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テーマ:食べ物あれこれ(49888)
カテゴリ:薬
以前、夏に弱い私に、梅酒の要領でマタタビを漬け込んだ「マタタビ酒」を薦められた事があります。動けないくらい激しかった夏バテがマタタビ酒によって乗り切れた経験をして以来、毎年漬けておられるとの事で、当時はマタタビというと猫というイメージしかなかったので、少々意外な感じがした事が思い出されます。
マタタビはマタタビ科の蔓性の落葉木で、初夏に白い梅に似た甘い香りの花を咲かせる事から、「夏梅(なつうめ)」「蔓梅(つるうめ)」と呼ばれる事もあり、山道で疲れ果て、動けなくなった旅人が、偶然近くにあったマタタビの実を食べたところ、疲れが取れてまた旅を続ける事ができた事から「又旅(またたび)」の名前が付けられています。 昔から「猫にマタタビ」と言われ、猫にマタタビを与えると転げまわって喜ぶ姿が観察されます。マタタビに含まれる「マタタビラクトン」と呼ばれる成分によって酒酔いに似た状態が作り出されていて、人にとって「酒は百薬の長」と言われるようにマタタビは猫にとって万病に効く薬として、欧米では「キャッツパウダー」と呼んでマタタビの粉末が使われています。 人に対しても滋養強壮や疲労回復に役立つ薬効性が高い植物として古くから知られ、漢方薬の素材としても使われてきました。 マタタビの実は正常に育つと縦長な形状になりますが、成長の過程でアブラムシに寄生されてしまうと球形の「虫こぶ」と呼ばれる状態に成長します。 本来は正常な成長を遂げていない虫こぶのマタタビですが、薬効は通常の実よりも高く評価されていて、「木天蓼(もくてんりょう)」と呼ばれる生薬として扱われます。正常に成長した実が食用とされる事に対し、虫こぶのマタタビは高い付加価値を持つ物として扱われ、マタタビの効能として知られた滋養強壮、疲労回復だけでなく、中風、リュウマチ、冷え性、腹痛に有効性を持つ物とされます。 猫の物というイメージしかないマタタビですが、マタタビ科のオニマタタビというとお馴染みのキウイの事で、急に身近な物に思えてきます。本格的な夏を前に、漬け込んでおけば良かったという思いだけが高まってくる素材、それがマタタビと私の中ではなっています。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2010年07月31日 07時49分53秒
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