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カテゴリ:練馬区
江古田という町には少しも思い入れはありません。映画は好きだったから―多分今でも未練はある―映画を大学の課程に取り入れたという意味で、日芸にも最低限のシンパシーは感じるけれど、映画作りを志す者の大概が映画にさして興味がないらしいのですね。日芸の映画学科出身の知人が何人かいるのですが、本当に映画が好きで好きで仕方がないというのは一人しか知らぬのです。ほとんどが功名心とか立身出世とかいうチンケな野心を満たさんがために映画を志すものだから上手くいきようもないのです。とにかく浴びんばかりに映画漬けの暗い青春を通り抜けた者だけが映画を志して欲しいのです。押井守という人はそういう時代を経てきた方らしい。黒沢清や青山真治、塩田明彦などの立教大学出身の蓮実重彦門下生たちもそうなのだろう。しかしまあ映画の教養がこれっぱかしもない奴が映画監督を標榜し、その果てトンデモない傑作など作ったりする事もあるのだから映画とは不思議なものであります。と話しはいくらでも脱線するのだけれど云いたいのはこの町にはぼくの知る限りにおいて映画館がないのだ。映画館のない、いや今それが無いことをとやかく述べても虚しいだけです。せめてぼくの生きてきた時間に映画館があった、そんな場所で映画を志す人はそれを学んでもらいたいのであります。今や映画の門外漢がとやかく言うのも下品ですし、何より長くなりそうなので、ぼちぼち本題に入ります。
まずはさほどそそられぬ「やきとり 鳥笑」にお邪魔することにしました。お邪魔した理由は早い時間から営業しているという一事があったからに過ぎません。だからということではないけれど、余り語るべきことはないのです。基本的にはテイクアウトを主力としたお店のようで、それなりの広さのある厨房スペースに比べて、立ち呑みコーナーはかなりの狭さです。貧乏性のせいか狭いのって基本的に好きでありますが、それは独りの場合に限られます。定年後に独り身だったとしたら四畳半のワンルームマンション―なんだったら三畳でも構わない―に住みたいとすら思うのです。それでも2口コンロ付のキッチンに風呂・トイレ、洗濯機の設置場所は必須、狭くてもいいから人が生活できる最低限の設備は欲しいのであります。ドラえもんの秘密道具にでんでんハウスというのがあったけれど、あれには憧れたなあ。でもこの立ち呑みでは独りという訳にはいかなかったのです。3人組のおっさんが関西弁でけたたましく騒ぎ立てるものだからいたたまれないのだ。でも立ち呑みはそれが嫌ならさっと呑んで食ってで勘定さえ済ませればいいのだからその点は楽ちんであります。ちなみに焼鳥はなんか変わり種をいただいたけれどまるで記憶にないのでありました。 続いては、またもや「立ち飲み居酒屋 ドラム缶 江古田店」であります。「ドラム缶」もわざわざ目立たぬかつてのマーケット裏に店を出すのだから、ホントに場末主義が徹底しているなあ。まだ他にお客さんもなくて、店の片隅でやけに楽しげに独り遊びしているのは店主の息子さんらしい。こういう独りで遊べる子供たちがきっと将来も独りで呑み歩くようになるのだろうなあ。店主は高円寺だったかな、まあ本当はそっちで店を出したかったのだけれど、結局は江古田に落ち着いた辺り、この立ち呑み屋に相応しい落ち着きどころだったのだろうなあ、なんて茶化していたのだけれど、暖簾分けを宣伝するチラシを眺めると、 株式会社ドラムカンパニー 所在地 〒100-0011 東京都千代田区内幸町1-1-1 帝国ホテルタワー15階 なんて記されているではないか。今、HPを眺めてみると大阪や神戸は分かるけれど、松山や岐阜にまで暖簾分けのエリアが拡大しているとは驚きであります。そうなるとどこかの立呑みチェーン同様に町をダメにする存在となりかねぬという懸念が膨らむのです。しかも場末に店を出していて、そこが均一的な町並みになっていくと思うとぞっとするのであります。でもまあパンの耳のチーズ掛けなんていうジャンクさの権化のような商品が出されている限りは温かく見守っていきたいと思うのであります。今思うと、このパン耳にどうしてカレーを添えなかったのか残念な気持ちになります。それを肴に呑むまでは壮健であられんことを祈らずにおれぬのです。
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Last updated
2018/11/08 08:30:10 AM
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