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休憩場

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第21話

第21話【般若軍二番隊】











翌日。

小鳥達のせせらぎが聞こえてくる清々しい朝のはずだが、空はどんよりとした曇り空。今にも雨が降り出してきそうな雲が空を覆い尽くし、住宅街は妙な薄暗さに包まれていた。

しかし、そんな中で明日香の家ではいつも通りの時間が過ぎていた。

リビングで朝食を取るエプロン姿の涼子、髪を下ろしセミロングヘアーとなっている明日香、そして明日香に叩き起こされたのか、まだ眠そうな顔をしている隼人。3人はテレビから流れるニュースを聞きながら、朝食を口に運んでいた。

ふとその時、明日香がテレビの方に視線を向ける。テレビが映していたのは何の変哲もないニューススタジオの映像だったが、明日香がそれを見た瞬間、映像が別のものに変わった。

それは、昨日流れたAニュースの取材班が無断で潜入して撮影した映像。すなわち、隼人と薫が2人っきりでベンチに座っている映像だった。それを見た瞬間、明日香は胸にもやもやとした嫉妬心を抱いた。

しかし、それ以上に明日香が嫉妬心を膨らますことはなかった。昨日の夜に起きた事が影響しているのか、隼人と薫の2人がベンチに座っている所を見てもその嫉妬心が増すことはなく、明日香はそれなりに平常心を保てるようになっていた。

一方、明日香の隣に座っている隼人はまだ眠気が残っているためか、黙々と朝食を取っており、自分の映っているニュースに全く気付いていない。そんな隼人を見て、涼子はクスクスと微笑していた。

だが、その時だった。隼人のポケットから無線機の着信音が発した。しかし隼人は眠気が残っているせいか、その音に全く気付かない。

「隼人?鳴ってるわよ?」

明日香が心配になり声を掛ける。が、隼人は声が聞こえていないのか黙々と朝食を口にする。

「隼人ったら!」

少し大きな声で明日香が声を掛ける。しかし、それでも隼人は気付かない。2度声を掛けても気付かない隼人に苛立ちを覚えた明日香は、自分の顔を隼人の耳に近づける。

「・・・はーやーとー!!」

耳を貫かんばかりの大声に隼人は驚き、思わず体を跳ね上げる。鼓膜が破れそうな程の声に隼人の耳はズキズキとした痛みに襲われ、ようやく隼人から眠気が取れた。

「ビ、ビックリした・・・」

「ビックリしたじゃないわよ。無線機鳴ってるのに全然気付かないんだから」

「え?あ、ホントだ!」

ポケットから発していた着信音にようやく気付いた隼人は慌ててポケットに手を入れ、無線機を取り出す。通話ボタンしかないその携帯電話の如し無線機のボタンを押し、隼人はそれを耳に当てた。

「はい?」

「いつもより出るのが遅かったな。どうした?」

「す、すいません・・・少し寝ぼけてました」

「やはりな。・・・それより、8時半から緊急会議を行う。遅れずに来るように」

「え!?あと30分後にやるんですか!?」

「そう言っているだろう。今回は非常に重大な話だ、すぐに来い」

「あ、はい!わかりました!」

慌てた声で隼人はそう言うと通話ボタンを切り、無線機を手にしたまま立ち上がる。まだ朝食を取り終えていない隼人だったが、時間がないため慌ててリビングを出ようとする。

そんな慌てふためく隼人に、明日香と涼子は疑問を抱いた。

「隼人君?どうしたの?」

「ご、ごめんなさい!ちょっと警察署行って来ます!」

「ちょ、ちょっと隼人?何で日曜なのに警察署行くの?」

「緊急会議!あと30分で始まっちゃうんだ!」

そう言い残し、隼人は慌ててリビングを後にした。明日香が声を掛けようとした時には既に隼人の姿はなく、開いたままの扉から見える廊下しか、そこにはなかった。

――――ルシフェル犯罪対策課って、やっぱり忙しいんだ・・・。

リビングにいた明日香と涼子は同じ事を思い、中学生でその道を歩む隼人に2人は感心するばかりだった。










葛飾警察署・ルシフェル犯罪対策課会議室。

ルシフェル犯罪対策課のルシフェルが会議を行うための部屋である文字通りの場所だが、休日の午前中にも関わらずそこには大勢のルシフェル犯罪対策課のルシフェル達が集まり、突然の緊急会議に動揺している。そのため、部屋の空気はどこか騒がしかった。

そんな場所に、英二もいた。馬のマスクをテーブルの上に置きパイプ椅子に腰を掛けている英二は、どよめきの広がっている部屋の中で無言のまま視線を下に向けていた。表情には出していないが、今回の緊急会議に英二も動揺しているのだ。

その時、入口の方から勢いよく扉を開く音と、慌てて入り込んで来たかの如く大きな足音が1つ響いた。その音で部屋の騒がしい空気が静まるはずもなかったが、英二はふと入口の方に視線を向け、部屋に入って来た人物を見る。

英二の瞳に映ったのは、息を荒くした隼人。相当急いで来たのか身を包む私服は酷く乱れており、髪も速度を上げて飛行してきたためか少しばかり乱れていた。

そんな隼人が英二の姿を見ると、息を整えながら英二の隣に歩み寄ってきた。

「おはようございます、渡辺さん」

「どうしたんだ一文字?妙に急いで来た様子だが・・・」

「20分ぐらい前に連絡が入ってきまして・・・その時朝ご飯食べてたんで急いで支度して来たんです」

「なるほど。まぁ休日の緊急会議だ、仕方無いと言わざるを得ないな」

英二が納得した表情を浮かべながらそう呟くと、隼人は英二の隣にあるパイプ椅子にゆっくりと腰を掛ける。その時、ふと隼人の目にあるものが映った。

それは、テーブルの上に置かれた大きな馬のマスク。普段から被っているものと寸分も変わりないものだが、銅との戦闘で切り裂かれていたはず。わざわざ新しいものを買い直したのか?そんな疑問が隼人に芽生えていた。

「渡辺さん、このマスク新しく買ったんですか?」

「む?いや、スペアだが?」

「ス、スペアって・・・コレをいくつも持ってるってことですか?」

「まぁな。確か10個程家に置いてあるはずだ」

「10個も持ってるなんて・・・渡辺さん凄すぎます・・・」

「何を言ってるんだ。ニヤニヤ動画プレミアム会員なら、10個ぐらい当然所持してるぞ」

自慢げに答えを返した英二に、苦笑することしかできない隼人。ニヤニヤ動画がどんなものかはわからないが、英二が熱中するほどのものなのだろう。そう隼人は解釈せざるを得なかった。

そんな会話をしていた時、隼人はふと自分がここに来た理由を思い出し、おもむろに英二に話しかけた。

「それにしても、どうして休日に緊急会議をするんでしょう?遊園地の事件のことを話すわけでは無さそうですし、また何か起きたんでしょうか?」

「俺にもわからん。ただ緊急会議を行うぐらいだ、一文字の言う通り何か大きなことでも起きたのかもしれん」

英二がそう呟き、辺りを見る。周りにいるルシフェルもまた隼人と英二と同じように、何故今日のような休日に緊急会議を起こしたのかという疑問を抱いていた。それがどよめきになり、部屋の空気を騒がせている。

その時、入口から扉が開く音が1つ。部屋にいた全てのルシフェルが入口に視線を向けると、部屋に広がっていた騒がしい空気が一瞬して消える。

部屋に入って来たのは、課長。いつもの顔とは違う、真剣で険しい表情を浮かべている課長が部屋にいるルシフェル達を一望出来る1番前の席につき、その真剣な眼差しをルシフェル達に向ける。

「では、これより緊急会議を行う」

課長の言葉が会議室に響き渡り、部屋の空気が静まる。無音にも近い状態になったことを確認し、課長は再び口を開いた。

「今回皆を招集したのは、昨晩ある重大な事件が起きたためだ」

「重大な事件?」

「うむ。今回の事件は大森滝之助殺害事件と同様、メディアにはまだ回っていない警察だけの極秘情報だ。故に口外はしないように」

「ということは・・・また誰か殺されたということですか?あの神校に」

ルシフェル犯罪対策課のルシフェルの言葉に、課長は小さく頷いて答える。大森滝之助殺害事件同様の極秘情報、そしてそれが神校の手による殺人事件であることに、その場にいた全員に緊張が走る。

今度は一体誰が?部屋にいた全ての者がそんな疑問を抱いた時、課長がゆっくりとその口を開いた。

「本日午前0時。都内で3件の殺人事件が起きた。1つは自由民主党衆院議員・小国純平、2つ目は同じく自由民主党衆院議員・矢部正彦だ」

「小国純平と矢部正彦と言ったら、大森氏のルシフェル援助金改革法案を支持するグループの中心人物じゃないですか」

「うむ。この2人が殺害されたことから警察は神校の目的がルシフェル援助金改革法案の阻止と考え直そうとしたが、3つ目の殺人事件が問題で当初の考えに戻った」

「3つ目の殺人事件?そいつは一体・・・」

「3つ目の殺人事件は・・・・・・・ルシフェル擁護委員会会長・神田比沙子だ」

その言葉に、部屋にいた全てのルシフェルが驚愕の声を上げた。神田比沙子と言えばテレビでもよく見られるほどの有名人、そんな人までも神校が手にかけたことに、皆驚きを隠せないのだ。

だが、その中で1番驚いていたのは、隼人だった。

薫と一緒に訪れた遊園地で神校に襲われそうになった所を助けた人物。1度守ったはずのその人が、深夜になって殺された。そう思うだけで、隼人には驚き以外のことが無くなってしまっていた。

隼人の驚きに満ち溢れた表情を察したか、課長がその口を開く。

「神田比沙子は一文字と英二が解決した東京ドリームスペースの事件後、夕方の内に都内にある自宅に戻っていた。その時の事件もあり神田比沙子は直属のボディーガードを門前に構えさせ1日を過ごしたようだが、自宅の何処かに爆弾が仕掛けられていて、午前0時、それが爆発した」

「まさか・・・小国氏と矢部氏も・・・!」

「うむ、家を爆発され、瓦礫の中だ。恐らく神校は大森滝之助の時に魚沼謙信の足がついたことに気付き、相手を爆死させ証拠を残さないようにしたんだろう。だが、遊園地で神田比沙子が襲われたこともあり、警察はこの全ての事件が神校が起こしたものだと確信している」

課長の言葉が部屋に響き、同時にどよめきが広がる。1日にして日本の要人が3人も殺されたこの事件に、そこにいる全員が神校という組織の巨大さ、そして神校の目的を改めて知らしめられていた。

どよめきの広がった部屋を静めるかの如く、課長は軽く咳払いをする。部屋の空気が静かになったことを確かめると、課長は再び話し始めた。

「話はこれで終わりではない。これから話すことはここにいる全員が取り組む任務であるため、皆よく聞くように」

「全員が取り組む任務・・・それは一体どのようなことで?」

「皆の中には知ってる者もいるかもしれないが、来週の日曜に行う日米首脳会談のため、アメリカ大統領・オーバマ=クリントンが日本に訪れる。本来なら首脳会談を行う総理官邸まで空港から一直線に向かうはずだったが、東京都内で日本の要人が次々と殺されている現状から、総理官邸まで回り道して移動することになった」

「回り道?具体的なルートは?」

「簡潔に言えば、通る場所は『浅草』だ」

「浅草・・・」

課長の口にした地名に、隼人は思わず言葉を零した。東京に住む隼人達にとって、浅草という場所は有名な土地の1つだからだ。

東京の都心部に負けず劣らず人々で賑わい、ビルや商店街が立ち並び発展し続けている場所。それが浅草であり、東京都民だけでなく、外国からも高い知名度を得ている所なのだ。そのような場所をアメリカの大統領が通ることに、隼人を始めそこにいる全てのルシフェルが不思議な気持ちを抱いていた。

「オーバマ=クリントン大統領は数十人のボディーガードに守られながら浅草を通るそうだが、万が一の事も考え我らルシフェル犯罪対策課も護衛に当たることになった。もっとも、アメリカ側は浅草内を巡回するだけでいいと言っているようだがな」

「巡回だけって、それじゃ護衛の意味がないじゃないですか!?」

「うむ・・・。神校のことはアメリカも把握しているようだが、向こうはプライドが高い。犯罪組織や武装テロリスト集団なんかには負けないという気持ちが強いのだろう。警視庁の上層部もアメリカに合わせて同じ指示をしてきているため、巡回だけであろうとこれは必ず遂行しなければならない任務なのだ。それを、皆肝に命じてほしい」

真剣な表情で課長はそう呟き、課長はゆっくりと席を立つ。それに合わせて部屋にいたルシフェル達も一斉に立ち上がり、体を課長の方へと向ける。

「オーバマ=クリントン大統領護衛任務については定期会議の時にまた詳細を説明する。ではこれで会議を終了する。以上、解散」

その言葉が響き、ルシフェル達は部屋を後にしていった。まだ部屋に残っている隼人と英二、そして部屋を出て行くルシフェル達全員が、大統領の護衛という任務に真剣な表情を浮かべるばかりだった。










緊急会議が行われてから、1週間後の日曜日。

空は連日続いている快晴を迎え、眩い太陽の日差しがアスファルトの大地に降り注ぐ。その空の下にあるのは見渡す限り広がるビル群と、その中を伸びる大きな3車線の道路。道沿いには商店街が立ち並び、休日ということもあり歩道は人々で溢れかえっていた。

東京の観光スポットとしても名高い地区、浅草。

その昔は日本の一大繁華街としての歴史を持つその場所は平日でも人という人で賑わう所だが、休日はその倍近くにも及ぶ人々で溢れ、商店街やビル街はとてつもない程に混雑していた。しかしそれでも人々は歩みを止めないため、浅草の賑わいは途切れることがなかった。そんな浅草の中で、一際賑やかになっている場所があった。

それは、雷門。

東京都最古の寺院・浅草寺の山門として有名なそれは浅草のランドマークであり、外国人からも好かれる浅草随一の観光地。雷門の周辺には半被を来た男達が引く人力車が止まっており、客を乗せた人力車が道路という道路を走り回っている。

その雷門の前に、馬のマスクを被らずこっ汚い作業服に身を包んだ英二がいた。英二の手には普段連絡用に常備しているものとは別の小型の無線機が持たれており、周りに犇めく人々を1人1人確認するかの如く英二は辺りを見回していた。

しばらく辺りを見回していた英二は手にしていた無線機を口元に近づけると、小さな通信ボタンを押し、通話を開始した。

「こちらA班。不審人物は見つからない。他班状況をどうぞ」

「こちらB班。不審人物確認なし」

「こちらC班。同じく不審人物ゼロです」

「こちらD班。不審人物発見情報なしだ」


「了解。上空班、そっちはどうだ?」

英二は青く輝く空を見上げながらそう言い放ち、返事を待つ。すると、無線機から聞き慣れた声が発した。

「こちら上空班。空から見ても大きな動きは見当たりません」

上空の風の音と共に発した、若い少年の声。それはルシフェル犯罪対策課最年少のルシフェル、隼人の声だった。

雷門のちょうど上空を飛翔してきた隼人は背中から生やした巨大な蝙蝠の翼を羽ばたかせながら大きく旋回し、眼下に見える浅草の街を再度見渡す。大通りや建物の屋上、そして自分が飛んでいる空に不審な人物は見当たらず、空から見た感じでは事件が起こりそうな気配が全くない状態だった。

見渡してもこれといった異常が見つからないでいる隼人は手にしていた無線機を口元まで運び、空を飛翔しながら通話を開始した。

「こちら上空班よりA班へ。今もう1度確認してみましたけど、やはり何所も異常はありませんでした」

「そうか。だが油断は禁物だ。引き続き空から見回りを頼む」

「わかりました」

そう答えた隼人は背中の翼を大きく広げ、雷門を中心に円を描くかのように大きく飛翔する。その姿は宛ら白昼の空を舞う蝙蝠の如く青い空の中で目立ち、地上にいる英二にはっきりとその姿を見せていた。

地上と空中の両方に配置されたルシフェル犯罪対策課が巡回を始めてから結構な時間が経っているものの、浅草の街にそれらしい異常も見当たらず、何もないいつも通りの賑やかさだけが浅草を包み込んでいる。しかしこの浅草をアメリカの大統領が通ることは事実であり、今は何も起きなくとも、浅草を通る時に何か起きるかもしれない。そう英二は思っていた。

こんな時にマスクを被れたらもっと集中できるのだが・・・。巡回のため馬のマスクを被れない英二が心の中でそう呟いていたその時、ふと視線を向けた大通りの先からそれは見えた。

それは、4台の黒い車に囲まれた白い高級車。他の車と比べて明らかに上品そうなその車は、英二のいる雷門前までその距離を縮めて行く。その車を見た瞬間、英二はそれがアメリカ大統領・オーバマ=クリントンを乗せた車であるとすぐに感じ取った。

英二は大統領を乗せた車が通ることを報告するため、無線機を口元まで運んだ。

「こちらA班より全班へ。雷門前を大統領を乗せた車が移動する。全班警備を怠らないように」

「B班、了解」

「C班、了解です」

「D班、了解した」


「上空班は大統領の車をマーク。浅草を抜けるまで辺りに不審な動きがないか確認してくれ」

「上空班、了解しました」

無線機から聞こえた隼人の声を聞き、英二は大統領が乗っている車に視線を向ける。白く輝くその車は4台の黒い車に囲まれながら走行し、英二のいる雷門前を通る。周りにいる人々はその高級感あふれる車に魅了されていたが、別段その車に乗っている人物が何者なのか気になるわけでも無く、普通に道路を走るそれをただじっと見ているだけだった。

人々の視線を浴びながら雷門の前を通り、車は繁華街へと向かい始める。このまま何も起きず済めばよいが・・・。英二は何か嫌な予感を感じながら、心の中でそう思っていた。

だがその時、英二の感じていた嫌な予感は、見事なまでに的中した。

大統領を乗せた車が繁華街を抜けようとした瞬間、道路のマンホールというマンホールから凄まじい爆発が起こり、マンホールが吹き飛んだ穴からけたたましい炎が噴き上がった。突然の爆発と吹き上がる紅蓮の炎に大統領を乗せた白い車とそれ守る4台の黒い車は急停止し、歩道を歩く人々は悲鳴を上げながら逃げ惑う。

英二はすぐさま大統領を乗せた車に駆け寄ろうとしたが、それを阻むかの如く逃げ惑う人々の波が雷門の前を飲み込んでいく。犇めく人々に身動きが取れなくなった英二は手にしていた無線を口元まで運び、通話を開始した。

「全班、大統領を乗せた車が襲撃に会った。直ちに雷門近くまで来い。」

「B班、了解」

「C班、了解です!」

「D班了解、直ちに移動する」

「上空班、すぐ向かいます!」


驚きに満ちた声で帰って来た返事が無線機から発し、英二は無線機をポケットの中に押し込む。逃げ惑う人々の中を掻き分けて進むことが出来ないと判断した英二はすぐ真横に見えたビルの屋上に向けて左腕を伸ばし、掌に肉が抉り取られたような穴が開く。

すると、その穴から1本の凄まじく長い触手が勢いよく飛び出し、ビルの屋上の手すりを絡め取る。触手を引っ張りしっかりと絡め取ったことを確認すると、英二はその触手を勢いよく穴の中に戻し、その体を屋上目掛けて上昇させていった。



一方、マンホールから炎が噴き出す道路で停車している大統領を乗せた車は周りに燃え盛る炎に成す術もなく、立ち往生していた。その車を囲むように走っていた4台の車もまた止むを得ず停車していたが、その車から黒いスーツを着たボディーガード達が飛び出し、大統領の車を隙間なく囲む。

ボディーガードは懐に納めていた拳銃を取り出し、いつでも発砲出来るよう素早くそれを構える。マンホールから燃え盛る炎が生み出す陽炎が辺りをぼやけさせ、ボディーガード達はどこから敵が襲い掛かってくるかわからない恐怖に内で苦しんでいた。

しかし、それは一瞬の事だった。

人々がいなくなった歩道の影、ビルとビルの間の影、そして道路に駐車している車の影。辺りにあるあらゆる影からマシンガンの銃声がけたたましく響き、ボディーガード達に襲いかかった。ボディーガードが銃声に気づいた時には既に体は無数の弾丸に撃ち抜かれ、その体を血で濡らしながら重たく地面に倒れていく。

大統領を乗せた車の周りからボディーガードが消えたことを確認すると、影に潜んでいた主達がその車の周りに姿を現した。

それは、漆黒の防弾服に身を包み、禍々しい般若面を被った兵士達。大型のマシンガンを構えているそれは神校の作り出した兵団・般若軍だった。

般若軍の兵士達はマシンガンを構えながらゆっくりと大統領の車に近づき、車の窓から車内を覗きこむ。そこには運転席で恐怖に体を震わせている運転手と、後部座席で恐怖に満ちた表情を浮かべる外国人の姿があった。大統領は全身から嫌な汗を滲ませながら、窓から見える光景を眺める。

マンホールから噴き出す紅蓮の炎、ボディーガード達の返り血を浴びたアスファルトの道路、そして自分を乗せた車を囲む、禍々しい般若面を被った兵士達。大統領からすれば、それは鬼達が救う地獄も同然だった。そして、車内を覗きこんでいた般若軍はやがてその銃口を運転手と大統領に向け、ゆっくりと引き金に指を添える。

運転手と大統領は命を諦め、迫りくる死という名の恐怖にその表情を歪めた、その時だった。

車の側面を過った、巨大なツメを生やした黒く荒々しい巨大な手。後部座席にいた大統領がその2本の手を目にした瞬間、すぐ横にいた2人の兵士がそれに鷲掴みにされ、勢いよく上空に引き上げられた。周りの兵士達は上空にマシンガンを向け、弾丸を放っていく。

だが、空から鷲掴みされていた2人の兵士が地面に落下したと同時に、ビルの屋上から夥しい数の触手がマシンガンを放つ般若軍目掛けて襲いかかった。弾丸の如し勢いで般若軍に迫ったそれは兵士達の肩や腕、足を貫き、車の周りにいた般若軍は悲鳴を上げ傷口から流れた血に体を染めながら地面に倒れて行く。

般若軍がものの数秒で倒されていく様を車内から見ていた大統領は、般若軍を倒した得体の知れないものに驚きを隠せずにいた。何がどうなっているのかわからず困惑している中、マンホールから炎が噴き出す道路に人影が2人降り立った。

1つは、背中から大きな蝙蝠の翼を生やし、太く長い「ツメ」を生やす怪物の如し巨大な手を成した少年。もう1人は両掌からうねうねと動く夥しい数の触手を生やし、こっ汚い作業服に身を包んだ男。それは紛れもなく、隼人と英二の姿だった。

2人は大統領の車まで駆け寄ると、おもむろに車内にいる大統領に話しかける。

「大丈夫ですか、大統領?僕達はルシフェル犯罪対策課です」

「フ・・・フーアーユー・・・?」

「ふぅん・・・日本語が通じてないと言わざるを得ない。運転手、あなたは日本語がわかるな?」

「は・・・はい。一応、オーバマ氏の通訳ですので・・・」

「そうか。ならここは危険なのですぐに避難しましょうと伝えてくれ」

「は、はい・・・」

武装した般若軍を瞬く間に倒した英二に恐怖心を抱いているのか、運転手は弱々しそうにそう答え大統領に話しかける。運転手の口からスラスラと発せられる英語を聞いた大統領は困惑した表情を浮かべている頭を頷かせ、大統領と運転手は車の扉を開きゆっくりと外へ出た。

運転手から隼人と英二が日本のルシフェル犯罪対策課であると聞いた大統領はおもむろに運転手に話しかけ、大統領が口にした言葉を運転手は代弁する。

「助けてくれてありがとうございます。すぐにここから避難したいです、と大統領は言っております」

「なら急ぎましょう。もしかしたらまた般若軍が来るかもしれませんし」

「うむ。だがマンホールから爆炎が出ている様だ、移動には少し時間が掛かるな」

「副課長!」

ふと何処からか聞こえてきた声に気づき、隼人達は声のした大通りの方へ顔を向ける。すると、マンホールから炎が噴き出している大通りから大勢のルシフェルが駆けつけた。

老若男女を問わず集った彼らは、ルシフェル犯罪対策課のルシフェル。英二の無線を聞き、急遽駆けつけたのだ。相当慌ててやってきたためか何人かは既に変身し、ルシフェルとしての姿を見せていた。

そんなルシフェル達が隼人達の傍に集まり、大統領が無事であることに胸を撫で下ろす。その姿を目にした英二は、息を荒くさせているルシフェル達に話しかけた。

「皆来たか。うむ、これならなんとかなりそうだな」

「副課長、この襲撃はやはり・・・」

「あぁ、神校だ。周りを見てわかると思うが、既に犠牲者まで出ている」

「神校、まさかこんな大胆に襲いかかろうとは・・・」

「それで、これからどうすれば?道という道から火が噴き出してますが・・・」

「うむ。いろいろとパニックになっているが、まずは大統領の安全の確保が最優先だ。だが、まだどこかに神校が潜んでいるはず。そこでA班、B班、上空班は神校の探索及び撃退。C班、D班は大統領をここから避難させてくれ」

「了解――――」

「その必要はないですよ、ルシフェル犯罪対策課」

何処からか聞こえてきた声に、その場にいた全員が驚きに満ちた表情を見せる。遠くから響いたその声に全員が声のした方を見ると、視線の先にそれはいた。

アスファルトの地面に倒れる兵士と同じ漆黒の防弾服に身を包み、禍々しい般若面を被った男。しかしマシンガンは装備しておらず、手には刃渡りの長いナイフが持たれていた。隼人達の視線の先にいるその男は、般若面の内側からゆっくりとその口を開いた。

「般若軍二番隊隊長、銀(しろがね)。神校の命により、大統領の命を貰いに来た」

「二番隊隊長!?まさか・・・銅さんと同じ、ルシフェルの犯罪者!?」

「おやおや・・・そういうあなたはソルジャー様達に傷を負わせた一文字隼人じゃないですか。その横におられるのが・・・ソルジャー4様の申していた渡辺英二ですね」

「俺の名前まで知られていたか。何処から知ったのかやら・・・」

「あなた達2人は神校の欲する人材ですからねぇ、名前や姿を把握するのは当然のこと」

「ふ、副課長・・・よくわからないですが、なんかアイツヤバそうですよ・・・?」

「わかっている。C班、D班、大統領をすぐここから避難させろ」

「了解!」

何人かのルシフェルがそう答えると、大統領と運転手を囲みながらその場から走り去る。ナイフを手にした般若軍二番隊隊長・銀は追いかけようと足を動かすが、それを制するかの如く隼人達が立ちはだかった。

大統領を追えなくなり止むを得ず足を止めた銀は、般若面の内側で小さなため息を零す。

「呆れたものです。大統領1人のためにこれほどのルシフェルが動こうとは」

「そうさせているのはお前らだろう?」

「ククク、確かに。まぁ般若軍はまだまだいますし、大統領は他の奴に任せるとしましょう」

「その口だと、お前は俺達と相手するようだな」

「えぇ。一文字隼人と渡辺英二、2人をまとめて入学させるまたとないチャンスですから」

「俺も入学させようとしているのか。だが、お前1人で俺達全員に勝てるとでも思ってるのか?」

「1人?ククク、別に不可能ではないですよ?ただ私は疲れるのが嫌いでしてねぇ。今回は『アレ』もありますし、『アレ』を使うとしますよ」

銀は般若面の内側に不敵な笑みを浮かべると、防弾服の大きなポケットに手を入れ、中身を取り出す。ポケットから出されたのは、掌ほどの大きなカプセルだった。

先端が円錐状になっているそれは一見すると小さな水筒のようにも見えたが、そのカプセルには大きなボタンが1つだけついており、何かを噴出させるための小さな射出口のような穴があった。

――――形は違うが、何処かで見たことがある・・・。

英二の脳裏にそんな疑問が過ぎり、銀の手にしているカプセルをじっと凝視する。そしてそれが何なのかを思い出した瞬間、英二は「危機」を感じた。

「さぁ、出て来なさい・・・・・『G』」

銀がそう呟きながらカプセルのボタンを押すと、そのカプセルを地面に放り投げる。地面に転がりそれが微かな機械音を発し始めた瞬間、それは起きた。

小さな射出口のような穴から噴き出す、大量の黒い砂。それはまるで生きているかの如く宙を舞い、黒い砂を放出しているカプセルを持ち上げて行く。滝のようにカプセルから吐き出される黒い砂は1つに纏まり始め、みるみる巨大化していた。日の光を遮らんばかりに巨大化していくそれに、隼人達は思わず後ずさっていく。

そして、黒い砂の「原形」が隼人達の前に姿を現した。

鷲のように鋭く大きな口、血に飢えた獣のような眼、鋭い爪を生やした大型爬虫類のような手足、漆黒の禍々しい体から生えた長い尻尾と、巨大な蝙蝠の翼。隼人達の前に現れし姿は、四木中学校を襲撃した黒竜・Gだった。

四木中学校で十兵衛の攻撃を受け潰れた左目には自らの体を納めていたカプセルが融合しており、円錐状の先端をしたそれは宛ら義眼の役割を果たしているように見える。機械の左目を成したGは大きく口を開き、咆哮を上げた。

10mはあろうその巨体から発せられる咆哮は金属のように鋭く、獣のように太い。その咆哮は地響きとなって隼人達の足元に襲いかかり、振動で足を痺れさせた。

「くっ・・・!まさかとは思っていたが、やはりコイツだったか・・・!」

「副課長、こ・・・この化け物は一体!?」

「我ら神校の戦闘モンスターですよ、ルシフェル犯罪対策課。以前は手痛くやられたそうですが、今回もそううまく行くと思わない方がいいですよ?G、一文字隼人と渡辺英二以外のルシフェルを蹴散らしなさい」

銀がそう呟くと、Gは咆哮を上げながら勢いよく地面を蹴り、空へ跳躍した。巨体からは想像も出来ない程の敏捷な動きに、その場にいた全員が驚きを隠せない。

「皆、ここから離れろ!!」

英二の叫びにようやく我に戻ったルシフェル達は慌てて走り出し、その場から離れる。しかし、それと同時にGはルシフェル達のいた場所へ勢いよく落下し、その地面を凄まじい力で踏みつけた。

巨体の持つ超重量と、高所から落下することによって増幅した引力によって着地時にとてつもない強さの力が地面に流れ、Gの周囲に地震の如し衝撃が放たれる。その衝撃に多くのルシフェル達が吹き飛び、地面に倒れて行く。

だが、Gの攻撃はこれだけで終わらなかった。立ち上がろうとしたルシフェル達に向けて長い尻尾を振り払い、丸太の様なそれでルシフェル達を叩き飛ばした。内臓器官にまで響いた衝撃に吹き飛ばされたルシフェル達は赤い鮮血を吐き出し、その体を痛めつけられた。更に尻尾から難を逃れたルシフェル達に対しGは突進し、その巨体でルシフェル達に体当たりして吹き飛ばした。

宙を舞い、そして地面に落ちて行くルシフェル達。Gから離れていた隼人と英二は、周りにいたルシフェル達のほとんどが瞬く間に倒されてしまったことに驚きと怒りを覚え始めていた。

「みんなが・・・!G・・・許せない!!」

「ククク。神校が捕え、そして作り出したこのG相手に強気ですねぇ、一文字隼人」

「俺はお前も許せんな。平和を壊し、人の傷つく姿を平然と見ていられるお前ら神校をな!」

「あなたも強気ですねぇ、渡辺英二。お仲間さんがダウンしたというのに何故でしょうかねぇ?まぁ、いいでしょう。神校の入学手続き、この銀が済ませるとしましょう」

般若面の内側で微笑しながらGの横まで歩き、Gと肩を並べる銀。ナイフを手にした銀と機械の左目を得たGを前に、隼人と英二は互いに戦う姿勢を見せる。

そして、マンホールから炎が噴き出している地獄の如き空間の中、戦いの幕が切って落とされた。









To be continued...

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あとがきコーナー




管:えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ(蹴、毎度ながらやってきましたあとがきコーナー!ここまでのご拝読、真にありがとうございますm(_ _)m。

隼:これからもGENOMEをよろしくお願いしますね^^。

管:ぬおっ(☆Д☆ )。今回は隼人が来たのか。にしても隼人、何故笑顔w!?

隼:何故って、これからGと銀の戦闘でしばらく笑顔が無いと思ったので、ここで笑顔になっておこうかなぁって^^。

管:いや意味分からんwwwwwwwwwwwww。確かにこの先戦闘場面が多くなるが、それとこれとはwwwwwwww。

隼:まぁ細かいことは気にしないでください^^。それでは時間ですので、あとがきコーナー始めますね^^。

管:う、うむ(☆w☆;)。(ここまで笑顔だとなんか怖いZE・・・)


今話は当初から設定していた「神校バトル イン 浅草(?)」の入口的存在となっているため、後半に行くにつれて細かく設定した場面が多く出てきています(=前半は即興だらけ)。

朝、明日香の家で隼人達がいつも通りの朝食を取る。ここでテレビのニュースに嫉妬心を芽生えさせない明日香や、無線機の着信音に気付かず明日香に耳元で怒鳴られる隼人といった場面があるのですが、↑で述べたとおり、この辺はほとんど即興です(蹴。というのもこの先に続く緊急会議の場面までの繋ぎの場面を全く考えていた無かったため、まぁ仕方無くこうなりました^w^;(蹴殴。

で、↑の朝食場面から続いてきた緊急会議。この場面は全体を通して以前から考えていた設定が多く、後半への足掛かりになるような場面になっていると思います。またこの場面で隼人が遊園地で守った神田比沙子が爆死したことが明らかになっていますが、実はこれが第18話の時に話した「大いなる秘密」の1つだったりします。

その緊急会議から1週間後の浅草・雷門。ここで英二が各班に無線で交信するのですが、これも当初からあった設定で、浅草を舞台にするのも当初の内から考えていました。この浅草は東京に実在する場所で、ここを舞台にしたきっかけは神校の国際関係絡みの事件を「ビル街」で起こしたいと思ったからです。葛飾区内では舞台として小さすぎるし、あんまり都心部だとしっくりとこない、そういうことから、下町としても有名で、都心部には劣るけど比較的ビルの多い場所として浅草を舞台にすることになりました。

大統領を乗せた車が雷門の前を通り過ぎ、繁華街へと抜けようとしたその時、マンホールが爆発し炎が噴き出す。この場面も当初から考えていたもので、モチーフは「ムネモシュネの娘たち」という結構グロいアニメの一シーンからです。このアニメはいろんな意味で教育によくない表現がたくさん出てくるため、何かと俺は設定造りのお世話になってたりします(ぇ。

大統領に襲いかかって来た神校の部隊・般若軍。ボディーガード達を射殺した般若軍が大統領を撃ち殺そうとした時、隼人と英二が駆けつける。そして2人が般若軍を倒し他のルシフェル犯罪対策課と合流したその時、般若軍二番隊隊長・銀が姿を現します。この設定も当初からあったもので、遊園地で隼人と戦った「銅」に続く、ソルジャーではない神校のルシフェルとして考えられていました。ちなみに、銅と違い少し多弁な所は設定状の仕様と俺のキャラ設定のせいです(ぁ。

隼人達ルシフェル犯罪対策課を前に、銀は左目に改良を施された黒竜・Gを召喚する(神校の感覚だとGは物に値するので、正確には「発動する」)。ここでGが再び登場する設定は第14話で左目が潰される設定を作った当初の時からあり、潰れた左目が改造されて再び襲い掛かるという形で考えていました。しかしこの時は体を納めるカプセルが左目の義眼代わりになるという設定ではなく、あくまで「機械の目」が取り付けられているだけ、という設定でした。でもそれだと面白くないと思い、カプセルが義眼代わりになる設定に変更したのです。

ルシフェル犯罪対策課のルシフェルが全員倒され、隼人と英二は銀とGに対峙する。マンホールから炎が噴き出す空間の中、果たして勝つのはどちらなのか。それは次回のお楽しみ~。


隼:なんか、今話は本当に後半の設定が前から考えられてたものが多いですね。

管:だろ?まぁそれだけ力を入れてたということよ(☆w☆ )。

隼:でも、前半は即興ばかりですよね?それだとなぁ・・・。

管:それだとなぁってなんだYOwwwwwww。言いたいことがあればはっきり言いなさい!

隼:でも、言ったら管理人さんまた倒れると思いますし・・・。

管:大丈ぉぉぉ夫!最近みんなの声に耐性が出来たからね、隼人の言葉に倒れる俺じゃないZE☆。

隼:じゃあ言いますけど・・・・・やっぱり管理人さんの話の中には即興の部分が多すぎるなぁって――――。

ドゴンッ!!(管理人倒れる)

隼:あっ、管理人さん!?・・・やっぱり倒れちゃった。ちょっとキツく言いすぎたかなぁ・・・?あ、それじゃ管理人さんも倒れてしまったので今回のあとがきコーナーはこれで終わりにしますね。それでは皆さん、次の話でまた会いましょう。


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