カテゴリ:本の感想(あ行の作家)
石崎幸二『復讐者の棺』 ~講談社ノベルス、2008年~ サラリーマンの石崎幸二さん、お嬢様学校・桜欄女子学院高校のミリアさん&ユリさんが活躍する、待望の最新刊です。前作『袋綴じ事件』から、なんと6年ぶりになるのですね! それでは、内容紹介と感想を。 ーーー 『袋綴じ事件』から3週間。しばらく学校にやってこない石崎は、果たしてどうしているのか…?ミリアとユリ、そして仁美が石崎のアパートで見つけたものとは…? * 翌週。石崎は、3人にファミレスでおごるはめになる。そこにやってきたのは、斉藤瞳刑事と、一人の男性。石崎の恋破れるか、とミリアたちは盛り上がるが、男性は、斉藤刑事に相談にやってきていた。 10年前。男性―辻野がはたらくスーパー社長が、何者かに惨殺された。辻野はその犯人(たち)のことをいまでも突き止めようとしており、その事件の担当をしていた斉藤にも、何度も相談にきているという。 亡くなった社長の弟が会社を継ぎ、いまでは大企業に成長。いまは、亡き社長の二人の娘の、どちらが社長を継ぐかが問題となっていた。カギは、孤島のレジャーランドの再建に成功するか、というところにあるようで…。 ミリアたちは、レジャーランドに関してアドバイスをするという口実で、島に遊びに行くことになる。ところがそこでは、連続殺人事件が起こる…。 ーーー このシリーズ最大のヘヴィーさだと思います。このシリーズには惨殺は似合わない…。 久々ということもあってか、地の文ってこんな感じだっけなと違和感も持ちながら読んだのですが、ミリアたちのボケトークは健在で、楽しかったです。でも事件の重さのせいか、純粋に笑いに徹したシーン(『長く短い呪文』の日本史トークや、『袋綴じ事件』の賭けみたいな)はほとんどなかったですね…。 今回は、キャラに見分けがつかないことを逆手にとった技(?)や冷凍みかんが良かったです。石崎さんはご自身も「ギャグの切れが悪い」と言っていますが、その分やけになった感じのセリフで笑わせてもらいました。 事件自体は、残酷な連続殺人を扱いながらも、リアリティのせいか、パズル的な印象が強かったですが、面白かったです。終盤の事件の整理のとき、3人で話しながら問題点をリストアップしていくシーンが良いですね(このシリーズの見せ場の一つですね)。 次回作も楽しみです。今度は笑いのシーンもふんだんだと良いなぁ…。 (2008/08/08読了)
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