カテゴリ:囲碁
先日のオムライスをめぐる味わい深い攻防の一局について(7月7日の日記参照)、後輩に話したところ、彼からも面白い一局を紹介された。
彼が以前勤めていた病院で食堂に入った時の対局である。以下が棋譜と解説である。 ウエイトレスの一手目→「何にいたしましょうか?」(右上隅小目) S君の2手目→「日替わり定食の大盛り」(実は、いきなり小目にかかりの奇襲) ウエイトレスの3手目→「今日の日替わり定食は、スパゲティーなんですが。大盛りでよろしかったですか?」(しっかりと受けてきた) S君の4手目→「はい、いいですよ。」(手なりだが好手) ここまでは、私のオムライス対局と似た展開である。S君好調の出足である。 ウエイトレスの5手目→厨房と相談してから戻ってきて。「申し訳ありません。スパゲティーの大盛りはできないようです。ライスをお付しましょうか?」(様子見の好手) S君の6手目→「はい、いいですよ。」(豪快な車の後押し) S君、ここで引き下がれないと思ったのである。初志貫徹である。 ウエイトレスの7手目→普通盛りのスパゲティーと大盛りのライスを出して来た。 (攻守逆転。強烈な逆襲が来た) S君の8手目→何事もなかったかのように涼しい顔で、全部食べる。(ポーカーフェイス) こうなると、意地である。例え碁に負けても、この一手は譲れない。最初の着手の意志を継続したのである。 この一局を観戦しようと、対局場(食堂)にいた全員が注目したという。さらに、次の日には、この壮絶なる一局は職場中に知れ渡り話題になったらしい。 今回の対局は、S君にやや初志貫徹の意識が強すぎて結果的に失敗した一局と言えよう。しかし、これは高段者によくありがちな現象であり、S君を責めるのはやや酷かもしれない。それよりも、ライスを付けるという完全に意表をついた着手を繰り出し、一瞬の難しい判断を迫ってきた相手を褒めるべきであろう。 思いがけず、名局を鑑賞させていただいた。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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