが時折必要最低限の会話をしてくるだけで、他の客たちはこちらのことには無関心を装い続けてくれます。この1日、早朝からほとんど一言も初することなく過ごしたので声がつっかえるか、掠れてしまうかしそうだったので、気楽に1人勝手気ままに呑めたのは却って良かったのでした。「酒処 おとめ」です。女将さんは不気味な看板の絵と似ていますが不気味な方ではありませんでしたのでご安心してお出掛けください。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2015/06/01 08:54:21 AM
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