カテゴリ:本の感想(や・ら・わ行の作家)
横溝正史『夜の黒豹』 ~角川文庫、1996年31版(1976年初版)~ 短編集『誘蛾灯』の表紙くらいあれな表紙ですが、面白いです。金田一耕助シリーズの長編です。 では、内容紹介と感想を。 ーーー 昭和35年(1960年)11月。ホテル女王のベルボーイ、山田三吉は8号室の異変に気付いた。うめき声に、ずっと流れる水の音。そして廊下まで水が流れてきたとき、三吉が部屋の中を確認すると、そこにはベッドに縛り付けられた女が。女の胸には、青いインキでトカゲが描かれていた…。 一週間後。ホテル竜宮で、同様の事件が発生。黒づくめの男とともに入室した女が殺されており、その胸にはトカゲが描かれていた。 金田一耕助は事件現場に同行し、この時点から事件に関わることになったが、その後も犯人の凶行は続く。山田三吉は何者かに車ではねられ、いままで被害者は夜の女であったが、今度は高校生の女の子が殺害される。女の子のいとこで、エログロ漫画家の丘朱之助は失踪しており…。 しかし金田一耕助は、事件の真相に肉薄していく。 ーーー 表紙はつまり、この事件の被害者の状況を描いているわけです。 現在の事件だけでも複雑なのに、事件関係者の過去の事件もからんできたりと、なかなか複雑な様相を見せます。特に面白かったのは、金田一さんが事件の疑問点をまとめ、等々力警部にサジェストするシーンでしょうか。終盤では、金田一シリーズにしては珍しい手法で犯人が追い詰められていきますが、ここもどきどきしながら読みました。 どうでもいいことですけれど、浜本刑事が(金田一さんも)、丘朱之助が漫画を描いている『週刊グロテスク』を読んでいるというのが面白かったです。 そして、いろんな作品でも書いていると思いますが、本作でも金田一さんがかなりかっこよかったです。 いろんなところでもまとめられていると思うのですが、個人的にも金田一さんの事件年表みたいなのを作ってみています。こうしてみると、1960年は『仮面舞踏会』 『白と黒』などなど、大事件をどんどん解決している年になるようですね。 (2008/08/22読了) *表紙画像は、横溝正史エンサイクロペディアさまからいただきました。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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