カテゴリ:本の感想(あ行の作家)
歌野晶午『春から夏、やがて冬』 ~文春文庫、2014年~ 歌野晶午さんによる、ノンシリーズの長編作品です。 それでは、簡単に内容紹介と感想を。 ――― スーパーで保安責任者を務める平田は、ある万引き犯を前に、警察に突き出すのをやめた。その万引き犯―末長は、昭和60年生まれ。自分の娘と同じ生年だった。 公園で一人昼食をとっていると、彼女はしばしば声をかけてくるようになった。その姿が同僚に見られ、冷やかされたり、あらぬ疑いをかけられたりするようになる平田だが、彼は気にすることなく過ごしていた。 しかしある日、病院でとまどっている末長を目にしてから、二人の関わりが少しずつ深いものとなっていく。二人の心の闇は、解消されるのか…。 ――― 感想は、反転にしておきます。 (ここから) まず、あえて「ミステリ」の冠をかぶせる必要のないような、深い物語です。 そして私は、だれも幸せにならない物語だと感じました。平田さんは、そのように思うことで、はたして幸せなのか。末長さんも、はたしてその選択で幸せだったのか。なんともいえない気持ちになる読後感でした。 (ここまで) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2015.05.31 12:31:39
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