最近、花粉症の方が増えた事やインフルエンザの大流行への懸念もあり、街中でもマスク姿の人を多く見かけるようになりました。何かが欠かせない人の事を「○○ラー」や「××イスト」のような呼び方をする事がありますが、マスクが欠かせない人が「マスカー」と名乗らないのは、好きで着用しているのではなく仕方なく着用しているためと思えてきます。
かつてマスクというとガーゼが主要な素材となっていて、ガーゼは織り目が比較的大きな布である事から、ガーゼの織り目とインフルエンザウィルスの大きさの対比を身近な物に喩えると、ガーゼの織り目の大きさが学校にある25mプールに対しインフルエンザウィルスの大きさがサッカーボール程度とされるため、かなり無力な物のように思えてきます。
そんなマスクの目の粗さをカバーするためにガーゼを重ねてマスクを作る事が通例となっていて、12枚や16枚、18枚、24枚、30枚と何故か4や6の倍数となっています。重ねる数が増す事で集塵性能が向上しますが、息苦しさや圧迫感が増してしまい装着感が悪くなってしまいます。
ガーゼに代わってマスクの中心的素材となってきているのが不織布で、ガーゼよりも目が細かい事や薄い事、立体成型が可能な事もあり、集塵性能や装着感という点で大幅に向上した製品作りが可能となっています。
インフルエンザの予防を意識したマスクの着用が増えてきてからは、「サージカルマスク」という言葉をよく聞くようになってきました。サージカルマスクの「サージ」とは手術や処置といった医療行為を指し、医療現場での使用に適う規格を備えたマスクという事になります。
そんなサージカルマスクの中でも「N95マスク」と呼ばれるマスクは高性能のマスクとして知られ、インフルエンザの予防や感染の拡大防止に役立つマスクとして一般的にも使われる物となってきています。
N95マスクの「N95」とは、米国の労働安全衛生研究所が提唱するN95規格をクリアして認可された微粒子用マスクという事を示し、「N」は耐油性がない事を「95」は試験粒子を95%以上捕集できる事を示しています。
米国労働安全衛生研究所においてN規格用に用いられる試験粒子は、塩化ナトリウムなどを中心に空力学的に最もフィルターで集塵しにくい0.3μmの粒子が使われていて、それ以上の大きさやそれ以下の小ささの粒子は試験粒子よりも集塵されやすくなる事から、試験粒子を95%集塵できればそれ以外の粒子も95%以上集塵できるものとなっています。
非常に高性能な集塵性能を持つN95マスクですが、意外な盲点があり、N95規格で保障されているのはフィルターとしての集塵性能のみで、装着後の密着性については保証されていません。そのため正しい装着が行われず、マスクと顔の間に隙間が空いてしまうとN95規格本来の性能は発揮できなくなってしまいます。
最近のマスクは立体成型された物や緩やかなカーブを作るように幾筋かのプリーツが設けられた物が主流となり、凹凸が大きな部分はそれに合わせるためにアルミなどのフレームが挿入されていたりもします。うまく装着したつもりでも意外と息の漏れが生じている事があります。正しく装着して本来の性能を発揮させなければと思います。