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カテゴリ:家呑み
若い頃は丼物を好んで食べました。ぼくにだって当然若い頃はあったわけで、その当時は食べることに時間を費やすのがとてももったいなく感じられたのです。いつからとはここに記すことは憚られますが、食べることに時間を掛けるようになったのは酒を呑み始めてからのことです。でも今のように酒場でぼんやりと何を考えるでもなく時間を過ごすtいうことはまずなかったのです。飲食している最中にも読書をしたり、映画(映画館ではまず見ることのできないような映画はテレビやビデオで見ることはやむなしとしていました)を見たり、その気力がない時はテレビを見たりしてとにかく飲食という行為はそれ単独で行使されるものではなかったのです。きっと多くの人にとって時間だけは持て余すほどあると思っていた時代にあくせく余裕なく過ごしてしまうもので、残りの人生をある程度見極めて初めてゆとりある時間を送れるようになるんでしょうね。ぼくはまだそこへの移行途上にあるということのようです。ともあれぼくの学生時代にの丼物っていうのは、かつ丼とか親子丼といった立派な名称を付けられるようなシロモノではなかったもので、冷蔵庫の余り物の古い漬物や豆腐だったりもやし炒めなどなんだってよかったわけで、ごはんの上に味気のあるものが乗ってさえいればそれで十分なご馳走であり、酒の肴になったのです。日本の安価な食べ物の代表である牛丼ですらぼくには滅多に口にすることのできない贅沢品だったわけで、今でも丼物で酒を呑むことは変わらずとも少なくともそれなりの料理名を持った丼物が食べられるようになっただけでもぼくにとっては大いに幸福なことなのです。
和歌山という関西地方でも場末のような土地で7年ほど暮らしたことがあります。当時、口にしたことはなかったけれど、関西人が丼物が好きらしいことは何となく感じていました。今こうして調べてみるとなるほど、日本各地に丼物はありますが、関西に独自のものが少なくないようだから子供の頃の見立てはそうは間違いではなかったようです。京都には衣笠丼というのがあるようです。そのネーミングの由来は食材を眺めていて何となく想像が付くから敢えて調べることはしません。それにしても地味な料理だけどこれが本当に美味しいのかねえ。 ![]() 【材料】 油揚げ(油抜き/横半分/1.5cm幅) 1/2枚/ねぎ(斜め切り) 1/2本/だし汁 100ml/濃口醤油 小さじ2/酒・みりん 大さじ1/2/砂糖 小さじ1/2/卵 1個/ごはん 1杯/山椒 適宜 【作り方】 1. 鍋にだし汁、濃口醤油、酒、みりん、砂糖を入れて沸かす。油揚げを加える。ねぎを加える。溶き卵を注ぐ。丼にごはんを盛ってのせる。 いやあ、しみじみと美味しいですねえ。実に質素な材料のみで仕上げられていますが、これだけでも美味しくなるもんなんですね。これなら学生時分にも予算内に収めることができたはずです。簡単に各地のレシピが知られる時代になって今の若い学生が少し羨ましい気もします。まあ、今の若者の少なくない人たちが学費や生活費の確保に躍起になっているらしいからこんな呑気なことを書くのは不適切なのかもしれません。 木の葉丼も関西で食べられている丼物です。こちらは具材にかまぼこが使われているだけで後はほぼ先の丼と一緒です。 ![]() 【材料】 ごはん 1人分/油揚げ(縦半分/3cm幅) 1/4枚/かまぼこ(5mm厚/半月切り) 1/4個/干し椎茸(水で戻す/そぎ切り) 1個/白ねぎ(斜め薄切り) 1本/卵 1個/三つ葉 適宜/【だし】だし汁 100ml/みりん・砂糖 大さじ1/2/薄口醤油 大さじ1 【作り方】 1. 鍋に【だし】の材料を沸かして油揚げ、かまぼこ、干し椎茸、白ねぎを加える。三つ葉を散らして溶き卵を注ぐ。丼にごはんを盛ってのせる。 なのに、これはこれでまた別種の味わいで美味しいんですねえ。かまぼこなんて蕎麦屋で板わさで食べるとか正月のおせち料理として食べる位で普段冷蔵庫に入っていることなどまずありません。そば屋だったり町中華で各種料理にちょこっと混じっているとちょっと嬉しかったりするのですが、それだけじゃ使いきれませんしね。ちょこっと使いたい時に余ったのをこの丼に回せば無駄にすることなく食べられそうです。 北海道の帯広市では中華ちらしなる丼物が知られているそうです。ちらしといってもちらし寿司とは全くの別物で、炊き込みご飯ですらないのです。食材も調理法も全くもって中華丼のそれでありまして、これはまあ当然に美味しいに決まっているのです。中華ちらしで知られる(発祥のお店?!)「割烹 松竹」のものを模倣したというレシピをちょっとアレンジしました。 ![]() 【材料】 ごはん 1人分/豚肉 70g/エビ 5尾/イカ(1cm幅) 適宜/アサリ 10粒/卵 1個/玉ねぎ(くし形切り) 1/6個/白菜(細切り) 100g/もやし 1/3袋/ニンジン(細切り) 1/6本/キクラゲ(水で戻す) 大さじ1/サラダ油 小さじ1/片栗粉 小さじ1/2/水 小さじ1/紅生姜 適宜【調味料】酒・砂糖・酢・オイスターソース 小さじ1/顆粒だし 小さじ1/4/醤油 小さじ1.5/胡椒 適宜 【作り方】 1. フライパンにサラダ油(半量)を熱して卵を半熟状に炒める。サラダ油(半量)を熱して豚肉を炒める。エビ、イカ、アサリを加える。玉ねぎ、ニンジンを加える。白菜、もやし、キクラゲを加える。【調味料】を加える。水溶き片栗粉を加えて卵を戻す。丼にごはんを盛ってのせる。紅生姜を添える。 う~む。旨い。それも予想以上に旨いですねえ。これは和風の顆粒だしが思いのほかいい効果をもたらしているように思われます。鶏ガラメインの中華スープとしたいところですが、ここは和風だしで伸ばしてみるk十をぜひお勧します。それとお酢が実に効果的なんですね。和風だしと酢というのはちょっと組合せとしては難しい気もしますが、食べながら追い掛けしてしまいました。中華丼もいいけれど、この中華ちらしもレパートリーに加えます。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2022/09/03 08:30:08 AM
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