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テーマ:今日の体調(3622)
カテゴリ:薬
ヒポクラテスの時代、柳の樹皮を煮て作られる苦い液体に解熱、鎮痛の働きがあるとして知られ、痛みや熱の特効薬とされていました。爪楊枝に柳の木が使われる理由も木質だけでなく、柳の枝を噛む事で虫歯の痛みが和らぐので、柳の枝を噛む習慣から使われるようになったとする説もあります。
しかし、そんな柳の働きも長い歴史の中では忘れられていましたが、19世紀に入ると柳の木から解熱、鎮痛の効果があるサリチル酸が分離されます。サリチル酸は解熱鎮痛剤として使用されますが、患者が耐えがたいと思うほど苦く、強い胃腸障害という副作用もあり、安心して使える薬ではありませんでした。 1897年、リュウマチを患った父親を気遣うドイツの薬品メーカーに勤める研究者、フェリックス・ホフマンはサリチル酸を手軽に服用できる物にしよと過去の研究に着目し、サリチル酸のアセチル化を行ない、苦味と副作用の少ない薬剤、アセチルサリチル酸(アスピリン)が誕生しました。 アスピリンは抗炎症剤、鎮痛剤として広く使われ、一般用薬剤としては売り上げが歴代3位、使用量では第一位となり、歴史上最も使われた「薬の王様」と言われるほどになっています。特に消費量が多いアメリカ一国だけでも、年間に服用されるアスピリン量は200億錠と言われ、いかに広く浸透しているかが伺えます。 古いアメリカの映画やドラマを見ると、朝起きるとすぐにアスピリンを服用する場面が出てきて、日常の一部となっている事が理解できます。目覚めたときの頭痛を和らげるためという感じですが、最近ではアスピリンが血管を拡張してくれる事から、少量のアスピリンを毎日摂取する事で脳血栓や心筋梗塞などの血管障害を予防できるとして、疾患の有無に関わらず愛用している人も多いとされます。 最近の研究では、アスピリンを夜、就寝前に服用する事が効果的とされています。臨床試験でもその違いは明確に出されており、血液凝固を引き起こすホルモンが夜間の休息時に産出される事から、産出を抑える働きがあるのではとする考え方や、夜間は消化管による薬剤の吸収率が高まるのではとする説もあり、現段階では明確にされていません。 今後の研究待ちという部分も多く残されてはいますが、アスピリンがなぜ効くのかという事が解明されるのに、アスピリンが開発されてから80年もかかっています。それを思うと少々待つくらいはと思ってしまいますが、アスピリンの愛用者に無自覚のまま胃腸障害を起こしている人が多いともされます。就寝時の服用には注意が必要なのかもしれないので、研究の早期展開を期待したいと思います。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2008年05月28日 08時17分15秒
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