テーマ:本のある暮らし(3175)
カテゴリ:about books & arts
その後も愛新覚羅家の人々の手記や、
戦争末期を描く小説をいろいろと読んでいます。 (図書館さま、ありがとう!) 映画『ラストエンペラー』以外は、さほど興味なかったのに、 なにがきっかけになるかわからないですね。 男装の麗人 村松 友視著。川島芳子のお話です。 昨年TVドラマにもなったようですね(観てない~)。 この小説には底本があり、 それは昭和7年から「婦人公論」誌上に連載された『男装の麗人』。 じつはこれを発表した村松梢風は、実は著者の祖父にあたります。 (作中では梢風は「加賀美正一」という名で登場) 川島芳子の行き方同様、虚々実々織り交ぜた、 限りなくノンフィクションに近いフィクション、という感じでしょうか。 清朝の王女に生れて改版 愛新覚羅 ケンキ著(ケンは「顕」、キきは「王」偏に「奇」)。 上記の川島芳子の同腹の妹さん、とのことです。 幼少から学習院に学んだ(大学は日本女子大)彼女は、 もちろん日本語堪能で、翻訳ではなくオリジナルの文章です。 ただ、その出身と経歴があだとなって、 文革時代の中国では、監獄に15年、その後強制労働7年を課せられることに。 「中国人でありながらあまりにも祖国を知らさすぎた」と述べています。 でもまったく悲劇的ではなく、おおらかに、 淡々と思ったままをに素直に書いている、という印象。 前半は、素人商売をしたり、画家のパトロンとして結婚をしたり、 没落したとはいえ、生まれつきのお姫さま、という感じなのですが、 収監されて、強制労働の日々を送る頃には、 考え方も、本当に「人民」になっているのですよー。 まさに人間改造。 世間って、いろいろな考え方があって、 みんなが違うから面白いのであって、 みんなが同じ考え方になっちゃったら、それってどうなの? と思ってしまいました…。 シェエラザード(上) シェエラザード(下) 浅田 次郎著。 いろいろ映画化なんかもされているのは知っていたのですが、 じつは浅田さんの小説は初めて。 リムスキー=コルサコフのシェエラザードが好きなので、 手に取りましたが、これも「戦争もの」で驚きました。 戦争末期に、米軍の誤爆か故意かで沈没させられた弥勒丸。 なんでも、何千トンもの金塊が船内に残っているらしい。 謎の中国人から、これを引き揚げてほしいとの依頼が入るところから、 ストーリーは始まります。 モデルとなった実在の事件があったということにも驚きましたが、 過去と現在が交錯する構成のうまさ。 いや~、ひさびさに小説で泣きました。 噂の浅田マジックですね~ iPodやCDでシェエラザードを聴きながら読みましたが、 この読み方は本当におすすめ。 シェラザードは交響組曲といって、4つの楽章から成り立っています。 各楽章のタイトルがそれぞれ小説の筋にリンクしているのですよねー。 第1楽章《海とシンドバッドの船》 第2楽章《カランダール王子の物語》 第3楽章《若い王子と王女》 第4楽章《バグダッドの祭り。海。船は青銅の騎士のある岩で難破。終曲》 隅々までよく練りこまれた、素晴らしい小説だと思います。 ご来場ありがとうございました! 2月28日(土) ひろっしゅコーチ講演会DVD上映会 無事終了 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[about books & arts] カテゴリの最新記事
|
|