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カテゴリ:豊島区
7月の下旬だったと思います。たまたま池袋のジュンク堂で所用を済ませてびっくりガード前をウロウロしていたら、このブログにもたびたび姿を見せるO氏と遭遇しました。こうした遭遇ってたまにあるけれど、実はそれってかなり凄い事なんじゃないかな。というのも例えば特定の映画館でしか上映されない映画があったとしたら、同じく映画鑑賞を趣味とする者たちが道端で出会ったとしてもそう驚くべきことではないでしょう。しかしO氏との共通の趣味には映画鑑賞があったけれど、それは今は昔のこと。だから昔は池袋だってどこでだってしじゅう遭遇していました。でも今の共通項は酒場巡り位です。酒場巡りのお目当てエリアとして池袋が急激に魅力を失いつつある現在では、O氏とぼくがバッタリと出くわす機会など極めて珍しいものすごく確率的に低い出来事だったのではないでしょうか。とまあそんな驚きをもって顔を合わせたわけですが、そこで彼の口から語られたことはそうした偶然をも凌駕する驚きをぼくにもたらしたのです。というのがぼくが今の池袋で唯一気に入って通っている酒場がなんと8月一杯をもって閉業するというのであります。なんたる無慈悲なことよ。
典型的な路地裏酒場の「炭火焼 おとみ」は池袋にあって大変に貴重なものであります。この記事がアップされた時点で残すところ3日となりますが、また訪れる機会はあるのだろうか。この夜、ようやく念願かなってかねてから約束していた呑みを終えて帰宅の途に就いていたいたのですが、ふと?み足りなさと同時にこちらの閉業のことが脳裏に浮上してきたのでした。そうなるとやむにやまれぬ気持ちとなってすっかりいい時間になってしまったけれど、立ち寄ることを即決したのです。ほぼいつもの如くお客の姿はありませんでした。閉業までのカウントダウンとなった店内で一人佇む店主の気持ちはぼくなどに計り知れるものではありません。とんでもない悲しみや寂しさを噛み締めておられたと思うのです。炭はおこしていないから焼鳥はフライパンで焼くしかできないと断りがありますが、無論それで全然かまわないのです。今後のわずかな営業日は炭火ではなくフライパンで焼かれることになるのでそこを気にする方はご注意いただきたい。さて、ぼくがこちらにお邪魔する時は大概いつだって気が滅入っているのです。なので、これまでご主人とはそう何度も言葉を交わしてはいなかったのです。でもこの夜は違いましたね。これまでの無言で過ごしてきたことがウソのように、そして喋り損ねてしまった過去を取り戻すかのように実によくお喋りしました。話題は二転三転しましたが、もっとも時間を割いたのが近隣の酒場や飲食店事情です。特に5年前に突如として店を畳んだ某もつ焼店については、近頃になってやはりこれまた唐突に改装を始めたことなどを語り合いましたが、双方ともに行く末を知る訳でもないのに長々と推論を交わし合いました。ちなみに近隣ではそこがこちらの酒場より少し前に開業されたそうです。さらに古参のお店であった「キッチン 南海」については、先頃ステーキハウス「ビリー・ザ・キッド」として生まれ変わったことを嘆き合いました。といった具合にご主人は当のご自身の酒場を閉業するというのに至って平静でありましたが、この程度の関係性では内心までは窺い知ることは叶いません。できればもう一度だけでも訪れることができればいいなあなんて思いつつ、これで池袋で呑むこともさらに少なくなるのだなあと寂しく思うのでした。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2022/08/29 08:30:07 AM
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