カテゴリ:囲碁
人に勧められてひかるの碁の単行本を喫茶店で初めて読んだのは、2年くらい前でしょうか。その一場面で突然、忘れかけていた遠い昔の光景がよみがえってきたのでした。 ひかるが初めて自分の力で塔矢と対戦して、打ちのめされる。塔矢は、ライバルのふがいなさに怒り、ひかるはいつか塔矢に追いつくことを誓う。ひかるの碁においてまさにこのシーンこそは、宇宙戦艦ヤマトが地中から発進するあのシーンに匹敵する名場面でしょう。
私がTさんに初めて会ったのは、中学2年の時で彼は中3でした。少年少女囲碁大会が始まる前年のことで、初めて県大会が開かれたのでした。小さな部屋で、そこにいるほとんどが学校の先生で、参加者は小学生が多分2人、中学生が3~4人だったと思います。Tさんはすでに、アマ十傑戦の県大会で上位入賞するほどの実力者で超有名人でした。私は、碁を覚えてまだ1年くらいでした。精一杯戦いましたが、当然全く相手にはなりませんでした。同じ年ごろでとんでもなく強い人がいることに驚きました。誰かが、Tさんに聞きました。「手ごたえはどうだった?」 大会前に、多分誰かがTさんに結構強いのがいるよと吹き込んでいたのでしょう。彼は、「もっと強いと思ったのに」と残念そうに答えていました。私は、自分が不甲斐なく彼に申し訳ないような気持ちと、「よし、いつかは追いつきたい」という前向きさが混ざったような気持ちだったと思います。 その時は、自分の気持ちを表現する事ができませんでしたが、ひかるのシーンを見て記憶がよみがえり理解できたのでした。 その後も、Tさんは常に私の先を行きました。Tさんは、私をライバルとは思っていないでしょうが、私には永遠のライバルなのです。7~8年前に、十傑戦で対戦しひどくやられましたが、今度こそいい所を見せたいと思います。 ところで、Tさんは一時プロを目指していた事があり、ひかるの碁にも登場します。確かめたわけではないのですが、年恰好や設定からして間違いないはずです。機会があれば、梅沢プロに確かめてみるつもりです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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