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テーマ:風邪。(857)
カテゴリ:薬
季節が移ろい、また回りに風邪をひいた人が増えてきた感じがしています。どことなく調子悪そうな人は年中見掛けはするのですが、空気が乾燥して強い風が吹く季節がくると、毎年インフルエンザの流行が気になってしまいます。
インフルエンザの治療に関しては、有効な治療薬がほとんどないとされる中、タミフル(リン酸オセルタミビル)の存在は感染の初期であればウィルスの増殖を抑える事ができるとされる事から、処方されている例を多く見ます。 そんなタミフルに関して、昨年、投与後の異常行動が報告され、異常行動の末に死亡した例もある事から、何らかの危険が隠されているのではと疑問視されつつあります。 厚生労働省の作業部会などでは、タミフルの服用と異常行動の因果関係について否定的な見方が出されていましたが、それを覆しかねない研究結果が報告されていました。 脳には異物の侵入を防ぐ「血液脳関門」という防御機能が備えられ、タミフルも本来は体内に存在しない異物である事から、それを通過できないと考えられていました。脳内に入る事ができなければ、報告されているような異常行動を起こす事はできません。 タミフルを摂取すると、消化器官から血液中へとタミフルが吸収され、肝臓の酵素によって「活性体」に変化させられます。活性体となる事でタミフルは、ウィルスの増殖を抑えるという力を発揮します。その一方で血液を介して全身を回るタミフルは、血液脳関門で「P糖タンパク質」と呼ばれる物質によって排除されてしまいます。 P糖タンパク質の量については個人差がある事が知られています。P糖タンパク質を持たないマウスにタミフルを投与すると、通常のマウスの5倍近くも脳内のタミフル濃度が上がる事が今回の研究では明らかにされています。 また、直接血液に活性体のタミフルを投与すると、いずれのマウスでも血中の1%程度しか脳には届いておらず、活性前のタミフルが脳に達しやすく、活性体となったタミフルは脳に達しにくい事が判ってきています。 タミフルを活性体へと変化させる肝臓の酵素量にも個人差があります。今回の実験を当てはめて考えると、肝臓の活性体変化酵素量が少なく、P糖タンパク質も少ない人であれば、脳内へタミフルが入り込む可能性は否定できないかもしれません。異常行動の発生について、相関関係が不明のままではありますが、P糖タンパク質が青年期を過ぎてから急増する事を考えると、何か符合するものを感じてしまいます。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2007年11月06日 07時40分35秒
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