テーマ:囲碁全般(745)
カテゴリ:囲碁
今日は加藤正夫プロの追悼番組を見て、あらためて若すぎる死を惜しむ。間近に加藤プロを見たことはないが、NHK杯で加藤九段の碁を見るのは楽しみだった。足が遅そうだけれど遅れない、力強くてじわじわ締め上げるような攻めは、憧れていた。その感じだけでも真似したいなあといつも思った。
その後の活躍が華々しくて忘れていたが、以前殺し屋の他に万年2位というニックネームもあった事も思い出した。木谷門では珍しく晩成型で、最近でもまだどんどん強くなっているように思えた。武宮さんが、加藤さんの碁の強さは辛抱にあると言っていたが、なるほどと思った。辛抱できずに足早に展開すれば攻めの碁にはならない。やはり、生き方と棋風は切っても切り離せないものなのだろう。 以前加藤さんの本ですごく影響を受けたような気がして、探してみた。昔は立ち読みが多かったので、あまり棋書が残っていないが、一冊発見した。「碁風をさぐる。加藤正夫 攻めの戦略」成美堂。何と、ところどころにペンで書き込みがあるのにびっくり。ほとんどそんな事はしたことがないのだが、加藤流の攻めの思想によほど感銘を受けたのであろう。 また今日も解説していたが、小林光一戦での後手で棒つぎして狙いを残した手は、当時も衝撃的であった。小林名人が気がつかなかったくらいだから、歴史に残る妙手だと思う。この当時は、何でこんな手がひらめくんだろうと思った。しかしこの手は、単にひらめきというのではなくて、足が遅くてもじっと我慢して目標に向かっていくという、加藤さんの碁風や生き方が生み出した手だと今は思える。 長生きしていれば、さらに大きな仕事と芸を見せてくれたと思う。しかし、加藤さんは人の心を動かし、棋院の改革の精神は必ず受け継がれるであろう。そして、名棋譜は永遠に残るのである。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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