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島田荘司『ゴーグル男の怪』 ~新潮社、2011年~ 島田荘司さんの、ノンシリーズの長編です。 もともと、NHK総合テレビで2011年8月5日に放送された「探偵Xからの挑戦状!」のために書かれた作品で、本書はドラマ版原稿から大幅に加筆された作品とのことです(ドラマは観ませんでした)。 それでは、簡単に内容紹介と感想を。 ーーー 子供の頃から、亀水の森によく通っていたぼく。ぼくはある日、その森でであった一人の男によって、人生を無茶苦茶にされてしまう。母子家庭で育ったぼくは、ある事件の日から、妹や母親との関係は壊れ、幻視や幻聴に悩まされるようになる。 長じてぼくは、亀水の森にできた住吉化研に勤めるようになる。 高速増殖炉に使うための燃料を作るのが仕事だったが、外注委託していた作業の運用は、実にずさんな状態だった。 そして、臨界事故が発生。作業にあたっていた二人が、後日、亡くなった。 * 煙草屋が3つも近くにあり、「煙草屋横町」と呼ばれる、福来市の町で、事件は起きた。 霧の深い夜、パトロールをしていた田中巡査は、ゴーグルをかけてすごいスピードで走っていく男を目撃した。男のゴーグルの中は、まるでただれているかのように目のまわりが赤かったように見えた。 その後、通りかかった煙草屋の前で、男に呼びかけられる。その煙草屋の主である老婆が殺されているというのだった。 * 事件の捜査にあたった砂越刑事たちは、いくつもの特徴的な事実に気付く。 事件現場にばらまかれていた、50本の煙草。老婆の死体の下に引かれていた、ピン札の五千円札。しかもその五千円札には、黄色のマーカーが引かれていた。 多額のタンス預金を持っていたという噂の老婆の部屋には物色されたあとがあり、金品などは盗まれたらしい。 一方、さらに調査を進めると、近くの残り2つの煙草屋からも、マーカーを引かれた五千円札が見つかった。ゴーグルをかけた男も、目撃されていた。 ゴーグル男は、ゴーグルをかけたまま、普通に買い物もしていたという。ちぐはぐな印象のゴーグル男の正体は…。 ーーー 砂越刑事たちが事件の謎に迫る視点の章と、「ぼく」の視点の章が混じり合った構成になっています。 「ぼく」の章は、おぞましい出来事もあり、不気味で、若干体調が悪い時に本書を読んでいたこともあり、少し気持ち悪くなりました。けれど、全体を通して読んだ後は、この視点の効果の大きさを感じました。 原発問題にふれているのも、まさに今というタイミングに発表され、また読んだからこそ、ずっと考えさせられました。 一方、砂越刑事の視点の章では、マーカーを引かれた五千円札、事件付近だけでなく、市内全域で目撃されているゴーグル男などなど、魅惑的な謎が多く、これぞ島田荘司さんといった感じでした。 やっぱり島田荘司さんの作品は面白い。そう安心できる作品で良かったです。 │<< 前日へ │翌日へ >> │一覧 │ 一番上に戻る │ |
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