カテゴリ:本の感想(あ行の作家)
歌野晶午『ブードゥー・チャイルド』 ~角川文庫、2001年~ 歌野晶午さんの長編ミステリです。 これは面白かったです。 まずは、簡単に内容紹介を書いたうえで、あらためて感想を。 ーーー 僕には前世がある。そのときはチャーリーという名前で、二歳のときに、バロン・サムデイに殺されてしまった。どくろと鎌を持ち、シルクハットをかぶった悪魔に…。 * 僕―日下部晃士は、前世の記憶を消すことができなかった。そこで僕はホームページに、前世の記憶を書いてみる。自分のことを病気だという人、自分にも前世があるという人、やたら科学的な見解をくれる人―何人かの人々はコメントをくれたが、解決には向かわない。 ある夜、「現世」でも、僕の家族が悲劇に巻き込まれる前兆が起こる。それは、“キン”と名乗る女性からの電話だった。父の正隆と、自分の子供のことで話があるという。 その電話を受けた僕は、父の浮気か、と疑う。父に言い出せないまま、その後かかってきた電話で、相手からの呼び出しに応じてしまう。相手には会えないままに終わったが…。 翌日、母親が殺された。現場には、僕が幼い頃に何度も書いていた、「悪魔の紋章」のメモが落ちていた…。 事件後、隠し事をしているらしい父親も何者かに殴られて、意識を失ったままになってしまう。 僕は、義理の姉の麻衣とともに、事件の真相を求めて動き出す。 ーーー 主人公から消え去ることのない前世の記憶。バロン・サムデイという悪魔の存在。いかにも非現実的な世界が、現実的に解決されていく過程に、島田荘司さんの『ネジ式ザゼツキー』を読んだときと同じくらいの興奮を覚えました。突拍子もない状況が論理的に解明されていく、この手の話が私の好みだということもありますが…。 素敵な読書体験でした。 (2009/12/31読了)
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