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あなたは納豆が好きだとします。昔は好きではなかった、というか食べることすらできなかった。食生活というのは習慣によって決定される部分が大きいですから、幼い頃から食べる習慣がないと、食わず嫌いのまま過ごしてしまうということはよくありますよね。でも東京に出て来て、次第に食生活も変わってきて、今では納豆が大好物になった。あったかいご飯に納豆さえあれば、まずまず幸せな気分になれる。あなたと納豆との間にはそういう良好な関係が築かれているとします。もしもあなたが納豆が嫌いで「あんな足の裏の臭いのするような食べ物は死ぬまで食べたくない」とお思いでしたら、なにか納豆に代わる食品を思い浮かべてください。別になんでもいいんです。
あなたは今ではほとんど毎日のように納豆を食べている。でもなかなか飽きない。おいしいだけでなく、栄養の面から見ても、健康面においても納豆の優秀さはあちこちで口にされています。おいしくて、栄養があって、健康によくて、しかも値段も安いとしたら、こんなにいいことはありませんよね。納豆好きがこうじて「私はなぜ納豆が好きなのか」と分析したりする人も出てくるかもしれません。自分でもひとつ納豆を作ってみようかなと思って、自作納豆にチャレンジする人もいるかもしれない。なかなかむずかしいでしょうけどね、手作り納豆というのは。どこまでが食べ頃で、どこからが腐ってるのかわかりにくいし。納豆作ってる人ってあんまり身近で聞いたことないですもんね。 あなたが納豆が好きな理由はあくまでも個人的なものです。そうですよね。世の中にはいろんな人がいて、納豆ファンクラブという組織を作って、あの納豆のルーツはここだ、とか、納豆のたれ一覧とか、納豆における最適の辛子の量の研究とか、マニアックな活動を行っている人たちがいるとも聞きました。でも、まあ、それは個人の自由です。別に他人に迷惑かけてるわけじゃないし、なにしろおいしいんだから、そういうことをしたくなる人の気持ちもまんざらわからないわけじゃありません。でも、私はただ単に納豆をあつあつのご飯にかけてぱくぱくと食べてればそれで満足です。納豆の研究書をひもとこうとか、納豆の成分を化学的に分析しようとかは考えません。あくまでも個人的に毎日の生活の中で、「えっと、今日は納豆が食べたいな」と思ったときに、スーパーに行って買ってきて食べる。それで十分です。他人がどんなふうに食べているかとか、どれだけの量を摂取しているかとか、どんなものを混ぜているかなんて気になりません。あなたは気になりますか。特に気にはなりませんよね。そんなこと。 納豆好きの中には「納豆は傷ついた心を癒す」と主張する人もいます。幼い時に虐待を受けて育ったその人は、親が大嫌いな納豆を食べることによって、少しずつ精神的に安定し、心の傷が癒えてきたというんですね。ふーん、そんなこともあるのかなあと私は思います。私ですか、いえ、ぜんぜんそんなこと感じたことないです。ただおいしいから食べてるだけ。納豆を食べるようになってから、生きる楽しみがほんの少し増えたかなという気はしますけどね。それ以前よりも生活がほんの少し楽しく、生きるのがほんの少し楽になったかもしれない。なによりも人生において好きなものが身近にあるっていいことじゃないですか。そうは思いませんか。 最近、スーパーに行くと、この納豆がよく売れているみたいなんですよ。売り場も広くなったし、大量に積み重ねられているのをよく目にするようになりました。他の食品に比べても売り上げはいいみたいですね。新製品がでたりすると、すぐに売り切れたりしてるみたいです。きっと納豆を作ったり、売ったりする人はお金が儲かってるでしょうね。でも、そんなこと、私にはぜんぜん関係ないですけど。 新聞で読んだんですけど、最近では外国でも売れているらしいんですよ、納豆が。え、知りませんでした?たしかにクセがあるし、そのまんま外国で食べるというのはむずかしいらしいんだけど、適当にその国の味覚にあわせてアレンジしたり、その国の食品と合わせたりすると、すごくおいしいんですって。中には「これこそ現代人の求めていた味覚である」とか「これぞ世界に冠たる普遍性をもった食品だ」とかいう人もいるそうなんです。いささかオーバーな気はしますけどね。でも、まあ、悪い気はしません。自分が好きなものを沢山の人がほめているというのは。だからといって、「どうだ、わかったか、オレさまは25年も前から納豆を毎日食っていたのだ、オレさまの味覚こそが世界標準を先取りしておったのだ」とか大言壮語する人もちょっとどうかと思いますけどね。だって、味覚ってあくまでも個人的な好みの世界でしょう。たくさんの人が好きだから、その味覚が正しいってもんじゃありませんよね。そう思いませんか。 この間、その納豆がついに世界でも有名な食品関係の賞をとったそうなんです。過去にその賞をとった食品は、その後もっと有名な賞をとったということでけっこう話題になりました。え、ごぞんじない。そうですか。 でも、そうなると同業者の人、たとえば豆腐屋さんなんかはあんまりおもしろくないのかもしれませんね。「ふん、あんなもの、人に媚びてたくさん売ろうと思ってるから売れるんだ。こころざしが低いんだよ、こころざしが。」とか、「そうよ、そうよ、ほんものはそんなにばかすか売れるようなもんじゃないわよ、やっぱり本物は高野豆腐よ。このじわーと染み出す滋味がわからなきゃ、大豆食品の神髄がわかったとはいえないわよね。」とか、いろんな声が聞こえてきます。まあ、やっかみとかねたみとかいう気持ちもあるんでしょうね。でも、ほんとうは豆腐だって、厚揚げだって、高野豆腐だって、それぞれの持ち味があるんだから、泰然としていればいいと思うんですけどね。納豆がどんなに売れようと気にすることないと思うんだけどな。少なくとも食べるほうとしては、そんなこと気にはなりませんよね。世界の納豆の売り上げ高とか、納豆が国際的賞を受賞したとかいうことは。ただ私はあったかいごはんに近所のスーパーで買ってきた納豆をかけてぱくぱく食べられればそれで満足なんです。けっこう奥が深いですよ、この納豆。 えっ、いつもどこの納豆食べてるのかって?おたくも納豆好きですね。そうでしょ。わかりますよー、顔見れば。実はね、私はもうかれこれ一年半近くほとんどこの納豆ばっかり食べてるんですよ。いや同じ商品というんじゃなくて、そのメーカーさんの作っている納豆ってことです。本格的なコクのあるやつから、気軽に食べられるライトなやつ、かわいいラベルの子ども向き、外国風味のちょっと変わったやつまでいろんなの作ってるんですよ、そこのメーカー。ぜんぜんあきないですよ。え、どこのメーカーか早く教えろって。どうしようかな、でも知ってると思いますよ。けっこう有名だから。しょうがないなあ、じゃあ、特別にお教えしましょう。 それはね、「ムラカミハルキ堂」っていうんですよ。 とってもおいしいですよ。でも、まあ、味覚はあくまでも個人的なものですけどね。ぱくぱく。 今日の宿題:よい子のみんなは、この文章の「納豆」を「ムラカミハルキ」にかえて、もう一度最初から読み直してみましょう。 ※これは「金の猿」さん(http://kin-saru.cocolog-nifty.com/)の真似です。よい子のみんなは無断で人の物真似をするのはやめましょうね。
私もその納豆大好きで、ずっとひとりでもくもくと食べていたのですが、分析している人を見て
私もこんなに好きなのだから、少しぐらい成分を調べてみようかしらなんて思ってみるのですが、 途中から添付されている醤油だの芥子だのが気になって「う~ん、塩気が効いてるねぇ」と 身体がスウィングしはじめて成分調べは忘れてしまいます。 好物はひとりで食べても良いけれど、それを好きな人と一緒に食べると これまた楽しいんですね。 「へへッ!これ美味しいねぇ」なんてね。 (2006.04.06 20:36:15)
acornさん
>好物はひとりで食べても良いけれど、それを好きな人と一緒に食べると >これまた楽しいんですね。 >「へへッ!これ美味しいねぇ」なんてね。 そうなんですよ。そして二人は細い納豆の糸で結ばれるわけですね。この納豆、なぜか別々の粒々を細い糸で結びつける不思議な作用があるみたいですね。ちょうどクールストラッティンのジャケットと島本さんの足をつなぐ細い糸のように。 (2006.04.06 21:30:56)
これは上手な例えですね!
読めば読むほど、うなずいてしまいます。 特に、25年の記述にはまっちゃいました。 あ、そうそう。もっと有名な賞について。 金さるは、平和賞に黒柳徹子嬢。 文学賞にハルキ・ムラカミ。 そのつながりで、一生に一度だけ、 『徹子の部屋』に村上さんが出演。 そんな日がくることを妄想しています、はい。。 (2006.04.06 21:52:02)
ノルウェイの森普及協会(会員番号1番♪) 金の猿さまへ
これは、これは。「金の猿」さま、じかじかのコメントありがとうございます。無断で「宿題ざます」ぱくってしまってすいませんです。最後どうやって結ぼうかと迷ってて、「あ、そうか」と思いついたものですから。でもハルキ・ムラカミは「ノーベル賞は脳が減るからイヤ」っておっしゃってるようですよ。さすが文豪、くだらなさのレベルが下々の者とはちょっとちがうみたいですね。感心しました。(2006.04.06 22:24:49) │<< 前へ │次へ >> │一覧 │コメントを書く │ 一番上に戻る │ |
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