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カテゴリ:酒場
さて、またも群馬県であります。群馬県と個別の町に抱くアンビバレントな思いについては、前回たらたらと記しました。そして、じっくり時間を掛けて町を巡りたいなどと書きはしたけれど、群馬の町を他の都道府県と差別化しうる何かがあるのだろうか、それがないならあえて訪れる価値があるのかと問われると答えに窮してしまうのであります。無論、自分が行きたい場所に気の向くままに出掛けられるのならそんな名所旧跡など不要かもしれぬけれど、かつては余り抱くことのなかった観光への興味が近頃芽生えてきたものだから、せっかく訪れるとしたらその町にしかない風物に触れてみたり、名産を食べたりもしてみたいのであります。
温泉地にも興味はあるけれど、国際的に名声を馳せる草津温泉を筆頭に伊香保温泉、水上温泉、四万温泉、万座温泉などビッグネームがそろい踏みであるけれど、これは老後の楽しみにとっておくべきだろうと思うのです。谷川岳や赤城山などの名峰もあるけれど、アウトドアとはそりの合わぬぼくには不向きです。だったら観光はどうなのかというと世界遺産でもある富岡製糸場とその関連施設などを除くとじっくりと巡るまでのものは少ないように思うのです。群馬の旅は何度かこのブログでも報告していますが、比較的に知られた観光はこの程度になるのではないかと思うのです。 となると俄然興味の中心は食へと向かうことになるのですが、ひもかわ、水沢うどん、おっきりこみ、高崎パスタ、ジャガイモ焼きそば、太田焼きそば(ペヤングソースやきそばのまるか食品株式会社の本社も伊勢崎にあります)といった粉物が中心で、鳥めし、ソースカツ丼なども知られるけれどこれも飯物だったりするからそうそうハシゴする訳にはいかぬのであります。特産にはキャベツやコンニャク、下仁田ねぎなどがありますが、物流の発達した現在、あえて訪れるまでもなく都内でも入手は容易だったりするからハテ、それでは何のために訪れる意味があるのかという事実に行き着くのであります。 それじゃあ流行りの聖地巡りでもしてみようかと思ったら、おやおやウィキペディアの群馬県の項目に<a href="https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%BE%A4%E9%A6%AC%E7%9C%8C%E3%82%92%E8%88%9E%E5%8F%B0%E3%81%A8%E3%81%97%E3%81%9F%E4%BD%9C%E5%93%81%E4%B8%80%E8%A6%A7">群馬県を舞台とした作品一覧</a>というのがありますねえ。そうそう成瀬巳喜男の『浮雲』(1955)には伊香保温泉が重要な舞台となっていますが、これは中古智の見事な美術装置によるものだからこれは群馬の映画とは言いにくい。そうだ、今井正監督の『ここに泉あり』(1955)がそれこそ群馬交響楽団の創設をめぐるドラマとして群馬を代表する映画と言えるかもしれぬ。って以前、この映画とも関わりの深い喫茶店にもお邪魔しているのでありました。漫画では『銭ゲバ』(1970)がリストアップされていますが、「銭のためならなんでもするズラ」ってどうも方言の語法として誤りらしいし、主人公蒲郡風太郎の出身地も松本らしいから群馬との関りは薄そうです。群馬の桐生の風景を忠実にそして克明に描いたものとして『惡の華』(2009)―『血の轍』(2017)も群馬を舞台としているようですが、余り印象にありません―が思い浮かぶけれど、この陰惨な成長譚を思い描きつつ旅するのは夜の酒場巡りに繋げると憂鬱さをスパイスとしてそれはそれでありかもしれないななどと思うのでした。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2020/05/20 08:30:05 AM
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