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2007.11.10
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浦賀和宏『時の鳥籠』
~講談社ノベルス、1998年~

 浦賀和宏さんの二番目の長編です。『記憶の果て』のサイドストーリーですね。
 では、内容紹介と感想を。

ーーー

 救急救命センターの医師、甲斐祐介は、その日、二人の女性と出会う。一人は、心肺停止状態で運ばれてきた女性。もう一人は、彼女とは赤の他人だといいつつ、救急車を呼び、病院まで付き添ってきた高校生―安藤裕子だった。
 患者の容態は悪く、助かるとは思えなかったが、安藤裕子の冷たい視線への怒りから、甲斐は必死に患者の心臓マッサージをする。そして―15分以上心臓が止まっていたにもかかわらず、彼女は蘇生した。
 その後、10日間の昏睡状態から彼女が目覚めたとき、彼女は記憶を失っているようだった。麻薬か何かで記憶を失っているのではないか。警察も捜査に訪れ、同僚たちからもそういう疑いが強まる中、甲斐は彼女にひかれていた。そして、保険証も持っていない、身元も分からない彼女を引き取る。
 入院中に彼女が話していたある「夢」について、甲斐は自分のアパートで話を聞く。彼女―朝倉幸恵は、未来からやってきた少女だった。
 鳥籠の中に閉じこめられた一羽の小鳥。彼女は、父親によって、安藤裕子を救うために、自分が生まれる前の世界に送られてきたという。

ーーー

 大きな流れは、こうした、甲斐先生と朝倉さんの(恋愛)関係です。そこに、近い将来自分が死ぬことを知った安藤裕子と、甲斐先生の高校時代の友人で、血が好きな男性―ミヤノシンイチさんがからんできます。 物語は、基本的に、甲斐先生の視点にあわせた三人称、朝倉さんの視点にあわせた三人称、そして、ミヤノシンイチさんの一人称で語られていきます。

 本書は、広い意味では安藤直樹シリーズの一巻をなす物語ですが、特にはじめて本書を読んだときには ―シリーズということをよく知らなかったこともありますが―純粋に、『記憶の果て』のサイドストーリーだと思いました。一通りシリーズを読んだ今でも、『記憶の果て』と『時の鳥籠』は特別な位置にあるように思います。その後の作品が、ミステリ性を強めていく傾向にあるのに対して、この二冊はそれにとらわれない深みをもっているように思っています。タイトルも、この二冊は特に素敵だと思いますし。
 本書の副題―THE ENDLESS RETURNING―は、読了後に、とても深い印象を与えてくれます。表紙も素敵ですね。

 『記憶の果て』で、安藤直樹さんが「別の物語」と言っていた朝倉さんの物語。過去に戻るというSF的な設定ながら、とても考えさせてくれる物語でした。こちらも好きな作品です。

 そういえば、まったくの記憶違いがあったようです。私は『記憶の果て』を高校生の頃に読んだと思っていましたが(記事にはそう書きました)、最初に本書を読んだときの感想を読み返してみると、両者を読んだのはもう大学に入った後のことだったようです。記憶というのも実にふたしかですね…。
 なお、『記憶の果て』は2001年に文庫化されたのですが、その後のシリーズはいっこうに文庫化されていないようです。面白いのに…。最近の講談社ノベルスの巻末一覧でも、シリーズ最初の3冊の名前は見られません。面白いのに…。





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Last updated  2007.11.10 06:53:57
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