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【連載】(30) タイムリミット
[ 【連載】気まま夫婦ののったりそったり人生 ]    

なまけもの読書会のメルマガに連載中のコラムです手書きハート

この連載、前回までの内容はこちらです☆
「気まま夫婦の のったりそったり人生〜♪」

ふたりのきまま人生を書いてゆきますが、
今しばらくは、きらきら夫との出逢いきらきらについて、連載中・・・☆

(いちばん上には今回のものが載っていますが、
スクロールして下にゆくと、以前のものが見られます)

〜☆〜☆〜☆〜☆〜☆〜☆〜☆〜☆〜☆〜☆〜☆〜☆〜☆〜☆〜☆〜☆〜☆〜


ふたりっきりの、夢のような旅のひとときが終わると、

実家での、ピリリとした緊張感走る日々が、私を待っていた。



というのも、会社をやめてから、はや半年あまりが経つ。

とりあえず、と決めた仕事先も、先月キャンセルしたばかり。



半年ものあいだ、仕事もせずに、日々、ぷらぷら〜っと

気ままな生活をしている娘に対して、

両親は、堪忍袋の緒が切れる・・の、もう寸前!!



「このご時勢、それもおまえの歳で、半年ものブランクがあったら、

仕事なんてなかなか見つからないぞ!!一刻も早く、仕事を探しなさい!」

私のことを、ふだんは穏やかに、黙って見守ってくれてる父でさえも、

さすがにしびれを切らして、日々、こんなことを言うようになった。



「それはじゅうじゅうわかっているけれど・・・今、通っている

カウンセリングが終わるまでは、ちょっと待ってて。」

と説明していた、その、ヒプノセラピーも、

もうじきに、最終回を迎える・・・という、ある日。



両親の雰囲気から、もうこれは、“タイムリミット”だな

と感じた私は、腹を決めて、話すことにした。



「大事な話があるんだけど、時間もらえる?」



思い切って話を切り出すと、居間にいた両親は、ふたりして

姿勢を正したあと、お互いに目をあわせ、「今、大丈夫だけど?」

と口をそろえて言う。そして、読んでいた新聞や雑誌をささっと

脇において、すぐさま、話を聞く態勢をとってくれたのだった。



「あのね、実は今、結婚を前提に付き合っているひとがいるの・・・」



自分で言い切ったあとに、あれ? 岩渕サンは、そこまで

考えてくれてるのかしら・・?という疑問が、ふと浮かんできた。

そういえば、まだ、本人にちゃんと確認していなかった!

でも、私の思いはほぼ言葉どおり、ウソでもないし、ま、いいか・・・

結婚という言葉を出せば、とりあえず、両親も安心、だろうし。



ところが、両親は、そんな事実関係より、なにより、

驚きのほうが、大きかったらしく・・・

「・・・・・・・・・・」

ふたりして、しばらく無言だった。



長い沈黙のあと、ようやく父が口をひらく。

「話って・・・仕事の話じゃなかったのか・・・?

てっきり、仕事のことかと・・・・」そして、再び、沈黙。



またしばらくして、ようやく、父がぼそりと言った。

「就職・・・・じゃなくて、永久就職のほうか・・・」

はっはっは・・・と力なく、苦笑いしつつも、

目は完全に宙を舞っている。



こういうときは、母のほうが冷静である。

「そのひとは、どういうひとなの?」具体的に聞いてきた。



先日旅をしたときに、車で送ってくれたひとである、ということ。

両親も知っている私の友だちの縁で、偶然にも再会した、ということ。

そして、仕事は中学校の先生で、今は、その専攻の勉強のために、

給料をいただきながら、大学へ通っている、ということ。

今、結婚を前提にお付き合いしてるところで、

私としては、同棲することから始めたい、と思っていること。



おおざっぱに、でも、両親が安心するだろう情報は

しっかり入れて、説明をする。



間髪入れずに、「・・・で、歳はいくつなの?」

さすがは母。漏れた情報は、しっかり確認してくる。



「9歳、歳上だよ。」



「・・・ってことは、38歳?!」



母の驚いた声に、てっきり反対されるかと思いきや、

次のひとことは、「じゃあ、早く結婚しなくっちゃ!!」だった。



え・・・・・・???

まだ相手に会ってもいないっていうのに、結婚をすすめるわけ??

母の答えのほうが、私には、意外だった。



私の小さい頃から両親は、子どもに対して、まじめで厳しい面があった。

お小遣いをもらえる年頃になると、お小遣い帳をつけるのが約束で、

その帳尻があわないと、次の月のお小遣いをもらえなかった。

小学校の頃は門限が5時で、それまでに間に合わないと、

たとえ理由があっても、締め出された。

旅行に行くといえば、旅行の計画書を出しなさい、と言って、

旅行の理由が不適切だと判断すると、行かせてもらえなかった。

いつも、のんびりぼやっとしていた私には、きっちり、計画して、

まじめに・・・という両親の信条が、なんだか窮屈にも感じていた。

とくに、父の分までと、親の役割をしっかり背負い込んでいた母は、

何事にも、すみずみまで細かく行き届いて、しっかりしている母、

というイメージだった。



・・・そんな母が・・・歳が離れている相手だったら、

さっさと結婚しなくっちゃ!!と言う。



私、実は今まで、母のこと、ずっと勘違いしてたんだろか・・?!

こんなに突拍子もない、抜けたことを言う母だったなんて・・・

なんだか、これじゃ、私とおんなじじゃないの・・・

生まれて初めて、母と私の共通点を発見したような、

そんな新鮮な気持ちでもあった。



両親とも、唐突な話に、かなり動揺していたせいもあると思うが、

なんだかお互い、かみ合ったような、かみ合わなかったような話のあと、

結局は、「相手の方の歳も歳なのだから、早く結婚したほうがいい」

という結論に至り、話はおわった。



そして、その日の、父の最後のセリフ。

「お父さんは、もうこの先、由紀子が何を言っても、

絶対に、絶対に、驚かないぞーーーーーー!!」

・・・それほど、父は驚いた、ということなのだろう。



とにもかくにも、意外にもあっさり、結婚の方向へ話がすすんで、

なんだかキツネにつままれたような感覚のまま、

岩渕サンに、さっそく電話で報告をする。



「両親に今日、話をしたらね、岩渕サンの歳も歳だから、

早く結婚したほうがいいって、言うのよ〜〜!変な両親でしょ〜?」


「・・・・・」


あ、そうだ、岩渕サンは、結婚したい、という意志はあるんだろうか?

ここで初めて確認をしてみる。と、いつものように、

ぼそっと答えが返ってくる。「も・・・もちろん・・・」



あまりのそっけない返事に、「え?本当にいいの?」と確認すると、

ますます小さい声で、ぼそっと返事をする、岩渕サン。

相変わらず、なんだかはっきりしないけれど、

いいって言うんだから、ま、いいのかな。



まずは同棲してから、のほうがいいと思ってたけど、

まぁ、これもこういう、“流れ”ってことなのかなぁ〜

両親の反応にはびっくりしたけど、かといって、特に違和感もないし。

試しに結婚してみて、ダメだったらまたやり直せばいいか・・・☆



ふたりの意志で、というよりも、

なんだか、両親の意見におされた形で、

あれれぇ〜〜 というまに、結婚する方向へ・・・

ひょえ〜〜っと 流されてゆく・・・・私たち・・・




(続く)


〜〜〜☆〜〜〜☆〜〜〜☆〜〜〜☆〜〜〜☆〜〜〜☆〜〜〜☆〜〜〜☆〜〜〜☆〜〜〜

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Last updated  2009.10.05 09:56:17


2009.08.22

【連載】(28) 衝  撃
[ 【連載】気まま夫婦ののったりそったり人生 ]    

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この連載、前回までの内容はこちらです☆
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しばらくの沈黙のあと、「実はいま・・・・」

ようやくぼそりと、岩渕サンの口から出た言葉。



岩渕サンの説明によると、付き合う、まではいかないのだけど、

「会いたい」と言い寄られている女性がいる、と言う。

そして、ときどき、その女性と会っている、と・・・



え・・・・???!! 

な、なんのこと・・・・・・??!



岩渕サンのその言葉を聞くまで、私は、全く疑う余地もなく、

「100% 相思相愛!!!」と、思い込んでいた。



早く告白しないと、先を越されちゃう!という思いばかりが

先行していて、誰かほかに、好きな女性がいる可能性、

なんてことは、少しも考えていなかった・・・



これっぽっちも、予想しなかった事態に、

緊張の糸が、一気にぷっつり、切れてしまい・・・

思わず、その場に泣き崩れてしまった。



泣いても泣いても、涙がとまらない。

涙と鼻水で、顔はもうぐっしゃぐしゃ。

どれだけ時間が経ったか・・・わからない。




ようやく落ち着いてきた私に、岩渕サンが言った。



「実はね、ずっと・・・そしてここ最近とくに・・・

すごく気になっていたんだよ・・・そう、ほんとうにね・・・」



「でも・・・まさか・・・」



妹にしたって、年が離れすぎてるほどの、9歳も年下の女性が、

そんな思いを自分に持ってくれてる、だなんて・・・と、

岩渕サンにしてみても、全くの予想外だったらしい。




一生懸命に、私の思いを察して、たどたどしくも

弁明してくれる岩渕サン・・・そんな動揺ぶりをみて、

もう思う存分、泣いて泣いて、泣ききって、

ひとつ抜けてしまった私は、かえって、冷静な気持ちになれた。




「私の気持ちは変わりません。お返事は、いつまでも待ちますから!!」

自分でも驚くほど、きっぱりと言い放っていた。




そして、その数日後・・・




私が思ったよりずいぶん早く、岩渕サンから連絡があった。




相手の女性にすぐ連絡をとり、もう会わないと告げてくれたらしく、

「改めて・・・つきあってもらえますか?」と言ってくれたのだった。

しかも、「来週から、伊豆に旅行に行きませんか?」とのお誘い。




わぁ〜〜い♪♪ 大喜びしたのもつかの間、その旅行先

の宿というのが、実は、その女性と行く予定だった場所、

ということが判明。「本当に申し訳ないのだけど・・・」と言う。




私はそれでも、「行きます!」と、なぜか答えた。

そう、なぜか・・・



口ごもった岩渕サンの、何とも分かりにくい説明から察するに、

どうやら、その女性とふたりっきりで行く、というわけではない、

というのは感じたけれど(そこまで確認する勇気がなかったし、

確認する必要もないと感じたので、あえて聞かなかったけれど・・・)、

私のこの返事は、今までだったら、まったく考えられない

類のものだった。私のプライドが絶対許さない!!はず、だった。

自分でも、自分の言った言葉が、とても不思議だった。




プライドとか何とかよりも、とにもかくにも、

一緒にいられるのだったら、うれしい〜〜☆

という気持ちのほうが、このときは、勝ってしまったよう。




電話を切ったあとも、「こんなあっさりOKしてしまって

よかったんだろうか・・・?」今まで馴染みだった考え方が、

ふっと湧いてきては、消え、またふっと湧いてきては、消え・・・

したけれど、やっぱり私の気持ちは変わらなかった。

自分の感覚の変化に、しばらく気持ち悪さすら感じた。




でも、時間が経つにつれ・・・その女性と旅行に行く直前に、

私が告白できたこと、ラッキーだったのかも!!と思えてきた。

ある意味、ぎりぎりで、すべりこみセーフ!!だったんだなぁ〜って。

告白を急いだのも、偶然じゃなかったんだなぁ!!って。




そう、気持ちを切り替えたとたん、今度は、

旅行が、楽しみで楽しみでたまらなくなってくる・・・☆

さて、と・・・準備、準備〜〜♪♪

悩むときはとことん、だけど、ふっきれたあとの

切り替えの早さも、私の取り得かも、とこのとき思った。



(続)



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Last updated  2009.08.22 14:52:25

2009.07.23

【連載】(27) 告 白
[ 【連載】気まま夫婦ののったりそったり人生 ]    

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2001年3月3日。


岩渕サンと出逢って、ちょうど2ヶ月目、4回目のデートの日。

私はこの日に“告白”を決行することにした。



大切な思いを告げるのだから、場所も大切に選びたい。

だったらやっぱり、大自然の懐に抱かれて、がいいわよね・・・☆

そう思って、七沢にある森林公園をふたりで歩くことにした。

以前いちど、ふたりで歩いた場所。

道はだいたい覚えている。



森林公園に入るとすぐに、急なのぼり坂が続く。

はぁはぁ息をきらしながら、ゆっくりゆっくり、

ひと足、ひと足、踏みしめながら、坂をのぼってゆく。

私の前を行く岩渕サンはというと、この道には慣れているらしく、

ときどき後を振り返っては、歩みを止め、私を待っていてくれる。



ようやく坂をのぼりきると、今度は、なだらかな尾根道へとつづく。

岩渕サンのあとをついて、その尾根道をゆったり歩きながら、

一歩、また一歩、息を整えてゆく私・・・



ようやく息が整ってくると、周りの景色をみる余裕も出てくる。

ところどころに見晴らし台があって、そんな場所では

ふたりでしばし、景色を楽しんだ。

かなた向こうのほうに、新宿のビル街が、

そして、また別のほうには、海までもが見渡せる。



景色を楽しみながら、尾根道をしばらく歩いてゆくと、

今度は、ゆるやかな下り坂が待っている・・・

この下り坂が終わる、そのちょっと手前には“芝生の原っぱ”がある。

ゆったりとした緑の芝生が広がる、とても眺めのいい場所・・・☆

以前、岩渕サンとデートした時には、ここで、時間も忘れて、

ふたりでゆっくり色々とおしゃべりできた・・・そんな素敵な空間。

告白するなら、この場所!!と、私は心に決めていたのだった。



坂を下り始めると、その場所までは、あともう少し!!

なんだかどきどき、ざわざわ、私の気持ちが落ち着かなくなってくる。



こんな時に限って、前を歩く岩渕サンの歩みが、早く感じる。

もうちょっと、ゆっくり歩いてくれればいいのに。

いつもなら、もっとゆっくり歩くひとなのに。



・・・と、あの、“芝生の原っぱ”に、とうとう到着!!!!

さぁ、いよいよ、ね!! 私の緊張が、ピークになる。

ふぅ〜〜〜〜っと大きく息をはいて、気持ちを整える。



ところが・・・・そんな私をよそに、岩渕サンは、

そこをあっけなく通り過ぎ、さっさと坂道を降りてゆく・・・



「この原っぱに、今日は寄らないんですかぁ〜??」

焦ってたずねてみたものの、返ってきた返事は、

「うん、今日は、そうだねぇ〜」たったそれだけ、だった。



岩渕サンは、私の思いになんて、まったく気づいてないみたい。

言いながらも、少しも歩みを止めず、ずんずん前を歩いてゆく。

いつもだったら、気軽に、「ここに寄りましょうよ!」って

言えただろう言葉が、ぜんぜん口から出てきてくれなかった。




そうこうするうちに、あっという間に、駐車場に着いてしまった。

駐車場で言うなんて、味気ないし・・・

あ〜あ。仕切りなおしかぁ・・・



そのあとは、ぼーーーっとしてしまって、車の中で何をしゃべった

のかもよく覚えていない。私が覚えているのは、ようやく

岩渕サンの家にたどり着いたとき、

「これでやっと、話ができる・・・」と感じたこと、だけ。



と思いきや、家に着いたなり、岩渕サンが私に、可愛らしい

プレゼントを手渡してくれた。またまた予想外の事態。

すっかり忘れていたけれど、この日はちょうど、

「ひなまつり」だったのだった。



両手におさまるぐらいの、ちっちゃな、ひな壇の飾り・・・☆

ひな壇に詰まった、小さなお菓子たち。

ちょこんと上に乗った、可愛らしいお人形さん。

すべてがとても愛らしくて・・・

思わず、自分の顔がゆるんでゆくのがわかった。




そして、私に、こんなプレゼントをくれるのだから・・・

岩渕サンの思いは、はっきりしている!!と

ふたたび、確信できた。




よし!言っちゃおう・・・!!




岩渕サンに気づかれないように、そーーっと静かに深呼吸をしたあと、

「あの・・・つきあってもらえますか・・・・」

たどたどしくも、言うことができた・・・



ほんとは、もっときちんと、自分の思いを伝えるはずだったんだけど・・

ようやく出てきた言葉が、これ、だけだった。



たったこれっぽっちの言葉を言うだけなのに、

言ったあとのものすごい脱力感と、

やっと言えた!という安堵感のいりまじった、不思議な感覚。




告白するって、ものすごい勇気とエネルギーがいるもの

なんだなぁ・・・私はこのとき初めて、知ったのだった。



ん・・・??!!



でも、おかしい・・・



岩渕サンの反応が、おかしい・・・??・・・




なにも、返事がかえってこないまま、

ふたりのあいだに、しばし、沈黙が流れる・・・




(続く)



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Last updated  2009.07.23 22:43:44

2009.06.12

【連載】(26) 確  信
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その当時の私の日常で、イベント的なものといえば、

ヒプノセラピー通いと、デート。たったそのふたつ、だけだった。

仕事も趣味も辞めちゃったあとで、その他はな〜んにもして

なかったのだから、時間はあまるほど、たっぷりあった。



その時間の大半は、岩渕サンのことに思いをめぐらすか、電話をかけて、

直接話をするか。来る日も来る日も、もうそればっかりに気持ちが

集中していたから、急ピッチで、恋愛熱があがっていったのも、

ぜんぜん不思議なことではなかった。



岩渕サンの仕事が休みとなる週末に、週1ペースでデート・・・☆

そして、3回目のデートまであと数日、というとき、

あまりに恋愛熱が過熱しすぎたのか、まるで小さい子供が

知恵熱でも出すかのように、急に熱を出してしまった私・・・

せっかくのデートを、キャンセルしなくてはならないハメになった。



がっくりするやら、情けないやらの気持ちとともに、

高熱のせいで、思うように動けない、食欲もぜんぜんない・・・

そんな、気持ち的にも肉体的にも、まったく余裕がなかった私の元に、

思いもよらないものが届く。それは、岩渕サンからの小包、だった。



中をあけてみると、“お誕生日おめでとう”の手紙とともに、

なんと、絵本のプレゼントが・・・!!

具合が悪いほうにばかり気がいって、自分でもすっかり忘れて

しまっていたのだけど、私の誕生日まであともうすぐ!

という、まさにまさにのタイミングだった。



その頃の私は、なぜか絵本に夢中になっていた。小さい頃読んだ

ような本が無性になつかしくて、なつかしくて。そんな私が、

本屋さんで見つけて、ひと目ぼれした絵本のシリーズ本・・・

大のお気に入りの絵本が、岩渕サンから届いたのだった。



好きな本のことも、誕生日のことも、以前ちらりと、電話で

話したぐらいなのに、ちゃんと覚えていてくれたなんて〜〜〜!!



あまりの嬉しさに、身体のけだるさも一気に吹っ飛んでしまい、

子どものようにきゃっきゃっ♪さわいでいたら、隣で見ていた妹が、

しみじみ言う。「絵本をプレゼントしてくれるなんて。変わり者の

お姉ちゃんにも、合う人がいたんだねぇ、本当によかったねぇ・・・」と。



たしかに私は、ちょっと変わっているかもしれない。それに、普通、

女性が喜びそうなアクセサリーとか、洋服とか・・・そういうものにも、

興味がないわけではないけれど、絵本ほどの感動、喜びは、なかったかも

しれない。もう嬉しくって、嬉しくって、読んではしまい、読んではしまい、

寝るときも、読みながらそのまま眠りにつくこと、しばしばだった。



1週間ぐらいだったか・・・いやもっと短かった気もするけど、

それほど長く感じた日々。ようやく熱もさがった。会えない間も、

電話で声は聞いていたけれど、直接会えるのはやっぱりうれしい♪



ふたりで会うことにも、もうすっかり慣れてきたので、

私の大好きな場所でもある、表参道でおちあう。



行き交う人々も街も、皆おしゃれだけど、そんな周りの光景は、

もう何も気にならなくなっていた。そして、今回は、おしゃれで、

雰囲気もかなり良さそうなお店に、ふたりで入ってみる。



まるで、行きつけのひとだけが入るような、ひっそりしたお店の

入り口をくぐると、店内には、竹や石がふんだんに使われ、

洗練されていながらも、とても穏やかな雰囲気の、ゆったり

とした空間が広がっていた。さすがはおしゃれな表参道のお店、

という感じ。しかも、運よく個室に通してもらえた。



お店の何ともいえない、落ち着きのあるたたずまい、

そして、深みのある美味しいお酒、の助けもあってか、

私はもうすっかり雰囲気に酔ってしまった。



そして、岩渕サンとおしゃべりをしながら、このときはっきりと

確信した。私たち、どう考えても、もう、相思相愛に違いない!!と。

・・・ということは、告白するか、されるかも、時間の問題だわ!!って。



恋に関して、私は猪のように、ちょっと怖いほどに、まっしぐらな

ところがある。“好き”と感じる以前、“気になるな〜☆”と思ったら、

すぐに行動に移している。というか、「行動している」という

意識すらもなく、もう勝手に身体が動いてしまうのだ。

気づいたら、電話したり、話しかけたり、そばにいたり、している。



そんな私だけど、自分が相手のことを“好き”と確信できるまで

には案外、時間がかかる。直接会ったり、話したりしながら、

実際に相手と交わす空間のなかで、ゆったり時間をかけて、

自分の気持ちも確かめてゆく・・・・そんなところがあって。



でも、相手の男性としてみれば、自分に向かって、猪のように

全力疾走してくる女の子がいて、会えば話しかけるわ、

頻繁に電話してくるわ、なんてしてこられたら、勘違いでも、

自分のこと好きなのかな?なんて思ってしまう人も少なくないと思う。



実際、私の今までの恋愛って、最初はみんな、自分のほうから

連絡をとったり話かけたりして接点を持っているのだけど、

度重なるあまりの攻撃に、相手のほうがすっかり参ったのか、

勘違いさせられてしまったのか・・・??!!

私が告白するより先に、相手の男性から告白される、

というケースばかりだった。



岩渕サンとは、結婚する可能性もありそう。

もちろん私の憶測にすぎないけれど、

“可能性”はなきにしも、あらず、だなと。



もしも。

そう、もしも、このひとと結婚するとしたら・・・



今回、告白しそびれちゃった、としたら、私はもう一生、

自分から告白するチャンスを、逃してしまうことになる!!!

これは大変〜〜〜!!一刻も早く、告白しないと。

私のこころの中で、突如、かちん!とスイッチが入る。



もう、次回のデートしかないわ!

私は、意を決した。



さてさて・・・とすると、今度は・・・



「告白する場所は、どんなところがいいかしら?」

「どんな言葉で伝えたらいいかしら・・・?」
         
         ・
         ・
         ・

私の頭の中で、具体的なイメージが、勝手な妄想が、

どんどん、どんどん、ふくらみはじめていた・・・




(続く)


〜☆〜☆〜☆〜☆〜☆〜☆〜☆〜☆〜☆〜☆〜☆〜☆〜☆〜☆〜☆〜

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Last updated  2009.06.12 23:11:38

2009.05.30

【連載】(25)ついつい、のんで泥酔・・・ 
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このひとといっしょに、あたたかな家庭を築きたい・・・☆

岩渕サンと語りながら、そんな思いが湧きあがってきた、

そのとき・・・私はもうずいぶん、酔っぱらっていた。



普段だったら、その後のことを考えて、ある程度セーブする私だけど、

すっかり気持ちがくつろいでいたせいか、かなりのんでしまったよう。

そろそろ帰りましょう、という時になって、椅子から立とうとすると、

なんと、腰が立たない!!!!!

「腰が立たない」どころか、腰から下・・・・足のつま先までが、

完全に麻痺してしまったような、感覚・・・



お酒ののみすぎで、こんなことって、あるの?!

生まれてはじめて、の感覚、だった。

こりゃあ、ひどい。まいったなぁ・・・



岩渕サンに支えてもらって、何とかお店を出る。

そこから駅までは、3分とかからない距離。

支えてもらいつつ、だったら、何とか歩ける。



でも、さてさて・・・・これから私の家まで、

2時間半の道のり。いったい、どうするんだろう?!



駅はもう、すぐそこ。という時になって、

「大丈夫ですか・・・?」と聞いてくれる岩渕サン。



朦朧とした頭で、ゆっくりと考える私。頭すら、なかなか回らない・・・

この、頭と身体がすっかり麻痺しちゃった感覚で、

長い道のり、ちゃんと家までたどりつけるんだろうか・・・??

最悪、酔っ払いのおじさんみたいに、所かまわず、

ベンチや道ばたに身を投げ出して、寝ちゃったりしそう・・・

予想できない自分の行動に、ちょっと怖いな、と思った。



もうひとつの選択肢を考える。それは、岩渕サンちに泊めてもらうこと。

「このひとだったら、大丈夫だろう」・・・男の人からしてみれば、

あまり嬉しくないような感想かもしれないけど、正直そのとき、そう

思った。ちゃんと帰り着けるかどうか分からない状態で、このまま

長い道のりを帰るよりも、そっちのほうがよっぽど安全かな、って。



「このまま帰ったら、家にちゃんとたどり着けるか自信がないので・・・

すみませんが、岩渕サンちに泊めてもらえますか?」と、たずねてみる。

「泊まるのは別にいいけれど、明日は終日のセミナーに出かけるから、

朝、6時起きですよ!それでもよければ・・・」と

ちょっとばかり迷惑そうに答える、岩渕サン。



そこから岩渕サンの家までは、普通だと歩いて10分ぐらいの道のり。

・・・・が、その時はものすご〜〜〜く遠くに感じた。

岩渕サンに両手をしっかり支えてもらい、始終、岩渕サンは

後ろ向きに後ずさりする感じで、私を引っ張ってくれた。

当の本人は、歩くのにもう必死の思いだった。

でも、傍からみれば、どうしょもない、“ただの酔っ払い”・・・



やっとの思いで、岩渕サンちにたどり着く。

身体が思うように動かず、玄関から転げおちるように倒れこむ私。

岩渕サンが、超特急でふとんをしいてくれて、私も何とかそこまで

這っていき、ふとんにもぐりこむ。ジャケットも何もかも、

着こんだまんまで・・・次の瞬間には、もう寝ていた。

そしてそのまま、爆睡ーーーー!!!

気づいたら、朝だった。



岩渕サンの、「6時ですよ!!もうそろそろ、出かけますよ〜」

の声で、はっととび起きる。あれこれ考えるヒマもなく、

ねぼけまなこで、身支度をする。



玄関をそそくさと出てゆく、岩渕サンのあとを追って、

外に出てみると、凛とした、すがすがしい冬の朝の空気がたちこめていた。

山が近いせいか、断然、空気が違う。

うわぁ〜〜きもちいい〜〜〜♪ 

新鮮な空気を胸い〜〜っぱいに吸いこみながら、歩みをすすめる。



セミナーの前日に、とんでもないお客さんが転がりこんできて、

岩渕サンとしては、やれやれ・・・だったと思うが、

酔った勢いでぐっすり寝てしまい、おまけに、もう今ではすっかり酔いも

さめた私には、そんな早朝の空気が、何だかとても新鮮に感じられた。



厚木の街を歩いていると、どこを歩いていても、

家々のあいまから、丹沢の山々がくっきりと見える。

歩いても、歩いても、山が見えるなんて!!!

小さい頃から、“山が見える場所に住むこと”にすごく憧れて

いた私は、歩きながら、わくわくした気持ちを抑えきれなかった。

山も空気も・・・なんて鮮やかで、美しいの〜〜〜☆



そんな私をよそに、いそいそと前を歩いてゆく岩渕サン。

駆け足で、小躍りしながら、後を追いかける私。

そして飛び乗った、朝の電車。



朝のがらーーんと空いた座席に、隣どうしで座っていると、

ふと我にかえる。こうしてふたりでいっしょに、朝の電車に

乗ってるなんて・・・何だかはずかしいなぁ・・・って。



周りの人は、だれも何も言ってない、というのに、

「私、ただ、酔っ払って寝ちゃっただけですよ〜!

ただ、それだけですから!」・・・

心の中で、必死に言い訳してる自分がいた。



セミナーの行われる都内のある駅で、岩渕サンは急ぎ足で、

降りていった。「じゃあまた〜」お互いそそくさと、挨拶をする。



ひとり残され、電車に揺られながら、ぼーっとしていると、

昨日、今日のできごとが、もういちど思い出されてきた。



のみすぎて泥酔・・・そして、ひとの家に転がりこんで即、爆睡。

あまりのバカさ加減に、自分でも、思わず可笑しくなってしまった。



以前、ある男性から「君はぜんぜんスキがないね」といわれて、

ショックを受けたことがあった。いつでもほわ〜〜っと自然体でいたい♪

そう思いつつ、男性の前だと、とくに気になるひとの前だと、いつもなぜだか

緊張して身を固くしてる自分がいて。そんな自分自身を、はっきり指摘されて。

でも、どうしたらありのまんまの自分自身でいられるのか、

自分でもわからなかった、から・・・



そんな私が、今となっては、こんなにスキだらけ!!

ちょっと行き過ぎた感はあるけれど、私もすこしは、

男性の前でも気を抜けるようになった、ってことだよね?!

すこしは成長してたんだぁ〜☆ よかった、よかった・・・♪♪



ふっと気が抜けて、また うとうとし出した私だった。



(続く)



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Last updated  2009.05.30 19:03:51

2009.05.21

【連載】(24)次の“居場所・・・?? 
[ 【連載】気まま夫婦ののったりそったり人生 ]    

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この連載、前回までの内容はこちらです☆
「気まま夫婦の のったりそったり人生〜♪」

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今しばらくは、きらきら夫との出逢いきらきらについて、連載中・・・☆

(いちばん上には今回のものが載っていますが、
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2001年2月14日。


渋谷で再会して、約1週間後。

今度は、自然の中でゆっくりしましょう、ということになり、

岩渕サンちからも車で15分くらいと近い、七沢温泉へ。



出逢ったのも、自然のなかにある宿、しかも温泉つき。

自然、そして温泉は、ふたりの大好きなものの“共通項”・・・☆

七沢の緑あふれる自然のなかを、誰の目を気にすることもなく、

何の気遣いもなく、ふたりでのんびり歩いて。

新鮮な空気を胸い〜っぱいすいこんだあとは、豊かな自然の

中にある露天風呂で、それぞれのペースでまったり・・・☆

お互い、芯からゆ〜ったりほっとすることができた、ひとときだった。



そのあとは、せっかく近くに来たのだから・・・と、

岩渕サンのアパートにお邪魔させてもらうことに。



岩渕サンちに初めて入ってみた、第一印象。

男の人の家のわりに、こざっぱりしてる。

クセがなくて、自然体で、すごくくつろげるおうち・・・☆



ちょうどその当時、私は、実家に居づらくて、

外に出たくて出たくて仕方なかった。



当然といえば当然でもあるんだけど、仕事もせずふらふらしている

娘の私に対して、両親が、「次はいったい何をするのか?!

とにもかくにも、まずは、ちゃんとした仕事につきなさい!」

と日々、言うようになった。両親が思っているようなちゃんとした仕事、

というのは、正社員のこと。そういうつもりは全然なかったから、

もうこれは家を出るしかないな、と思っていた。



今ある貯金をあてれば、なんとかひとり暮らしができる。

具体的には、学生時代住み慣れた、そして大好きな場所でもある、

小田急線沿線がいいな。実際、いくつか物件を見にいったりもしていた。



そんな私だったから・・・


岩渕サンちはまさに、小田急線沿線だし、おまけに日当たり抜群、

そして、静かで落ち着ける雰囲気・・・すべてが理想的!!

初めて訪れる、他人の家だというのに・・・そう。

勝手に“気に入ってしまった♪♪”のだった。

部屋も2部屋あったので、まだ玄関から入ったばかりにもかかわらず、

思わず、「半分、貸してくださいヨ〜!!」とずうずうしくも、

言ってしまった。そのぐらい、違和感のない部屋だった。



部屋でのんびりくつろいでいたら、あっという間に時間が経って・・・

気付いたらもう、あたりがうっすらオレンジ色・・・日が沈みかけてきた。



ふらっと近くの居酒屋に出かけ、美味しい日本酒をのみつつ、ごはんをいただく。

お互い芯からくつろいでいたこともあって、私が通っている

ヒプノセラピーの話をきっかけに、それぞれの家族の話にまでなった。

そんな話の中で岩渕サンが、こんな話をしてくれた。



岩渕サンの実家は飲食店を営んでいるが、まだ遊びたい盛りの小学生の

頃から、お店のお手伝いをしていた、とのこと。していた、というより、

“させられていた”と言っていたぐらいだから、よほど嫌だったのだろう。

でもあるとき、いつまでもそんな気持ちで仕事していても仕方ない!!

気持ちを切り替えよう〜♪♪と、楽しく鼻歌を歌いながら仕事を

してみたんだよ、と。岩渕サンらしいな〜♪なんて思って聞いていると、

ふと、岩渕サンの顔がくもった。



鼻歌をうたっていると、お父さんがものすごい剣幕で怒鳴ったんだそう。

「仕事中、歌なんか歌ってるな!!」と。そして、料理に使っていた

あつあつのお湯を、岩渕サンの背中にかけた・・・という・・・・・



以前の私だったら、そんな話を聞こうものなら、身体がきゅーっとなって、

萎縮していた気がするのだけど、この時ばかりは違っていた。

そんな話を聞いている最中なのに、なぜか私の心の中で、

「このひとと、あったかい家庭を築きたい・・☆」という思いが、

じわーーーっと湧きあがってきた、のだった。



「一緒にいたい」と思うひとは、今までにも何人かはいたけれど、

「いっしょに家庭を築きたい」と思ったのは、このときが初めてだった。

自分でもびっくりした。とくに驚いたのは、岩渕サンと親御さんのあいだに、

今もなお、わだかまりがあるというのを知っているにもかかわらず、

私自身がそう思った、ということ。



実はこれまで、素敵だな〜☆と思う人があらわれても、私自身がそう

だったせいか、親とわだかまりがある人とは、絶対に結婚できない、

と思っていた。できない、というか、ものすごく怖かった。

自分たちも、親と同じことを繰り返してしまいそうな気がして。

おまけに、「結婚」という言葉すらあまり好きではなかった。

何だか重た〜〜い感じがして。



でもこの時には不思議と、そんな恐れが、まったく出てこなかった。

ヒプノセラピーも終盤に近づき、親との関係がどんどんクリアになっていく

のは感じていたけれど、私の心の中に長年あった恐れが、

結婚に対する嫌悪感が、もうすっかり解放されていたんだ〜☆

自分自身の感覚として、このとき、はっきりと

確認することができた、のだった。


(続く)


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Last updated  2009.05.21 13:33:26

2009.04.28

【連載】(23) 渋谷での再会・・・☆
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2001年2月3日。


1月3日に、長野の養生園で、初めて岩渕サンと会って、

ちょうど1ヶ月目。渋谷での再会の日。



ハチ公前じゃ混みすぎるから、と、駅構内にある、

ワッフル屋さんの前での、待ち合わせ。



渋谷駅に着き、待ち合わせ場所のほうに向かって歩いてゆくと、

もう、ワッフルのあま〜〜い香りがふんわり〜〜♪♪

1ヶ月ぶりの再会にちょっとドキドキしながら、歩みを進める。



・・・と、まだずーっと向こうに見える、ワッフル屋さんの前に、

あの、岩渕サンらしき人の姿がーーーーー!!!!

あれれぇ・・・な、なんだか、ワッフル屋さんのあま〜い

香りとは、あまりにもギャップがありすぎる、その姿・・・・



思わず私は歩みを止め、ささっと道の端に寄り、

遠くから静かに、岩渕サンをしばし、観察してしまった。



渋谷には、まず、こういう人、いないだろな〜という服装。

下は、よれよれ、だぼだぼの、ピエロが履いていそうな、ジーンズ。

そして、上はというと、まるで作業着?という感じのジャンパー。



もっと田舎で、そして自然の中で、とかで見かけたら、そこまで

違和感、感じなかったかもしれない服装。でもここは、色とりどりの、

流行の服に身をつつんだ若者たちが行きかう街・・・渋谷。

なんで、よりにもよって、渋谷なんかで待ち合わせしちゃった

んだろうか・・・・自分の気持ちが、さーーっと引いてゆくのを感じた。



あれ・・・? この感覚・・・・以前にもあったよね?

そう。あれは私が、二十歳のとき。

やっぱり旅先で出逢った、男性がいた。



いちどお話しただけだったけれど、大きな夢があり、その夢に

むかって着実に歩んでいる姿は、何だかとっても魅力的にみえた。

そしたら、後日、手紙が来て、「ぜひいちど会いましょう」

ということになった。そして街中での再会。



ところが、実際に会ってみた瞬間、びっくり!!あれ?こんな方だったっけ?

やっぱり気持ちが一気に引いてしまったのだった。そして、それっきりに。

あとから、見かけで判断しないで、もうちょっと話をすればよかったな〜、

と思った。そういう経験がいちど、あったものだから・・・・



岩渕サンと街中で再会して、見かけで一瞬、引いてしまったのは、正直な

気持ちだけど、それはそれ。とにもかくにも、会って、おしゃべりして・・・

それからでも、遅くはないよね、って、自分に言い聞かせる。



そして、ワッフル屋さんの前で待つ岩渕サンにむかって

何事もなかったように、「こんにちは〜♪」と声をかける私。

ひとことふたこと話してみたら、何だかほっとしてる自分がいた。

やっぱり会って、しゃべって、なんぼだな☆と思った。



渋谷の街のものすごい人ごみを抜けて、文化村の映画館へと向かう。

ごみごみ、がやがやしていて、おしゃべりもろくにできない感じ。

ようやく映画館につき、たまたま空いていた、最前列に座る。

慣れない人ごみに何だか少し疲れていた私は、映画館の静けさ、そして

守られた空間に、ようやくほっとする。とうとう、映画がはじまった。



最前列が空いてて、なんてラッキー☆と思ったのもつかの間、

いざ映画がはじまってみると、最前列の席というのが、ものすごく

見づらい!!ということに気づく、岩渕サンと私。でももう遅い。

今さら、席を移動するわけにはいかず・・・



画面があまりに近すぎ、画面を追う目が、あっちとこっちに飛び

出していってしまいそう!!映画の内容はそれほどでもなかったけれど、

そのことがただ、おかしくっておかしくって、笑いが止まらないふたり・・・☆

ちょっぴり固まっていた私のこころが、一気にほぐれていった。



映画が終わると、もう少し静かな場所にゆきたくて、移動することに。

何となくふらっと電車に乗り、何となく行き着いた先は、恵比寿だった。

そしてまた何となく、くつろげそうな居酒屋へと入るふたり。



特段おしゃれというわけでなく、ごくごくフツーの居酒屋。その雰囲気に、

またまたほっとする私。くつろげる空間の中で、ただただ、ゆっくり

おしゃべりできる・・・こんなひとときが、何よりもありがたかった。



ふとしたときに、中国人らしき店員さんが、私たちの顔を見比べて、

「ご兄弟ですか?」とたずねてきた。その瞬間、なぜか、

ぽぉ〜っとほおが熱くなる私。意外な反応に、自分でもびっくり!!

え?私ったら、兄弟・・・すなわち“似ている”って言われて

うれしいワケ・・?!そんな自分自身に、驚きを感じる。



再会した瞬間には、あんなに気持ちが引いた、っていうのに、

このとき、もう、何かがはじまりだしちゃった・・・☆

私のこころの中で、そんな動きを感じたのだった。




(続く)


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Last updated  2009.04.29 00:11:14

2009.04.16

【連載】(22) 手紙・・・そして連絡がくる!!
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Aちゃんの電話が切れたあと、しばしぼーっとする私。



あれよあれよという間に展開していった、ひとつひとつの出来事を、

そして、Aちゃんの言葉を、もういちど、振り返ってみる・・・

こんなことって、本当にあるんだなぁ・・・・



そういえば、1,2ヶ月前、たまたま、友だちからもらって

読んだ、「聖なる予言」の本。

http://www.amazon.co.jp/dp/4042693016/ref=nosim/?tag=mituki-22



そこに書いてあった、“偶然の一致”。

それがまさに、自分の人生にも、次々と起こってきている!!

まるで小説のような出来事が・・!!!

何だかものすご〜く、面白いことになってきたわ〜〜〜☆ 



岩渕サンとは、かなりご縁の深い人なんだろな〜 と改めて思った。

そして、もういちど、当の本人のことを思い返してみる。



そういえば、出逢って一目ぼれ!とか、一緒にいるとドキドキしちゃう〜!

とか、そんな恋愛的な感情は、ぜんぜんなかったよなぁ・・・



覚えてる感じといえば・・・



一緒にいてもぜんぜん違和感がなかった。という感覚。

何を話しても気にならないし、何をやっても、気にならない。

いっしょにいると心地いいし、全然気をつかわなくていい。

何でも話せる、いい兄貴分♪という感じ。

恋愛どうこう、と言われると、はてさて?!という感じだけど、

またもういちど、ぜひ会っておしゃべりしてみたいなぁ、とは思う。



そうだ!そうだ!岩渕サンに手紙を書かなくっちゃ!



自分の身に突然、降って湧いたような出来事、そして自分自身の

今までの気持ちをもういちど冷静に振り返ってみて、ようやく

気持ちが落ち着いてきた私は、さっそく、手紙のほうに取りかかる。



まずは、便せん選び、から。


あんまり可愛すぎるものだと、その気がありあり!って感じで、

まだ自分の気持ちもよくわからない今の状態で、ちょっとそれも何だし・・・

かといって、親戚や目上の人に出すような真っ白い便せんだと、

かしこまりすぎちゃうしなぁ・・・



ってことで、ほどほどに柄がついた、フレンドリーな感じが

伝わるような、楽しげな便せん、を選んだ。うんうん、いい感じ♪



さてさて、次は文面。


お礼をちゃんと書きつつ、「今度いちど会いませんか・・・☆」

という内容も、忘れずに、織り込まなくっちゃ、ね。



そうは言っても、「いちどお会いしたいです」じゃ、

何だか、恋焦がれてる人みたい。そこまで思われたくないし・・・

歳もかなり上のひとだから、「今度あそんでくださ〜い♪」

って感じがいいのかな〜。よし!そうしよう!



もともと手紙を書くことは大好き&得意なので、そこまで

決まっちゃえば、もうあとは書くだけ!!さっそく書きはじめる。



まず最初に、車で送ってもらったお礼を書いて、と。

それから、さしさわりのないことを何文か。最後に、

「今、プー太郎でけっこうヒマなんで、今度ぜひ遊んでくださ〜い♪」

という内容を書いて。最後に、私の住所と連絡先を書いたら・・・

ちょうど便せん1枚に、いい感じにおさまった!!



最後は、封筒・・・☆


Aちゃんから入手できた情報は、岩渕サンの所属の大学&所属部名だけ。

ということは、手紙の送り先は、大学の所属部の事務所、ということになる。



この手紙が大学に着いたら、岩渕サンはきっと、

事務所から、呼び出されることになるんだろう。

そのときに、女の子っぽい柄の封筒じゃあ、恥ずかしいだろうし・・・

いかにも!って感じだし・・・

封筒は、やっぱり、フォーマルの白かな!!



普段ほとんど使うことのない、まっ白な縦長の封筒に、

これまた、普段あまり使わない“縦書き”で、

大学の所属名を書き、“気付”で、岩渕サンの名前を・・・

私の名前は表には書かず、いかにも「業務連絡」っぽい感じで。



よし!これで、で〜きた♪

書いた手紙を、即行、ポストに出しに行く。



そしてそれからは、岩渕サンからの連絡を、ひたすら待つ日々・・・



たいして日数は経ってないはずなのに、何だか、いちにち、いちにちが、

とっても遅く感じた。手紙届くのに、思ったより時間がかかるもの

なんだなぁ〜とか、ちゃんと手紙は岩渕サンの元に届いたんだろか、とか、

あれこれ思っていた、そんなある日。



プルプルプル・・・♪

私の携帯が鳴る。


出てみると、あの岩渕サンから、だった!!!



不思議そうに手紙のお礼を言う岩渕サンに、

Aちゃんとの電話でのやりとり、いきさつを、簡単に説明する。

驚いたような、驚かなかったような・・・意外と冷静に話を聞く岩渕サン。



お互いの近況などをちょっと話したあと、岩渕サンが、

「ところで、“遊ぶ”ってどんな遊びがいいのかな・・・?」と聞いてきた。

思わず、おかしくって、噴出しそうになってしまった。



たしかに、手紙には、「遊んでください」と書いた。でもそれは、

“お会いしましょう”って書いたら固すぎるから、ってだけで、

会っておしゃべりできれば、それで別にいいんだけど・・・

「遊ぶ」という言葉を、文字通り解釈した岩渕サンがおかしかった。



そんな私をよそに、岩渕サンがさらに、まじめな口調で話し続ける・・・



「若い女の子はどんな遊びがいいのかなぁ?って、よく分からなくて、

学生仲間の女性に聞いてみたんだけどね。映画見に行くとか、が

いいんじゃない?ってアドバイスもらってね。それで、映画だったら今、

こういうのがやってるよって、教えてもらったんだよ・・・・」と・・・



その映画とは、「ザ・カップ」という映画だった。

ヒマラヤの若い僧侶たちが、サッカーのワールドカップ

の中継に夢中になる姿を描いた、というもの。

http://www.furai.co.jp/movie/saki/02_04_26.html


それが今、渋谷で上映中とのこと・・・・



内容聞いても、私にとっては、「で、それがいったい何なの・・?!」

という感じで、さっぱりピンと来なかった。



おまけに、私は映画自体、ほとんど見ない。映画館の大音量と大画面が

ちょっと苦手で、長時間、映画館にいると、頭が痛くなってきてしまう。

だから、よっぽど見たいものじゃないと、わざわざ見に行かないのだ。

映画といえば、小学生のときに、ユニコ(手塚治さんのアニメ)と

アニー(ミュージカル映画)を見に行って、そのふたつはものすごく

感動して今でも心に残ってるけど、そのあと行ったのは数回ぐらい。

ほんとうにそのぐらいしか、映画って、見たことがなくって・・・



でも、ま、岩渕サンがせっかくあれこれ考えたり、してくれたんだし、

あまり長時間の映画ではなさそうだし・・・私はとにかく、

会えればそれでよかったから、きっかけは、映画でも何でも別によかった。



「じゃあ、それにしましょう!」と即答して、

渋谷での待ち合わせを、約束する・・・




(続く)


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Last updated  2009.04.16 05:45:09

2009.04.02

【連載】(21) めがねのおじさん
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さっそくAちゃんに電話で連絡をとり、

ひととおり事情を説明したあと、聞いてみる。

「厚木で○○屋さんやってる、岩渕サンって知らない・・・?」



「“厚木の○○屋さん”と言ったってさぁ・・・厚木に

○○屋さんなんて、た〜くさんあるんだから、分からないよ〜!」



意外なほどあっけないAちゃんの回答に、何だかとてもがっくり。

あぁ私、こんなにAちゃんに期待しちゃってたんだ・・・

ということにも、改めて気づいたりした・・・



私の落胆ぶりを電話越しに感じたのか、

Aちゃんが、間髪いれず、こんなフォローを。



「そうだ。“厚木の岩渕サン”を、電話帳で調べてみるよ!

またすぐ、連絡するね!!」



Aちゃんの対応はものすごく早かった。

すぐにメールで連絡がきた。



メールには、“厚木の岩渕サン”の電話番号が、

ずら〜〜り!!20人ほども並んでいた。

20人もいたんだ・・・案外多いんだなぁ・・・



でもAちゃんがせっかく、こんなに急いで調べてくれたんだから!

私はすぐに、身支度をして外へと飛び出す。

Aちゃんが送ってくれた、電話番号のリストを持って。



行く先は、すぐに思いついた。

うちから少し離れたところにある、とある球場の駐車場にある

電話ボックス。あそこだったら、今の時期、シーズンオフだし

誰もいないだろうな〜。親の目も、他人の目も、うしろに

並ぶ人も気にしないで、ゆったりと電話がかけられるはず!!



行ってみると案の定、電話ボックス、そしてその周りには誰もいなかった。

海辺近くにある、電話ボックス。そして、1月。空気はとても澄んでいる。

はぁ〜〜〜 ふぅ〜〜〜〜 1回大きく深呼吸をして、

その澄んだ空気を胸いっぱいに吸いこんでから、電話口に向かう。



Aちゃんの送ってくれた、リストを手にして・・・・



さぁて、まずは、1人目の岩渕サン。


電話をかけると、年配の女性の方が出られた。

事情を簡単に説明し、「息子さんいらっしゃいますか?」とたずねると、

「うちに息子なんかいません!何かの間違いじゃないですか?」

と迷惑そうな口調で、返事が返ってくる。

「それは大変申し訳ありません・・・」あわてて電話をおく。



そして、2人目。


やはり年配の女性が、電話に出られる。

息子さんはいらっしゃる!とのこと。も、もしかして・・・・☆

期待と不安な気持ち半々ながら、説明を続ける。

・・・が、「息子は最近、旅行なんて行ってません!」

やはり、この岩渕サンも間違いだった・・・・・



ようやくここで、気づいた。


20人ほどの岩渕サンのうち、合っているのは、たった1人だけ。

とすると、19人は今のように、“間違い電話”になってしまう・・・

すぐに、あの岩渕サンに当たればいいけれど、

何人目に当たるかも分からない・・・



そんなこと、電話をかける前だって、きちんと冷静に考えたら、

すぐに分かったはずのことなのに・・・すっかり熱くなっていた私は、

まったく気づけなかった・・・・。浅はかな自分の行動から、

見ず知らずの岩渕サンたちに、間違い電話の嫌な思いをさせてしまった私は、

もうこれ以上電話をかける気にはなれなかった。もうやめよう、と思った。

もし、縁がある人なら、またきっとどこかで出逢えるはず。



でも、せっかくわざわざ調べてくれたAちゃんに、何だか申し訳ないな・・・

と思ったので、すぐにその場でAちゃんに電話をして、いまさっきの

電話の一部始終を説明し、本当にごめんね、と伝える。

するとAちゃんも、「それはそうだよねぇ・・・私のほうこそ、

何だか勢いに乗っちゃって・・・ごめんね・・・」冷静に言ってくれた。



「ところで・・・・その岩渕サンって、何してる方なの?

私、ぜんぜん聞いてなかったよね?」



そういえば、勢いに任せてAちゃんに即行、電話してみたものの、

肝心な岩渕サンのこと、何にも説明してなかったんだーー!!

私もひとつ、冷静な気持ちに戻る。



ええと・・・

岩渕サンについて、私が教えてもらったこと、といえば・・・



中学校の先生をやってる、ということ。

それから担当は、社会科と障害児学級。

障害児教育の専門的な勉強をするために、この1年間は

在職しつつ、ある大学で障害児教育の勉強をしている。

だから今は“学生さん”。40歳目前にして学生、という

身分が嬉しかったのか、学生生活がよほど楽しいのか、

何度も何度も、「学生なんです〜♪」と言っていたっけ。
    




教えてもらったのって、それぐらいだったかなぁ・・・?



他にも何かAちゃんに伝えられるようなこと、なかったかしら?

と考えていると、Aちゃんが、すかさず、

「・・・ってことは、実習したんだよね?」と聞いてくる。



何でAちゃんが実習のことなんて聞くんだろう?と不思議に思いながらも、

そういえば・・・岩渕サン、実習をしたとか何とか、言ってたっけ!!



「実習がなんとか・・・って、そういえば、言ってたよ。

でもなんで、実習なの・・・?」



「実は私もね、実習をしたのよ!」とAちゃん。



たしかにAちゃんは、今、栄養士の資格をとるために学校に通っている。

それで、実習をした、というのは全然おかしい話ではない。



「でもそれが、岩渕サンと何の関係が・・・?!」



ますます不思議に思う私に、Aちゃんが説明を続ける。



「私の実習した学校って、実は、養護学校だったの。

この近辺の養護学校って、この学校しか、ないはずなのよ!

岩渕サンも、障害児教育の専門を勉強してるって言ってたでしょ。

だからね、もしかしたら・・・もしかしたら、だけど、

岩渕サンと実習が一緒だった、っていう可能性もあるのよ〜!!」



Aちゃんはすっかり興奮して、受話器をちょっと離したくなるほど、

声が大きくなっていた。



事情はよくわからないけど、そうなんだ・・・・

どんどん勢いづいてくるAちゃんの声に、

私は何だか、圧倒されてしまっていた・・・



「ところで!岩渕サンって、どんな感じの人??」

Aちゃんの勢いづいた質問が続く。



どんな感じの人・・・・・・??



急な展開に、何だか頭がぼ〜〜〜っとしてしまった私、

とっさに口から出た言葉が、



「めがねのおじさん。」 だった。
 


言ったあとで、自分でも、ずいぶん失礼な表現じゃない?と思い、

何か別の、もっといい表現ないかな・・・と言葉を探していると・・・



「えっ?めがねのおじさん!?

 そういう人、いた、いたーーーーっ!!!」



電話口から、Aちゃんの大音量の声が飛び出してきた。



は・・・? “めがねのおじさん”で通じちゃったワケ・・・?

・・・というか、岩渕サンらしき人が、実習にいた、ってこと?!



「あの時の“実習者名簿”があるはずだから、ちょっと待っててね!」

と言うと、Aちゃんはゴソゴソと、ものすごい勢いで、

探し物をしている様子・・・・



そして、「あった!!あった〜〜〜☆♪☆♪☆」



Aちゃんが実習したときの“実習者名簿”に、あの岩渕サンの名前が

あった、というのだ。そして、所属の大学も、ちゃんと一致していた、と・・・



話のあまりに急な展開に、もうすっかり私はキツネにでも

つままれたような気持ちで、何が起こったのやら・・・??

はてさて、どこへ行っていいか分からなくなった私のこころは、

宙をふわふわとさまよっていた・・・・



そんな私の目を覚ますかのように、Aちゃんがビシッと言った。

「こんなこと、なかなかないよ!どう展開するかは分からないけど、

縁が深いことは、たしかよ!!これはもう連絡とるしかないでしょ!!

電話切ったら今すぐ、岩渕サンに手紙書いてね!絶対だよ!!わかった???」



私の以前の恋を、そして失恋までを、ぜ〜んぶ知ってるAちゃん。

一部始終を知ってる、唯一の友だち。

プッシュしてくれるAちゃんの気持ちはよーく分かるけれど、

とにもかくにも、私はぼーーっとしていた。



「う、うん、そうだね・・・」私がようやく返事をすると、



「今すぐ!!だからね!!!」



こんな強い口調のAちゃんは、初めて。

これといった返事もできないままに、電話が切れる・・・・




(続く)


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Last updated  2009.04.02 16:39:19

2009.03.26

【連載】(20) えんえん3時間の道のりを・・・
[ 【連載】気まま夫婦ののったりそったり人生 ]    

なまけもの読書会のメルマガに連載中のコラムです手書きハート

この連載、前回までの内容はこちらです☆
「気まま夫婦の のったりそったり人生〜♪」

ふたりのきまま人生を書いてゆきますが、
今しばらくは、きらきら夫との出逢いきらきらについて、連載中・・・☆

(いちばん上には今回のものが載っていますが、
スクロールして下にゆくと、以前のものが見られます)

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養生園から最寄り駅までの道のりは、歩くとゆうに1時間は

かかるというのにのに、車に乗せてもらうと、本当にあっという間で・・・

ずいぶん近いんだなぁ・・・・ちょっとがっかりするぐらいだった。

そんなことを思っていると、「もうすぐ駅ですよ。」と岩渕サンが言う。



言われた瞬間、“面倒くさいなぁ・・・”と感じた自分がいた。

助手席に座っているのこの感覚が、何だかとても居心地がよくって・・・

まさに、お尻に根が生えてしまった感じ!!



これから、電車に乗って、ひとりで帰るのかぁ・・・



ふと、このまま車で送ってもらったほうが、楽しそうだし、

ラクだなぁ〜☆と思った。ずうずうしいかなぁ?と

一瞬思ったけれど、思い切って聞いてみる。

「もし特に用事がなかったら、でいいんですけど、

厚木まで、いっしょに乗せてもらえませんか?」と。



すると、意外にも、「いいですよ〜」と気軽に答えてくれる

岩渕サン。岩渕サンちの最寄り駅、本厚木まで、

いっしょに送ってもらえることになる。



あと数時間は、こうしてのんびり乗っていられるんだワ〜☆

時間はたっぷりあるのね〜♪ もうすっかり気持ちが

くつろいでしまった私は、それから、本厚木に着くまでのあいだ、

ぺちゃくちゃ、ぺちゃくちゃ、おしゃべり・・・・

もうすっかり、おしゃべりが止まらな〜〜い!!!状態。

相手は、あの「ひたすら話を聞いてくれるひと」なのだから、なおさら・・・



すっかり気持ちがゆるんで、気づくと、以前つきあっていた彼の話まで・・・

「彼ときたら、こんなこと言ったんですよーーー!!」とか。

何だか、今思えば、ゆくゆくパートナーになるひとと分かっていたなら

絶対しなかっただろう話まで・・・話してしまっていた・・・



車で3時間の道のりも、おしゃべりに夢中になってる私にとっては

またあっという間で、気づいたら、もう本厚木駅が近づいていた。



「もうすぐ着きますよ〜」と教えてくれる岩渕サンに、

「あと何分ですか?」と聞く私。

あと5分ぐらいと分かると、その最後の最後の5分まで、

ノンストップで、話し続け・・・・



駅のターミナルに着いたときには、すっかり何から何まで

話し尽くしてしまった私、思い残すことは、何ひとつなかった。



(※これも後から知ったことなのだけど、岩渕サンは、

私の機関銃のようなおしゃべりを聞くこと&運転することで

もう精一杯!!帰り道にのもうと思って穂高で買っていた

缶コーヒーを飲めないどころか、缶のフタをあける余裕すら、

なかったらしい・・・・)



「ありがとうございました!さようなら〜〜♪」

と言って車を降りると、私は、後を振り返りもせず、

そそくさと、小田急線の改札口へと歩いていった。



切符を買いながら、はたと気づく。

そうかぁ〜〜 ここから電車に乗っても、

まだ家まで、2時間はかかるんだぁ・・・・



思えば、穂高の駅からそのまま電車に乗り、

乗り継いで帰ったほうが、よっぽど、早かったかもしれない。

でもま、楽しかったから、いいか♪



それに、本厚木からの帰り道・・・小田急線沿線というのは、

学生の頃から通い慣れた、そして一時期、住んでいた土地でもある。

私にとっては、庭のようなもの・・・☆

うつらうつらしながらの2時間もまた、あっという間に感じた。



実家に帰りついた私は、穂高から本厚木まで車で送ってもらったことを、

さっそく母に話をする。私が一方的に話していた、なんてことは

もちろん、ひとことも言ってないのだけど、さすがは母だ。



「3時間ものあいだ、あなたのことだから、きっとべらべらしゃべって

いたんでしょう。その方も、ずーっと話を聞きながらの運転・・・

さぞかし大変だったでしょうね。ちゃんと、お礼の手紙を書くのよ!」

と言う。



そこで、初めて気がついた。

岩渕サンの連絡先というのを、いっさい聞いていなかったことに!!!



ありゃりゃ〜〜 おしゃべりに夢中になりすぎて、

住所も電話も聞きそびれちゃったぁ〜〜〜!!



そういえば別れ際、ふと、またすぐ会えるような気がした。

たとえて言うなら、しょっちゅう会ってる友達と、

「また今度ね〜♪」とでもいうような、感覚だった。

だから、連絡先を聞くなんて、思いもつかなかったのだ。

まいったなぁ・・・



・・・と、その瞬間、友達のAちゃんを思い出す!

Aちゃんって、そういえば、本厚木の隣町だったか・・・

近くに住んでるって言ってたっけ!!




岩渕サンの実家は、○○屋さんを営んでる、と言っていたし・・・

「○○屋さんをしている、厚木の岩渕サン」と言えば、

何か手がかりがつかめるかもしれない!!!

うん、そうだ!!



ピンときた私は、Aちゃんにさっそく電話をかけてみることに・・・・





(続く)



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Last updated  2009.03.26 22:15:03

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