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カテゴリ:日本・世界の地理
最近ではICTの発達などで在宅勤務が珍しくなくなりました。特にコロナ前の東京では、勤務地から遠く離れた住宅街や衛星都市に住み、乗車率200%近くの通勤電車(特に小田急だとか地下鉄東西線)に毎日苦しみながら乗車。勤務開始の時間には、もう心がボロボロ。退勤に際しても定時退勤なんて夢のまた夢。終電で帰宅。自宅へは、ただ寝るだけ。これは極端な例ですが、中には上記のような人もいたのではと思います。
しかしコロナ禍を経て、働き方の見直しが進んだのは間違いありません。また、企業でも「東京、それに23区内に本社を置くのがステータス」だった価値観が見直されたのではと思います。大企業の本社そのものまでとは行きませんが、本社機能の一部移転という話が出るようになりました。 企業の“脱首都圏”。会社が移転したらどうしますか?(NHKの特集記事。2022年4月22日) 本社自体または本社機能の一部を地方都市に移転した有名企業では、以下の例が挙げられます。 ・ミシュラン(日本法人):東京都新宿区→群馬県太田市 ・パソナ:東京都千代田区→兵庫県淡路市 ・芸能事務所アミューズ:東京都渋谷区→山梨県 南都留郡 富士河口湖町 ・森田薬品工業:東京都中央区→広島県福山市 ・MOVIMAS:東京都千代田区→岩手県八幡平市 ・デクセリアルズ:東京都→栃木県下野市 他にも移転予定なのが、以下の通り。 ・NTT:東京都千代田区→群馬県高崎市、京都市 ・小田急電鉄:東京都新宿区→神奈川県海老名市 その潮流の中で、NTTが本社機能の一部移転に関する実験を始めるとのことです。 本社機能の地方移転が広がる、在宅勤務の浸透で企業の意識にも変化(28日、読売新聞) NTTは10月、社内業務が中心の総務や経営企画部門といった本社機能の一部を東京・大手町から、群馬県高崎市と京都市に移す試験を始めた。コロナ禍で在宅勤務が浸透したことをきっかけに、東京にある本社に出勤するという企業の意識に変化が出ている。 =NTTが試験= NTTの経営企画部門で働く大和田洋介担当課長は、ほぼ毎日、首都圏にある自宅で働いている。月に数回、新幹線を使って高崎と京都のオフィスに出勤する。ビデオ会議も活用し、普段会えない社員と会う。「自然が多く、気分を変えて仕事ができる」と話す。 本社機能の分散は、東京で大きな災害が発生した時に、業務を続ける狙いがある。今夏から、総務部門などで働く社員はテレワークが基本となり、居住地の制限をなくした。2か所の拠点で働く約200人の社員には転勤を命じておらず、必要な交通費を支給する。 小田急電鉄は2023年2月、神奈川県に海老名本社を設け、東京・新宿と2拠点体制にする。本社配属約800人のうち、駅管理や沿線の観光業務を担う約450人が移る。神奈川に鉄道路線が多く、広報担当者は「現場と連携を深めるのが狙い」と説明する。 工場がある製造業でも、本社機能を移す動きが出てきた。クラフトビールを生産するファーイーストブルーイングは昨年6月、山梨県小菅村に本社を移した。拠点集約で固定費を減らすことができた。転居を求めれば、退職する社員が出る恐れもあったが、在宅勤務の定着が助けになった。 生産性の向上を期待する例も多い。大手芸能プロダクション、アミューズは昨年7月、本社を山梨県に置いた。富士山が近い場所で社員の創造性を育む。多くの社員は、都内に残るオフィスや在宅勤務を組み合わせており、常勤は社員の1割に満たないという。 =自治体が支援= 帝国データバンクによると、21年に首都圏4都県から、本社や主要機能を地方に移した企業は351社あった。前年より63社増え、1990年以降で最多だった。大阪府や茨城県、北海道が移転先に挙がっている。 岡山市がオフィス整備費用の一部を補助するといった制度を設けるなど、受け入れを促す自治体は多い。政府も地方創生の観点から本社機能を移した企業に対し、減税措置を講じてきた。だが、人口が集まる東京を離れがたいとの声も多い。 大和総研の神田慶司氏は、「コロナ禍でテレワークでできる業務が確認され、今後も本社機能の一部を移す例は出てくるだろう。ただ、交通の便が良く、情報が集まる首都圏に本社があるメリットは変わらない」と話している。 (引用終わり) 首都圏企業、2年連続の「転出超過」へ 「転出超過」は70社超予想、20年ぶり高水準(9月30日、帝国データバンク) =首都圏・本社移転動向調査(2022年1-6月速報)= 企業の「脱首都圏」が続く。2022年1-6月間に判明した、首都圏から地方へ本社を移転した企業数は168社に上った。昨年に続き2年連続で150社を超え、企業本社の首都圏外への転出の動きが加速している。このペースが続いた場合、首都圏外への企業移転は2001-02年以来20年ぶりに2年連続で300社を超える見込みのほか、1990年以降、昨年に次ぐ2番目の高水準となる可能性もある。 他方、同期間における地方から首都圏への転入企業は124社にとどまり、過去10年で最少となった。コロナ禍で企業移転の動きが全面的にストップした2020年1-6月の水準(125社)を下回っており、企業の首都圏流入の動きは停滞化の兆しがある。 この結果、2022年1-6月における首都圏への本社移転動向は、転出企業が転入企業を44社上回る「転出超過」となったほか、前年同時期(14社)に比べて大幅に増加した。このペースで推移した場合、22年通年の転出超過社数は70社を超える可能性が高い。この水準は、2001年(転出超過:92社)以来20年ぶりの水準となる。 =移転先トップは「茨城県」、4年ぶりの多さ 移転先はより遠方・広範囲へ拡大= 首都圏から地方へ移転した企業の転出先では、最も多かったのが「茨城県」の18社だった。茨城県は昨年も大阪府に次ぐ2番目の多さだったが、全国トップとなるのは2018年以来4年ぶりとなる。次いで「大阪府」(17社)、「愛知県」(13社)と続き、首都圏からの転出先として10社を超えたのはこの3県のみ。首都圏から離れた大都市などに移転先が集中する一方で、北陸地方では「新潟県」(8社)のほか、「群馬県」(9社)など首都圏に隣接する地域へ移転する企業も引き続き多い。ただ、移転先の都道府県数は計37となり、昨年(31)から増加するなど、移転先はより遠方・広範囲へと広がりをみせている。 地方から首都圏へ移転した企業の転入元では、「大阪府」(22社)が最も多かった。次いで「愛知県」(17社)、「北海道」(11社)などが続いた。北海道は首都圏からの転入も多い(6社)一方、首都圏への転出も多くみられた。 =企業の「脱首都圏」今後も続く可能性 本社の「複数拠点化」も進む= これまで、首都圏から地方への拠点分散化が進んだ時期はバブル崩壊後の1990年代や2008年のリーマン・ショック後など、経済環境が悪化した時期に重なっている。近時も、コロナ禍で多くの企業が売り上げを減らすなか、オフィス賃料が安い地方に移転することで経営立て直しを図るケースは多い。電気代の高騰などコスト増加要因が多いなか、経営コストを圧縮するため首都圏外へ退避する企業は今後も増加する可能性がある。 他方、テレワークやウェブ会議が浸透しつつあるなかで、東京+αといった本社機能の複数拠点化や、社員の居住地制限の撤廃といった働き方の変化・定着により、企業における本社の在り方が見直されつつある。こうした「前向き」な本社移転ニーズの拡大により、企業における「脱首都圏」の流れが定着するかどうかが注目される。 (引用終わり) 平成時代には、東京へ本社を移転する大企業が多かったですね。特に大阪拠点の大企業が東京に移転する例が多かったです。コロナ禍を経てその傾向は完全に断ち切られました。九州から北海道まで様々な大企業が本拠地を置き、「多様性のある」社会であってほしいと思っています。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
Dec 4, 2022 09:41:37 AM
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