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カテゴリ:板橋区
とある夜、巣鴨駅に降り立ちぶらぶら歩いているうちに板橋駅まで来てしまう。こういうことがたびたびあります。それも必ずしも早い時間帯ではなく、それなりの時間、例えば8時とか9時を回ってからのことだったりするから、ホントに仕事をしているのかとよく言われます。この夜もまた巣鴨駅を出て、ぶらぶらと歩きだすとこれといった酒場もなくてやはりだらだらと―そういう割には明らかに他の人たちよりもずっと早足で―夜の道をひたすら進むのでした。そこには漠然とした目的地があって、それは都電の庚申塚電停なのでありまして、すぐそばには「庚申酒場」があるわけです。高齢のばあさんが独りでやっているので、運がよくないと入れない。というか9時位から2時間程度店を開けるだけと伺ったような気もする。だけれど万が一、早めの時間帯にやっていないかとついつい足が向かってしまいます。この夜は引き戸も開け放たれ、明かりも煌々と灯っているのに人影がない。ベッドは店舗脇の小部屋に移っているから店を開けてまた寝ちゃったようでもなさそうです。まあここは諦めて先に進むことにしましょうか。 というようなことで板橋まで到達するのがお決まりのパターンとなっています。板橋の呑み屋街の入口に「中国料理 仙華」という暗さを備えた渋いお店があったので入ってみることにします。外観を裏切らぬ渋い佇まいの店内です。家族連れがいました。そのお子さんは店の方とご学友のようで、店の奥さんと楽しげに会話を交わしています。お母さんは電話で交渉ごとに熱心で、時折餃子の残りをちらちら確認しながら、ビールをグイと呑み干しながらなかなか勇ましい姿です。そんな様子を横目で眺めながら呑む酒も悪くありません。というか、ここの回鍋肉なかなかおいしいじゃないですか。日頃言ってることとは矛盾しまくりですが、ぼくだって旨いものが出てきて嫌なはずもない。かと言ってわざわざ板橋まで電車に乗ったり、延々巣鴨駅から歩いたりするほどではないところが、庶民派グルメの限界でありますが、だからこそ地元の人たちがそっと大事に見守り続けているのだろうし、余所者が常連たちの席を奪うことも避けられているのだと思います。だったらこんなブログでこそこそ広めるのはどんなものかなというジレンマもあるのですが、まあご覧になっていただける方も限られているので良しとしましょう。 踏切を越えてしばらく歩いていくと一見すると飲食店らしい華やいだところの少しも感じられぬ「じんやうどん」というお店がありました。そっと店内を覗き込むとうわあみんなキープしたボトルで呑んでるじゃない。こういう言い方は悪いけれど出鱈目なところが板橋らしさというと、これまた板橋区民のみなさんに失礼だろうか。でも板橋では喫茶店や弁当屋、惣菜屋なんかでもで酒を呑ますのだからうどん屋でうどんを食う人が独りもいなくても驚くようなことではないのかもしれない。くねくねとした変形カウンターに席が10席ほどで、孤独な人に最適な奥まった席で呑むのも良し、隣り合った同士で語らうのも良し―たった一言の失言で激しい口論が始まったけれど、他の誰も気にも掛けぬのがさすがです―、まさに板橋の酒場としか形容の仕様がありません。肴はレンジでチンしただけだったりするけれど、冷めたチゲ鍋を温め直してくれたりなかなか親切な女将さんでありました。ここを根城にすることはぼくにはまずなさそうですが、それでも酒場はここと決めているお客さんがいるようで、過去の家出話などで自慢し合う男女やさっきの喧嘩を眺めながらもほのぼのした気分になるのでした。あっ、書き忘れるところでしたがちゃんとうどんもあるみたいなので、うどんマニアの方もぜひどうぞ。味の保障はできかねますが。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2017/04/25 08:30:05 AM
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