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2007.02.14
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島田荘司『上高地の切り裂きジャック』
~原書房、2003年~

 御手洗潔シリーズの、二編の中編が収録されています。以下、いつものように内容紹介と感想を。

「上高地の切り裂きジャック」
 2000年8月、石岡のもとに里美から電話があった。蓮見刑事が、難解な事件を抱えており、御手洗の意見をぜひ聞きたいがために、石岡にも相談したいという。里美と蓮見の関係を邪推し、へこみながらも、石岡は事件の話を聞く。
 マスコミでも少し取り上げられていた、女優細川みどりが絞殺された事件であった。死亡推定時刻は8月3日午後、死体は8月8日に上高地で発見された。死体にはいくつもの不審な点があった。体内には男性の体液が残されていた。また、腹部は切り裂かれ、内臓が取り出されて空洞となったそこに、石が詰められていた。体液を残した男性―医学生の牧原信吾―には、3日午後には完全なアリバイがあった。
 また、細川は、3日午後に撮影現場の上高地を発ったはずだが、死体は上高地で発見されている。服装にも不審な点があった。石岡たちは、メールで御手洗に事件のあらましを伝えた。

 本格ミステリとしての魅力的な謎に、わくわくしながら読みました。蓮見刑事と里美さんの仲を邪推したり、里美さんの一言一言に反応する石岡さんに、ああ石岡さんだなぁと思いながら読みました(苦笑)。そう、「のんびり『自殺の心理学』を読み始めた」という一節になぜか笑ってしまいました…。「のんびり」読むようなものでは…??

「山手の幽霊」
 1990年4月。丹下警部が、御手洗・石岡のもとを訪れた。どうにも奇妙な事件を抱えているという。
 山手で、トンネルの開発をしたあたりのある家が問題の場所だった。現在、医学生の正木が住んでいるが、前の持ち主の一家は、二家族とも、家族を病気で失っていた。たたりなどという言葉も囁かれるその家で、正木自身は元気に暮らしていたが、異変がしたという。その家には、地下に核シェルターがあった。正木は、購入時にシェルターを封印し、使えないようにしたのだが、そこから異臭がした。シェルターに入れるようにして確認してみると、前の持ち主・大岡の死体があった。死後一ヶ月ほどしており、餓死していた。正木がシェルターを封印してから、誰も入れなかったはずのシェルターに死体があるのも不可解だが、さらには、正木自身も家を購入した後に大岡に会っていたり、大岡が器物損壊などで警察につかまっていることもあったのだった。
   *
 現場付近を通る根岸線の運転手の妻が、御手洗のもとを訪れた。夫が、雨の夜に終電を運行していると、トンネルで謎の光を見た。その後、正面ガラスに女がぶら下がってきたという。直後に周囲を確認したが、異変は何もない。運転手は、幼くして亡くなった自分の娘の幽霊だと思い、病に伏せっているという。

 こちらも、魅力的な謎ですね。大岡さんにしても、トンネルの女性にしても、幽霊を思わせる存在が出てきます。しかし御手洗さんも、少しでも情報開示していれば、捜査陣も混乱しないのでは…と思ったりもするのですが、そんな状態で話しても、作品世界では捜査陣が納得しない気もしたり…。

   *   *   *

 というんで、二編とも、特にメッセージ性が強い作品というよりは、ミステリとして面白い作品でした。表紙が不気味です…。





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Last updated  2007.02.14 10:11:40
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