5年半、1979日にも渡って首相であり続けた小泉さんが、遂に明日退任する。戦後3番目に長い長期政権であった。私も、小泉さんが首相になったときには5年も政権が続くなんて思うはずもなかった。
小泉さんが首相に就任したのは2001年4月26日のことだ。私は当時中学3年生だった。小泉さん以前は約1年単位で首相がコロコロ代わっていて、まだ政治に関心がなかった当時の私でさえも異常だと感じていた。
「自民党をぶっ壊す!」この言葉に当時の私、いや日本中の人が魅せられたと思う。他に「聖域なき構造改革」といった特殊法人の統廃合も推進したことで、私も「これはいいぞ、がんばれ」と感じたものだ。熊本のハンセン病患者との裁判では患者の隔離政策を進めてきた国の責任を全面的に認め、控訴を断念したことで大きく支持率を上げた。
全体的にパフォーマンス重視みたいな感じで、国民は政治家を政策の内容よりもイメージで選ぶようになってしまったのも、影響しているのだろうか。いずれにせよ、ある意味すごいパフォーマンスで人々を魅了したと言っていい。この前の郵政解散では「郵政民営化に賛成か、反対か」と言って、焦点を絞った。少子化対策や、財政再建など他の政策はどうでもよかったのだろうか?
このようなことで、人々からは「永田町の変人」と呼ばれたりもした。
小泉さんは靖国神社に参拝するとなると、靖国神社の正体を知った後の私の考えとは180度反対の人物だった。
「終戦記念日には、いかなる批判があろうとも必ず参拝します!」と自民党総裁選挙の際に公約していた。これは今年になって実現に至ってしまったことだが、これは私が再三指摘している通りとなった。このせいで中韓との関係悪化が際立つ結果になったのは説明するまでもない。
小泉さんは今年、終戦記念日に靖国参拝という公約を達成した後に「A級戦犯が祭られているから、ということで行っちゃだめだという意見がある。私は特定の人々に対して参拝している訳ではない」とコメントしたが、中国・韓国からすれば日本の首相が靖国神社に参拝することによって、A級戦犯を賛美、あるいはそれによって先の大戦を美化しているように見えるのだ。戦争を美化するということは大問題だ。
また、今年の正月には「靖国参拝について、国内外から批判されることは理解できない」という趣旨のコメントをした。日本国内でも参拝に批判的な人は大勢いる。それを理解できない、とはどういうことなのか。
またテーマは変わるが、郵政民営化で大揺れだったときも、小泉さんはある意味無寛容な人だった。反対した人たちを公認にしなかったどころか、対立候補を立てた。それも落下傘候補というある意味汚いやり方で。そして総選挙の後には新党に参加した人については除名処分とまでした。
郵政民営化計画自体については、「ほんとうにこれでいいのか?」みたいなことがいっぱいある。集配局の削減や過疎地からの撤退など、郵便という国民の公共サービスが低下することが明白なことを考えている。
そして物流事業においては民間企業との競争面において、郵政公社はあらゆる優遇措置を受けている(税金免除とか)。このことについては民間企業と全く同じ条件で競争、というのならば納得がいくのだが…。そして国際物流事業に進出するなど、肥大化は留まるところを知らなさそうだ。このままでは日本の物流業界が危ない!
小泉政権の5年間は何だったのか。私は「裕福層と貧困層の格差が拡大した」あるいは「近隣諸国との関係が悪化した」と答えるだろう。靖国問題の他にも、規制緩和などの政策で格差拡大が指摘されているのも見過ごせない点だ。日本の進むべき道は、もう決められているかもしれない。大国としての繁栄か、そして大国からの転落か…。これは数年間見てみないと分からない。
いずれにせよ、小泉純一郎という人は歴史に名を刻んだ。それもある意味で。10年後には小泉さんという人は、どう評価されているのだろうか。私は「やはり永田町の変人だった」と評価するだろう。
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