以前、準備中の給食室へお邪魔する機会があったのですが、その際、今日のメニューは何ですか?と尋ねたところ、ボルシチですよと給食のおばさんに教えられ、最近の給食も変わったものだと思った事があります。
バイキング形式の給食の登場以来、私の頃とはずいぶんと様変わりしてしまったのだと、給食の話題を聞くたびに思ってしまいます。
その日のメニューだったボルシチは、ロシア料理の代表的なメニューでもありますが、発祥の地はウクライナと言われ、旧ソビエト連邦の各地にシベリア風、モスクワ風といったさまざまなレシピが残されています。
基本となるのは肉や野菜を煮込み、サワークリームを添えた物ですが、欠かせない物としてウクライナの言葉でブリャーク、お馴染みの言葉ではビーツがあります。
体に優しい糖分として「てんさい糖」が販売されていますが、てんさい糖の材料となるてんさいはこのビーツの一種であるシュガービートで、味噌汁の具材でお馴染みのふだん草もビーツの仲間のリーフビートです。
ビーツは赤い色をしていて姿は似ていますが、日本の赤カブとは別の種類となり、赤カブとは違い皮だけでなく中身まで赤い色をしています。この赤い色は食用色素としても使われています。
ボルシチは一見赤い色をしている事から、トマトを加えているようにも思われてしまいますが、特有の赤い色の素はビーツによるものとなっています。
野菜と一緒にビーツを刻んで加え、煮込むうちにビーツの色素が溶け出し、ボルシチ特有の色合いとほんのりとした甘味を加えてくれます。ボルシチをただの煮込み料理と違えているのは、このビーツの存在かもしれません。あの日の給食、寒い日だっただけに特に美味しそうに見えてしまいました。