テーマ:囲碁全般(745)
カテゴリ:囲碁
憧れのpgさんのリクエストに応えて、今日は坂井プロとの対戦の話。ところで、前回の話はあくまで一般的な話であり誤解を与えるといけないので、念のため補足する。坂井さんがプロになる最終的な決断をしたのは研修医になった時であったが、これは思いつきや逃避ではなくて、ずっと長い間悩み考え続けてきた上のことだと思う。まじめな彼のことだから、想像を絶するような葛藤があったはずだ。
数年前の、アマ選手権のこと。組み合わせを知らないまま、朝、日本棋院2階の対局場に行った。さっそく組み合わせ表を見て、愕然とした。 何と、一回戦で坂井さんと当たってしまった。彼は、すでに圧倒的な強さでアマでは抜きん出た存在だった。よりによって何十人もいる中から、彼とあたってしまうとは何たる不運。今思うと良い記念になったのだが、この時は最悪の組み合わせだと思った。しかも、せっかくいいところを見せようと妻を連れてきたのに。 対局前に二言三言言葉を交わした時は穏やかな様子だったが、対局が始まった瞬間からの集中力のすごさにいきなり圧倒されてしまった。とても、アマのそれとは思えなかった。 試合は穏やかな碁になったが、そつなくポイントを重ねられて完敗した。どんな、強豪でも一局の中でどこかで多少の隙は生じるものだが、彼は優勢になっても全く隙を見せることなく、歯が立たないという感じだった。私の全然だめな碁だったのだが、対局後は誠実にしっかりと検討してもらって恐縮した。 ただ、あとから振り返って相手の強さもさる事ながら、最初から勝負を諦めてしまったような気分があったのは何とも情けなかった。 妻は、碁も知らないし相手のことも全く知らなかったが、局後に「最初に向かい合って座った様子を見ただけで負けるのがわかった。」と言う。相手の圧倒的な貫禄がすごくて、片や私からは勝てるような雰囲気が全く醸し出されていなかったらしい。実は、この時はまだ彼女の勝敗を当てる超能力を知らなかったので、最初は冗談だろうと思った。 しかし、2回戦の試合を観戦しながら勝敗を当てさせてみて、驚いた。何と碁は全く知らないのに、布石を見ただけで予想した勝敗の結果が、ほとんど当たってしまったのだ。どうも、勝ち負けの雰囲気が画像的に見えてしまうようなのだ。 しかも、「あの人とあの人はは、ただ者ではない。」と言うので、誰のことかと指差す方を見ると、招待選手の平田、菊池選手だった。どうもこの能力は本物だと確信した。 しかし、よく考えてみると恐ろしい。実は、勝負の行方は対峙して対局が始まった瞬間に決まっているのであろうか。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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