カテゴリ:囲碁
最近、Nさんが亡くなったのを知った。金銭などのトラブルが多かったらしく、以前の碁仲間にもだんだんと顔を見せることがなくなっていたようだ。私はまだ子供だったので、良いNさんしか知らない。豪放で愛想がよくて、一緒にいるだけで楽しくなるような人だった。愛すべき人柄ゆえに、お金を貸す人も多かったのだろう。
私にとっては、碁を教えてくれた大恩人である。中学一年の終わりくらいの時に碁を覚えたのだが、しばらくして父親を抜いた後は、碁を教えてくれる人はあまりいなかった。田舎だったのでまだ碁は博打のイメージがあり、中学生が碁を打つなどはよく思われなかったためかもしれない。Nさんには、毎週日曜日に一局打ってもらった。物をあまりよく覚えていない私だが、このときに教わったことのいくつかは、今でも鮮明に覚えている。最近は滅多にみないが、当時は小なだれから、ポン抜きしあう定石がよく打たれていた。なだれた方が、ポン抜いて完成である。Nさんが、「最後のポン抜きを手抜きしたらどうなるか」と私に問う。問いかけを繰り返しながら、以下のような図が作られた。 (;GM[1]FF[1]SZ[19] ;B[dq];W[do];B[co];W[dp];B[cp];W[eq];B[dn];W[cq];B[dr];W[bq] ;B[er];W[fp];B[fq];W[cn];B[ep];W[eo];B[fo];W[en];B[gp];W[tt] ;B[dm];W[em];B[cm];W[bn];B[el];W[gn];B[gm]) 今なら、どうという事もない一変化だが、この時は衝撃的であった。定石の完成途中で手を抜くということ、黒のはねに対して曲がりでなくて飛ぶこと、そして最後のつける手。どれも自分の既成概念を崩すものであり、その時の驚きと感激は忘れられない。 今でもNさんは、私の一番の師匠だと思っている。Nさんのことだから、閻魔様もうまく言いくるめて天国に行っているであろう。いつかまた、あの世で打ちましょう。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
Feb 6, 2005 03:11:46 PM
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