カテゴリ:本の感想(や・ら・わ行の作家)
横溝正史『怪盗X・Y・Z』 ~角川文庫、1984年~ 横溝さんのジュヴナイル作品です。怪盗X・Y・Zが登場するお話が3話、収録されています。連作短編集、といった趣きですね。 殺しはせずに盗みをはたらく、「紳士怪盗」として有名になった怪盗X・Y・Z。彼は、犯行現場に「X・Y・Z」の文字を残すことから、そのように呼ばれています。 「第一話 消えた怪盗」では、画家のところに原稿を取りに行った、新日報社の探偵小僧こと御子柴進少年が、殺人事件に遭遇します。画家の家に行く途中で出会った謎の外国人、画家の家で画家になりすましていた謎の男、謎の女の影、そしてオルゴール……。そして事件現場には、「X・Y・Z」の文字が残されていたのでした。 「第二話 なぞの十円玉」では、野球観戦に行っていた御子柴少年が、奇妙な出来事に巻き込まれます。ジュースのおつりでもらった硬貨の中で、一枚、ギザギザのない十円玉が混じっていました(※今では、いわゆる「ギザ十」の方が珍しいですが)。その10円玉を交換しようというサングラスの男が現れ、御子柴少年はこの十円玉に興味を持ちます。さらに、十円玉を求める人物が御子柴少年の前に現れて…。 「第三話 大金塊」怪盗X・Y・Zの舞台を見に行った三津木俊助と御子柴少年は、幕後、座長で三津木と同窓の加納達人のもとを訪れます。そこに、加納のもとへかかってくる一本の電話。三津木は聞き逃しますが、少年は、電話の向こうから、「コロサレテイル」という声が発せられるのを聞いていたのでした。御子柴少年は、電話の後に出かけた加納を追いますが、袋小路で加納を見失ってしまい…。そして御子柴少年と三津木俊助は、殺人事件の謎に立ち向かうことになります。 表紙見返しのところの、「怪盗X・Y・Zとは敵か?味方か?」という言葉が、まさにそのとおりの物語です。 何作か横溝さんのジュヴナイル作品を読んできていますが、本作は純粋にわくわくして、特に私の好みの作品でした。 面白かったです。 ※表紙画像は、横溝正史エンサイクロペディア様からいただきました。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2011.11.18 22:22:30
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