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テーマ:今日の健康状態は?(10555)
カテゴリ:薬
漢方薬というと新薬と比べ身体に優しく、その分、効き目は穏やかというイメージがあります。薬を飲まなければならない場合、できれば漢方薬でと思ってしまうのは、そうしたイメージによる部分も大きいと思います。
そんな漢方薬ですが、最近、さまざまな研究で漢方薬の効能について新たな評価が行われるというレポートを見かけます。有効成分のシキミ酸が含まれるという事で、インフルエンザの治療薬、タミフルと同じ効能を持つとして「麻黄湯」が話題になっていたのも記憶に新しいところです。 子供の夜泣きなどに良いとされる漢方薬、「抑肝散」は、幻覚や妄想などのアルツハイマー病の周辺で起こる症状にも処方される事があります。先日、その抑肝散に症状の原因として考えられている脳の神経細胞死を抑える効果がある事が、明らかにされ、報告されていました。 細胞内のタンパク質の形を整える働きを持つ小胞体の遺伝子で、遺伝性のアルツハイマー病患者に変異が多いとされる「プレセニリン1(PS1)」と呼ばれる遺伝子があります。PS1が変異した小胞体は、神経伝達に重要なカルシウムの濃度変化に対応する事ができずに機能が低下してしまい、不完全なタンパク質が蓄積する事で細胞死が起きると考えられます。 PS1を変異させた実験用の神経細胞を使い、小胞体内のカルシウム濃度を変化させる薬剤を用いる事で、遺伝性のアルツハイマー病と同じような状況を作り出します。神経細胞の約60%が死滅した中、抑肝散を与える事で神経細胞の死滅率を約25%に減少させる事に成功しています。 抑肝散の主な処方は、子供の夜泣きや疳(かん)の虫などを抑えるために使われてきましたが、小胞体に関する事は知られていませんでした。患者の多くを占める老年性アルツハイマー病も小胞体の機能低下が関係している可能性があり、今回の結果と同様の仕組みで周辺症状を抑えている可能性が考えられる事から、新たな治療薬となりえる事も考えられます。漢方薬の新たな可能性として、歓迎できる報告ではないでしょうか。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2009年03月14日 07時55分28秒
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