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2007.05.31
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しゃべくり探偵
黒崎緑『しゃべくり探偵―ボケ・ホームズとツッコミ・ワトソンの冒険』
~創元推理文庫、1997年~

黒崎緑さんの、連作短編集です。一つ一つの短編がどんどんつながっていって、最終的には長編としても読めるかもしれません。では、内容紹介と感想を。

「その一 番犬騒動」守屋教授のイギリス文学研究のゼミで、夏休みのあいだイギリスに行くことになった。教授のすすめもあり、ゼミ旅行に参加することになった和戸は、参加費を稼ぐため、こちらも教授の人脈から紹介されたバイトをすることになった。それは、お金持ちの人の家の犬を朝と晩に散歩に連れて行くという内容だったが、3週間ほどで50万円の給料をもらえた。高額の給料も不思議だが、和戸が散歩をしているとき、彼をつけてくるような人物もいたという。
「その二 洋書騒動」無事、イギリス旅行に参加できた和戸。向こうでは、金持ちで教授に取り入ろうとしている日渡と、貧しいが研究のできる清沢の対立など、不穏な空気も流れたが、そんな中で、ついに事件が起こる。日渡が買った高価な洋書が紛失したのだった。日渡自身は、旅行のメンバーの誰かが盗んだのだという。
「その三 煙草騒動」大学での授業も終わり、ロンドン滞在も終わりに近づいた頃、お別れパーティーが催された。おいしい料理を楽しむ和戸たちだが、またも事件が発生。ロンドンに留学しており、留学生会館の助手のような立場にあった安土良が殺されたのだった。安土良は、普段煙草を吸わないが、発見されたとき、彼女の死体は煙草を手にしていた。その煙草は、和戸たちのメンバーの中にいるトラブルメーカーの高田のもので、高田は地元の警察から、犯人として疑われることになる。
「その四 分身騒動」なんとか帰国した和戸たち。けれど、メンバーの一人、鷲尾は、帰国後にノイローゼ気味になってしまった。彼は、自分がイギリスにいた間に、自分のアパートの付近を、自分がいたという話を、何人かの知人から聞いてしまったのだった。もう一人の自分―ドッペルゲンガーに会うと、死んでしまう。彼はそう考えて、ふさぎこんでしまっていた。

 こうした謎を、和戸くんが友人の保住くんに伝え、保住くんは話を聞くだけで事件を解決してしまう、というお話。第二話は、ファックスや、和戸くんの日記も登場しますが、その他の章は、基本的に和戸くんと保住くんの、漫才のかけあいのような会話だけで成り立っています(第四話は、他の人物の声も登場しますが…)。
 とても軽快なテンポで、さくさく読めました。ギャグなども、ふーんと読んだところもあるのですが、そういうギャグが案外後からきいてきたりして、楽しめました。なにがすごいって、しょうもない話だと軽く読んでいたところが、案外伏線になっていたりして、やられた、という気分になりました。 …それから、どっちかといえば和戸くんのツッコミの方が光っていました(笑)
 保住さんによる解決も、とても丁寧でした。事件を解く鍵になった要素を、一つ、二つと箇条書きのように挙げていき、それぞれについて和戸くんがあらためて補足のコメントをします。普段の会話の飛んでいる感じとは対照的に、こちらはとても丁寧でした(ボケも織り交ぜられますが)。
 いしいひさいちさんによる表紙の絵で、主人公の二人―ボケ・ホームズとツッコミ・ワトソンとは、中年のおっさんだと勝手に思いこんでいたのですが、実は二人は大学生でした…。





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Last updated  2007.12.13 11:00:21
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