新型視野検査装置、コーワ社のAP-7000を導入しました。
さて当院では7年前の開業時に日本のコーワ社のAP-6000という視野検査装置(緑内障の方の見える範囲を調べる検査で使うもの)を導入していました。 このAP-6000はその後ずっと快調に作動しており特に問題も無かったのですが、この7年の間に新型のAP-7000へとモデルチェンジしており、ディーラーの吉田メディカル様の御厚意でそれをデモする機会がありました。 デモする前は、「以前に学会場でコーワのブースに立ち寄った時に営業のおっちゃんが「ぶっちゃけ正直に言うと、別に買い換えるほどではない。」と言ってたし、多分大したことはないだろう。」と踏んでいました。 ところが実際にデモをしてみると、この機械、実に素晴らしかったのです。それでは具体的にどこが良かったのでしょうか? 2点あります。 1. 新たに600人以上の日本人の正常眼のデータベースを搭載していて、これのおかげで検査の精度が物凄く上がっている。 2. 緑内障かどうかを判定する診断ソフトを新たに本体に内蔵しているのだが、これの出来が滅茶苦茶良い。 ということでした。この2について具体的に解説しましょう。 これはある患者様の視野検査の結果です。左上の円で黒いところが視野が欠けているところになります。しかし視野が欠けている=緑内障ではありません。何故なら、白内障、近視性網脈絡膜萎縮、BRVO(網膜静脈分枝閉塞症)のレーザー治療後、頭部外傷後の視神経萎縮、SSOH(上方視神経低形成)など、多彩な疾患が緑内障に似た視野異常を来たすからです。つまり、緑内障と診断するには「視野の異常と目の底の視神経の異常の状態が一致していること」が必要なのです。 ところが実際の臨床の現場では、「うーん、これは微妙だな。。。」と診断に迷うことも少なくないのです。そういった時にAP-7000内蔵の緑内障判定ソフトが非常に役立ちます。 簡単に言うと、上の図のPSD、GHT、PDの3つの指標の内1つでもオレンジ色に変わっていると緑内障性の視野異常があるということになります。 ということで、このAP-7000、実際に使ってみるとAP-6000から較べると物凄く進化していたのでした。コーワの営業のおっちゃんはちょっと謙遜しすぎだと思います。(笑) 私は借りて3日くらいで「あ、これは買うしかないな。」と確信したくらいには出来が良く、そのまま購入となりました。全国のAP-6000ユーザーの皆様も、是非一度使ってみてください。