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カテゴリ:家呑み
気に食わないという割にはたびたび引用という形で厄介になっている北大路魯山人の文章に「三州仕立て小蕪汁」というのがあります。これは疑問を抱くことの多いこの人の文章では、かなり真っ当なものと思っています。尊大な語り口は相変わらずでありますが。
-- 味噌汁は簡単にできるものでありながら、その実が、日常どこの家庭でも美味くつくられてはいないようなので、一言申し上げようと思う。味噌汁は、中身の如何にかかわらず、時間をかけて煮てはいけない。まずだしをとり、次に中身がよく煮えてから、最後に味噌を落とし、沸騰したら直ちに椀に盛るという加減のところがよろしい。 -- ふんふん、これには全く異論がない。 -- 要は、味噌を生かしているか、殺してしまっているかということなのである。殺してしまっては、意義を失うのであって、いい出来栄えは得られない。反対に、いい出来栄えのものは、味噌を生かしている場合なのである。生きているという場合は、つくる人が生きているということなのである。 生かしているか殺しているかということは、つくる人が生きがよいか悪いかということである。つくる人が生きが悪くては、生きのいい味噌汁はできない。(以下略) -- この2節は正直なところ何を言っているのかよく分からないのです。何となく言わんとするところは察せられるけれど、いかにも乱暴な理屈であります。 -- ふつうの朝の味噌汁だと、大根とか蕪とか、中身と味噌汁とが最もよく調和するという塩梅に計らってやるのがよい策で、料理屋というものは体裁ばかりを考え、見掛けをきれいにすることばかりに専念しているから、味の方はたちまち第二段になる。料理屋もぞんざいなのになると、汁に入れる大根を別に煮たり、あるいは中身が冷たくて汁だけが熱かったり、変なことをやるが、心ある者のすべきことではない。 -- ははは、ここのところはよく分かるなあ。何か手の込んだことをやってるようだけど、食べてみるとアレレと思いつつも口では美味であるなあなんて語ったりしそうであります。 -- 大根とか蕪などの野菜の場合は、持ち味を絶対に捨てぬことである。魚の場合だったら、味噌汁は味噌汁の味のままにしておいて、魚は魚で別につくって、汁を出すとき入れるようにする。青い魚、さばとか、あじとかは、ことにそうしなければ、汁の味がくどく、下品になっていけない。(以下略) -- おやおや、この人は矛盾などまったく意に介さないようです。ところで、大根や蕪ですが、ぼくにはその持ち味が実のところ掴み兼ねているのです。好んで食べるから当然美味しいと思ってはいるのですが、その美味しいが万人が感じる美味しいと一緒なのか自身が持てないのです。ことに蕪というものの持ち味が本当はどういうものなのか、未だに捉えかねているのです。もっと食べてより深く知るしかないのだろうなあ。ちなみにぼくは"カブ"という表記が好みです。 カブの肉詰め 【材料】 カブ(上部を切り取る/中身をくり抜いてみじん切り) 3個/合びき肉 150g/塩・胡椒 適宜/醤油 小さじ1/固形コンソメ 1個/水 600ml/バター・ディジョンマスタード 適宜 【作り方】 1. ボウルにカブ(みじん切り)、合びき肉、塩、胡椒、醤油を入れて混ぜる。カブに詰める。鍋に水、固形コンソメ、カブを入れて蓋をし、弱火で20分煮る。バターをのせてディジョンマスタードを添える。 相場マナブで紹介されていたレシピです。和洋折衷の味付けがわるくないのですが、おでんの一品として食べるなら悪くないけれど、これだけだとパンチが弱いかも。 鶏肉とカブ、ほうれん草の粒マスタード煮 【材料】 鶏肉(胸/8mm厚そぎ切り) 1枚/カブ(実:8等分/葉:3cm長) 2個/ほうれん草(下茹で/4cm幅) 1/2杷/にんにく 小さじ1/2/オリーブ油 大さじ1/白ワイン 大さじ2/水 大さじ3/顆粒コンソメ 小さじ1/塩 小さじ1/2/胡椒 適宜/粒マスタード 大さじ1/生クリーム 50ml 【作り方】 1. フライパンにオリーブ油を熱してカブを炒める。カブ(葉)を加えて取り出す。オリーブ油を熱してにんにく、鶏肉を焼く。白ワインを加える。水、顆粒コンソメを加える。カブを戻して塩、胡椒、粒マスタードを加える。生クリームを加える。 蒸したカブに続いて、今度は焼いたカブ。調理法でこれほどまでに印象の変わる食材は珍しいんじゃないかなあ。生クリームとマスタードがあればとりあえず御馳走感が出るのですよね。淡泊なカブもよく合います。 カブ、トマト、生ハムのマリネ 【材料】 カブ(8等分/塩をまぶす) 2個/トマト(縦2等分/8等分) 1個/生ハム(一口大) 適宜/オリーブ油 大さじ3/レモン汁 大さじ2/塩・胡椒・ドライバジル 適宜 【作り方】 1. すべての材料を和える。 これは生のカブ料理。つるんとした舌触りと独特の食感が生のカブの魅力です。丸ごとを味噌を付けて食べるのも美味しいけれど、どうしても味が単調になるので、こうしていくつかの食材を混ぜてサラダ仕立てにする方が飽きずに食べられます。 カブとトマトのガーリックチーズパン粉焼き 【材料】 カブ(2等分/1.5cm幅) 1/2個/トマト(薄切り) 1個/オリーブ油 大さじ1.5/【A(混ぜる)】パン粉 大さじ1.5/粉チーズ 大さじ1/にんにく 小さじ1.5/塩・胡椒 適宜 【作り方】 1. 耐熱皿にカブ、トマトを広げて【A】をのせ、オリーブ油をかけてトースターで焼く。 これはオーブン焼きのカブです。ぼくが子供の頃にはカブは煮るか漬物にするかっていう程度の使い方だったと思いますが、こういう美味しい食べ方は早く教えて欲しかったなあ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2024/05/04 08:30:08 AM
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