カーボンプレート練習 その1
はじめまして。駆動・フレーム班の脇本です。最近のブログは主翼の製作がメインになっていたので、ここで少し僕の活動も載せてみたいと思います。人力飛行機では、駆動系をはじめとして様々なパーツに、「CFRP」という、いわゆる炭素繊維強化プラスチックを使用しています。CFRPは軽くて丈夫な材料で、最近ではスポーツ用品や航空機の一部などにも使われています。興味のある方はぜひ調べてみてください。今日はそんなCFRPでできた板(カーボンプレート)の作り方を技術指導の先生に教わって、実際に体験してきました。道具一式は、愛媛大学の研究室で使用されているものをお借りしています。今回は練習ということで、積層構成は[0°/90°]を繰り返して16ply、さらに両面にクロスを貼って仕上げました。まずはプリプレグの解凍です。といっても、実際に凍っているわけではありません。なんだと思う方もいるかもしれませんが、これは結構重要な工程です。冷凍庫からプリプレグを取り出して焦って袋から出すと、表面に霜が付きますね。このまま積層してCFRPの積層間に水分、または空気などが混入すると、結果的にボイドの発生につながります。こうして不完全な積層部分があると、曲げが生じたときなどに剥離の原因となってしまうのです。常温になるまで放っておきましょう。次にカッターでプリプレグ(UD)を切り分け、積層です。 フィルムを剥がして繊維方向に注意してそっと重ね、ヘラを使って空気を抜きます。繊維の方向に沿ってヘラをあてると、空気が抜けていく音が聞こえてきます。 そして、4plyしたところで真空引き。均一に大気圧をかけて微小な気泡を除き、さらに積層間のエポキシをなじませます。 こうして繰り返すこと4回、さらに両面にクロスを重ねて積層は完了です。表面がUDだと、表面剥離が起こった時に次々と進行してしまいますが、クロスを張ることでそのような影響にも耐性がつくんだとか。ただ、クロスにはエポキシが多めに浸透していて重量増なだけに、小まめにパーツを作り替える場合は考えどころですね…。そして最後に焼き入れです。表面仕上げは、片面はアルミ板でフラットに、反対側はグラスクロスを重ねてクロス地に。アルミ板には離型剤が塗ってあります。あとは真空引きをしてオーブンに入れ、130℃で2時間加熱すれば硬化します。 今回は時間がなくて1時間しか加熱出来ていないので、あした残りの1時間加熱すると完成です。一つ驚いたのは、加熱時の温度上昇にかける時間について。今までは昇温は2℃/minとする、などと耳にしたことがありましたが、今回はおよそ10℃/minというスピード加熱に。オーブンの性能によってはもっと早くても問題はないようです。詳しくはわかりませんが、どうやら中に含まれる樹脂の改良が進んでいるからだとか。まだまだ勉強が足りませんでした。さて、長々と書いてしまいましたが、明日は残りの加熱、そしてさらにU字マウントも焼いてみることになりました。今後は自分たちでも焼けるように、しっかりと教わってきます。