カテゴリ:よもやま話
呑気のん兵衛の職場にある売店。 少し前から、昼前になるとよくそこへおにぎりをひとつ買いに行くようになりました。 いろいろな種類が並んでいるけれど、一番好きな『梅おにぎり』を自然と選ぶことが多かった。 本当に小さな売店なので、ちょっと出遅れると人気の『梅おにぎり』はすぐに売り切れ。 ある日のこと、おにぎり購入タイムだというのに接客があって、完全に出遅れ。 呑:「今日は梅おしまいですか?」 店:「呑気のん兵衛さん、ごめんなさい。もう売り切れちゃったんですよ。他のはいかがですか?」 呑:「う~ん、それは残念。じゃあ、今日は明太子にします。」 店:「すみませんねぇ。梅、人気があるんですよ。」 呑:「そんなのいいですよ。接客なんかしていた私が悪いんですから。明日はもっと早く来るようにします。」 店:「ハハハ~。仕事ほったらかしておにぎり買いに来ちゃダメですよ~!!」 次の日、またおにぎり購入タイムに接客が入ってしまい、その日は昆布にしました。 もちろん、大好きな『梅おにぎり』をGET出来なかったことは残念だったけれど、明太子や昆布も好きだし、だいたいおにぎりのことくらい気にもとめていませんでした。 それから数日間は無事『梅おにぎり』を連日GET。 一日目 呑:「あっ、あるある。」 店:「ありますよ~。はいどうぞ。」 二日目 呑:「あっ、今日もありますね。」 店:「ありますよ~。はいどうぞ。」 三日目 呑:「いつものください。」 たまたま売店で一緒になった同僚のTさんはビックリ!! T:「呑気のん兵衛さん、いつもので通じるんですか。すごいなぁ。」 店:「はい、いつものね。どうぞ。」 次の日 そろそろ梅にも飽きてきたので、今日は別のにしようと思い売店へ行くと。 店:「あっ、呑気のん兵衛さん。いつものやつ、キープしておいたのですよ。」 って、売店のお姉さん。 カウンターの下から私のために隠しておいた『梅おにぎり』を取り出して見せてくれた。 嘘っ!!って思ったけど、お姉さんのお心遣いを無にするのもいけないと思って、キープおにぎりを購入。 今から思えば、その時にはっきり言うべきだったのです。 「お心遣いありがとうございます。せっかくで申し訳ないのですが、今日は別のにします。」って。 なんでその一言が言えなかったんだろう。 それからすでに数週間。 毎日『梅おにぎり』。 時にはおにぎりは欲しくない日もあるけれど、きっと私のためにキープしてくれているのだろうなぁって思うと、どうしても買いに言ってしまう。 たかが『梅おにぎり』、されど『梅おにぎり』。 毎日『梅おにぎり』にかぶりつくたび、心がキュ~ンとするようになってきた。 誰にも言えなかった小さな悩み。 今日、たまたま良いチャンスがあって、同僚のNさんにそのことをうち明けた。 N:「それじゃあ、これから先いつまでも食べ続けなければならないじゃないですか。しかも毎日。」 呑:「そう。」 N:「頑張って下さいね~。」 人に聞いてもらったら、何だかスッキリして。 呑気のん兵衛は、心に決めました。 月曜日には、あの日言えなかった一言を絶対に言います。 売店のお姉さんの優しさを、このまま裏切り続けるのはもうやめます。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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