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カテゴリ:家呑み
北大路魯山人に『狂言『食道楽』』というアホらしい文章があります。大名、目、鼻、口、手、心、耳の面々が食い物について語る、ごく他愛のないものです。引用したのは、「目」の語った箇所です。料理は目で楽しむことから始まるといった程度の話であろうと想像されるかと思いますが、まさしくそのままなのであります。
「かしこまってござりまする。たとえ、各地の名産が、あつまったとて、きいたとて、次に食べるのはこの目でござりまするぞ。まずは料理のいろどりでござります。まぐろのさしみにトマトの[#「トマトの」は底本では「とまとの」]輪ぎり、赤貝の酢のものにチキンライスと、こう赤いものづくめでは、共産党の店だしのようではござりませぬか。 また、そうかというて、黒だいの塩焼きに、たにしの味噌あえ、なすびの煮つけに、いかのすみ、ごはんのおこげに、黒いまめ、塩こぶ、ぼたもち、ちょうちんもちと、こう黒ずくめでは陰気でならず、箸をもったら念仏の、一つもいわねばなりませぬ。 そこで申すなら、いかのさしみによくきくわさび、おしたしものにはごまなどふって、野菜の色の失せぬよう、まず、目に物みせて楽しませ、それにて味もひきたちまする。まだまだ申せばうつわの好み。料理にとって、食器というものは、それこそ料理のきものでござりまする。 いくら美人でも、着るものの好みがわるくては美人も台なし。高価なものではござりませずとも、よくそのものに調和した、きものを着せるのは理の当然、きものと帯が不調和でも、こまったものでござります。顔はうしろで見えずとも、帯の結びようでちょいと惚れる。食器は料理のきものゆえ、うつわも大事でござりまする。 と、こう申せばお料理は、まず目で食べるという道理、なんといかがでござりまする」 つまんないですねえ。でも色彩に拘って料理するのは楽しそうです。特に本気の黒い料理はやってみたいなあ。魯山人の揚げる黒い食材は、いかのすみ、黒いまめ、塩こぶはいいとしても、黒だいの塩焼きに、たにしの味噌あえ、なすびの煮つけに、ごはんのおこげに黒を見出すのはいささかに無理があるというものです。ちょうちんもちってのはそもそもそんな食べ物があるのだろうか。のり、ヒジキなどの海藻類や黒ごまなどもあるのに魯山人の「目」には「黒」と映らないのだろうか。キャビアやトリュフ、キクラゲなんかもごはんのおこげよりは余程黒く思えるんだけどなあ(「赤」にしたって、トマトとチキンライスを並べるなんて苦し紛れもいいとこだ)。とまたもイカスミを使った料理(4種)です。イカスミはスミというだけあって、どんな料理でも加えれば黒い料理に変えちゃうのだから最強の「黒」食材といえましょう。 イカスミチャンプルー 【材料】 イカ(細切り) 1杯/もやし 1袋/ニラ(ざく切り) 1/2束/玉ねぎ(薄切り) 1/2個/ラード 小さじ2/にんにく 1片/赤唐辛子(輪切り) 1本/イカスミペースト 4g/泡盛 大さじ3/砂糖 大さじ1/薄口醤油 大さじ2/塩 小さじ1/3/白胡椒 適宜 【作り方】 1. フライパンにラードを熱してにんにく、赤唐辛子を炒める。イカを加える。玉ねぎ、もやし、ニラを加える。イカスミペースト、泡盛、砂糖、薄口醤油、塩を加える。白胡椒を加える。 日本の料理でイカスミを利用するのは稀であります。でも沖縄料理ではイカスミレシピがちょくちょく登場します。いかすみ汁なんかが代表格でしょうか。イカスミって見掛けのドギツサと違って味は非常に穏やかだからもっといろいろ活用できそうです。 イカスミチーズトースト 【材料】 食パン 1枚/バター・イカスミペースト・溶けるチーズ・胡椒 適宜 【作り方】 1. 食パンにバター、イカスミペーストを塗って溶けるチーズを散らし,トースターで焼く。胡椒を散らす。 ネットで見掛けたので試してみました。果たしてイカスミが見た目以外にどれほどの効果を及ぼしているのか、ちょっと疑問でした。 イカスミTKG 【材料】 ごはん(【イカスミソース】を和える) 1膳/卵 1個/【イカスミソース(混ぜる)】オリーブ油・コラトゥーラ・イカスミペースト・にんにく・イタリアンパセリ 適宜 【作り方】 1. 茶碗にごはんを盛って卵をのせる。 食パンよりは、ごはんの方が味がのりやすいようです。でもコラトゥーラやイカスミペーストを加熱せずに食するのはどうも抵抗があったので、ごはんと混ぜてから軽くレンチンしました。器が汚れてしまいましたが、この方がきっと美味しく食べられるんじゃないかと思っています。 イカスミフィデワ 【材料】 極細パスタ(3cm長) 120g/シーフードミックス 200g/アサリ 150g/玉ねぎ(みじん切り) 1/2個/パプリカ(細切り) 1個/白ワイン 大さじ2/魚介スープの素 1個/水 200ml/オリーブ油 大さじ3+1/イカスミペースト 大さじ1/にんにく 1片/パプリカパウダー・塩・胡椒 適宜/【ピカーダ】にんにく 1片/パセリ 1枝/アーモンドパウダー 大さじ1/【アリオリ風マヨネーズ】マヨネーズ 大さじ3/にんにく 小さじ1/2 【作り方】 1. フライパンにオリーブ油を熱してにんにく(【ピカーダ】用)、極細パスタを炒めて取り出す。にんにく、パセリ、アーモンドパウダーをすり混ぜる。 2. オリーブ油を熱してにんにく、玉ねぎを炒める。シーフードミックスを加える。白ワイン、魚介スープの素、水、1.の【ピカーダ】、アサリ、イカスミペースト、トマトペースト、パプリカパウダーを加える。塩、胡椒を加えてアサリを取り出す。1.のパスタを加えてパエリア鍋に移して水分を飛ばす。アサリ、パプリカをのせてオーブンで180℃5分加熱する。【アリオリ風マヨネーズ】を添える。 以前、サフラン風味のフィデワを食べたのですが、ちょっと物足りなさを感じました。ネットで見掛けたこちらで久々にフィデワを作ったらこれがなかなかに美味しく出来上がったのでした。イカスミペーストの効果なのか、ピカーダに含まれるアーモンドパウダーが案外陰で活躍しているんじゃないかとも思ったりしました。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2024/05/18 08:30:10 AM
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