と言ってもー標題からの続きー、御茶ノ水という町は昼呑みを希求する者の要望にすんなりと答えてくれる町ではないのであります。そりゃ、単に呑めさえすればそれで満足できるのであれば苦労はない。駅前には飲食店が立ち並び、そのいずれに飛び込んでもそりゃまあ単に呑むことは少しも難しくもなかろうと思われるのです。でも昼飯時で付近の勤め人たちがわれ先にと空席を求め歩き、下手を打った人なんかはランチ難民と化してうつろな目付きでコンビニに甘んじたりもするのだから、少なくとも混雑した店は昼酒をかまそうとする無頼の徒は昼酒難民と化してうつろな表情で町を彷徨うのでありました。
やがて観念して「とんかつ かつ家」というそれなりに年季のある構えのお店で手打ちすることにしたのです。お茶の水から坂を下り切った辺りに飲食店が固まっていて、その一軒が行き着いた店です。貼り紙を見るととんかつ屋さんとしては、お手頃そうなのも選択の理由です。東京のカルチェラタンとか呼ばれて学生街として名を馳せるお茶の水ではありますが、実際には往来するのは学生より勤め人が目立つオフィス街でもあります。カウンター席には、学生らしき姿はなくて皆がみなスーツ姿なのでした。奥にテーブル席があるようなので、学生たちは奥でゆっくりと休み時間を過ごすつもりなのかもしれません。若い頃はとかく群れたがるものですからね。いずれそう遠くない将来に無駄口ばかり叩いて無為に時間を浪費したことを懐かしむか後悔するかは、まだ思いの至らぬのでしょう。さて、目の前にはランチが届きました。ハンバーグに鶏の唐揚、串カツにコロッケとあれこれ食べたいぼくには楽しいラインナップです。ランチ時なので単品をお願いするのを躊躇ってしまいましたが、ここは単品にしておくべきだった。ご飯は無論食べ切れるぐらいには胃の収容力はありますが、結果たらふくとなってしまいました。カウンターの端っこに大量の千切りキャベツがあって、これは追加しても良さそうです。自宅では千切りキャベツで酒を呑むくらい好きなので、ご飯がなければ間違いなく手を伸ばしたはず。串カツ屋が起源らしき千切ったー漢字変換して気付きましたがせんぎりもちぎるも同じ綴りなんですね、それぞれの調理過程による仕上がりは全く別物なのにーキャベツ、ぼくはあまり好きではないのであります。あれを無理やり食べさせようとするのは是非やめていただきたい。町場の酒場でも千切りでなく千切りキャベツをツマミにしてくれないかなあ。