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2006.08.20
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米澤穂信『氷菓』
~角川文庫、2005年(再版)~

 神山高校一年生の俺―折木奉太郎に姉から届いた手紙。それは、今年部員が入らなければ廃部になってしまう古典部に入るよう促す手紙だった。やらなくていいことはやらない、やらなければならないことは手短に、がモットーの<省エネ>志向の奉太郎だが、姉の手紙で、古典部に入ることにする。ところがその年は、彼以外にも新入部員がいた。それが、名家の令嬢千反田えるだった。奉太郎の旧友にして好敵手、福部里志も入部することになる。
 千反田との出会いのときに起こった、千反田閉じこめ事件(わずか数分の間に、千反田がいた部室が何者かに鍵をかけられていた)、別の旧友であり図書当番の井原摩耶花が疑問に思った、毎週金曜日に学校史が借りられ当日返される「愛なき愛読書」事件など、身近な謎を折木はいくつか解決した。そこで、千反田に相談を持ちかけられる。33年前に古典部に所属していた千反田の伯父―関谷純から古典部の話を聞いたとき、彼女は泣いてしまったという。泣いてしまったのは覚えているが、何を聞いたのか思い出せない。自分は伯父から何を聞いたのか、考えてほしいというのだ。古典部の過去の文集など、資料を集める中で浮かび上がる、33年前に起こった事件。それがどんな事件だったのか、事件の中心人物であった関谷に何があったのか。そして、関谷が決めた古典部の文集『氷菓』のタイトルの意味は。新たに古典部に入部した井原も含め、古典部一同は謎解きに挑む。

 本作は米沢さんのデビュー作です。面白かったです。
 長編の中に、いくつか日常の謎系ミステリの短編が収められている構成、といえばよいでしょうか。連作短編集とはいえないと思います。
 なにが面白かったといって、33年前の事件の真相解決のために、四人の部員がそれぞれ資料を集め、分析し、仮説をたて、議論します。その過程が、まさに私もしているような研究の過程なのです。それこそ、彼らは過去の事件の復元をしようとしているのですから、歴史学をしている者としては面白く読みました。…自分の研究より実りがありそうだな、と苦笑しながらですが…。
 内容紹介でも少しふれましたが、千反田さんが部室に入ったときは鍵が開いていたのに、数分後に折木さんが来たときは部室に鍵がかかっていた、という事件など、日常の謎系ミステリの短編としても読める章も面白かったです。物語の流れとしては、<省エネ>志向の折木さんが、少しずつ変わっていく過程もよいですね。
 本作のシリーズとして、『愚者のエンドロール』があるのだそうです。また見かけたら読んでみたいと思います。

注)この記事は8月21日に書いています。





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Last updated  2008.03.23 15:39:37
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