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「再チャレンジ」とは何の謂ぞ… (そのほか)楽天ブログ 【ケータイで見る】 【ログイン】
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2006.10.01 楽天プロフィール Add to Google XML

「再チャレンジ」とは何の謂ぞ 政治について(54982)」
[ その他 ]    

「再チャレンジ政策」という文字を新聞の政治面で時折目にするようになった。なんでも安倍新総理の政策の眼目のひとつだそうである。「再チャレンジ」。私は深いため息をつく。

「多様な機会が与えられ、仮に失敗しても何度でも再挑戦が可能となる仕組みを政府全体で作っていくため、内閣官房長官を議長とし、関係省庁の局長級メンバーからなる「多様な機会のある社会」推進会議(「再チャレンジ推進会議」)が本年3月末に設置され、5月30日に中間取りまとめがなされました。(「再チャレンジ推進会議」についてのHPより)」

うーん、「再チャレンジ推進会議」という名称も十分すごいと思うが、その正式名称「『多様な機会のある社会』推進会議」というのもそれに輪をかけたすごさである。「機会のある」というのは状態を示すことばであり、「推進」というのは能動的な動きを示すことばだ。このふたつをくっつけるのはかなり特異な言語感覚といえる。

「多様な機会のある社会」を推進するというのは日本語としては変である。だって既に多様な機会をもった社会ができているのに、それをどこへ向かって押し進めていこうというのだろうか。せめて「多様な機会のある社会へ」推進委員会ならばなんとかつじつまがあうし、むしろ「多様な機会の創出」推進会議とするべきところではないだろうか。

これでは「正しい日本語力のある内閣」推進会議をまず作ったほうがよさそうだ。

こういう語感の背景には、メタルフレームをかけた3,40代あたりの霞ヶ関の役人の方々の顔が明滅しているように思える。ひょっとしたら、誰か偉い方が「多様な機会のある社会」推進会議というネーミングを作ってしまったので、直すに直せず、仕方なく「再チャレンジ推進会議」という略称を作ってお茶を濁そうとしたのかもしれない(これならば「再チャレンジ」という動作を推進するということで一応のつじつまはあっている)。せめて原案の作者が国家権力のトップでないことを願わずにはいられない。

それにしても「再チャレンジ」とは変なことばである。このことばの意味内容からして、これは現状において再チャレンジが不可能な社会が存在しているという前提のもとに発せられる表現であるはずだ。だから野党の政策スローガンとしていわれるのならばわかるのだが、現政権の官房長官、すなわち政府の広報官のトップであった人間が、「えっと、今の社会は一度こけたら二度と立ち上がれない社会になってますよー」と大声で言明するというのはかなりの問題発言ではないだろうか。それともこれは小泉政権への鋭い批判をこめた表現なのか。だとしたらずいぶん率直な物言いだとは思うのだけれど。

しかし、その正直さを認めたとしても、「さいちゃれんじ」という語感はなんとかならないものだろうか。このことばの音だけを聞くと、どういうイメージが頭の中に浮かぶだろう。

1 売れない漫才師の片割れの名前(「さいちゃ れんいち れんじ」の片方)

2 あやしげなサントリーのお茶の名称(中国西部の秘境から取り寄せた「西茶」を独自の焙煎製法で風味を純粋抽出、レンジでわずか三分温めるだけで、あの中国四千年のコクのある味わいがご自宅に。名づけて、「さいちゃ れんじ」。)

3 達成不可能な目標を掲げた教材セールスの売り文句(「40歳から英会話に再チャレンジ」、「数学嫌いなあなたにも、サルでもわかる微分積分、さあ、あなたも数学に再チャレンジだ」ーーいずれも目標が達成される確率は3%未満)

こんなところではないだろうか。これらに共通するのは、まず「軽さ」、そして「いかがわしさ」である。

そもそも「再挑戦」というれっきとした日本語があるのに、わざわざその一部だけを英語にして、木に竹をつぐように「再チャレンジ」などということばを使うのだから、そこにはそうするだけの理由があるはずである。

「挑戦」と「チャレンジ」の日本語における語感を比較すると、前者には「本気」が、後者には「一応挑戦はしてみるけれど」という「軽さ」が感じられる。

一度脱落した敗残者に形だけもう一度チャレンジする機会をお情けで与えてあげる。でも、たぶんそのチャレンジはうまくはいかない。しかたないよ、それはおまえに力がないだけなんだからさ。でも、やらせてやっただろう、「再チャレンジ」はよ。そういうエクスキューズの響きがここには感じとれる。お情けによる形だけの取りつくろいとしての「チャレンジ」。この政策が目指すものが、敗残者への慰撫、負けた痛みを押さえるための鎮痛剤の処方であるというのならば、それはそれでなかなか的確なネーミングといえるかもしれない。

まさか「挑戦=朝鮮」という語感を嫌ったわけではないですよね。「さいちょうせん」だとボクの大嫌いな「きたちょうせん」に似てるからやだ、とかいいませんよね、まさか。

仮にも日本国の中枢を担う人物に一方的な誹謗中傷を行うことがあってはならない。そう思って、その「再チャレンジ政策」の具体例がないかと調べてみる。農水省のHPにそれが書かれていた。少し紹介しよう。

「中間取りまとめにおける農林水産関係主要関連事項」(農水省HPより)

U・Iターンによる再チャレンジを支援するため、
○ 定年後の団塊世代が仕事で培った能力等を活かしながら田舎で再び活躍できる「人生2毛作」及び
○ 都会での生活、会社での人間関係に溶け込めない若者・女性が、田舎で新たな価値観と生活スタイルを確立し農林漁業で再チャレンジできる「スローライフ&ジョブ」
の実現に向けた施策を推進することとしています。

これはすごい。「人生二毛作」ですよ、「人生二毛作」。しかも「田舎で再び活躍できる」って。「田舎」はまずいんじゃないですかね。「都会での生活、会社での人間関係に溶け込めない若者・女性が」というのもずいぶんな言い方である。都会での生活不適応者は田舎に行け、と言ってるように思えるのだけど、ちがうかしら。「スローライフ&ジョブ」だって、「仕事のとろい奴は田舎行ってとろとろやってればいいんだよ」っていう意味かな。全体的に「再チャレンジ」の発想というのは、要するに「二軍落ち」ということなんですね。ふーん、なんだか勉強になったな。

ということで、「再チャレンジ」というのは、実は政策の内容に適応した的確なネーミングであるということが徐々に判明してまいりました。

でもそれならば、いっそ「美しい国へ」という新総理の著書のタイトルも変更したほうが政策に一貫性がでるのではないだろうか。

「ビューティフルなニッポンへ」 

あるいは、

「ビューティフル・ジャパン」

応援歌を作って、郷ひろみに唄ってもらうのもいいかもしれない。「じゃぱーん」の発音が耳に焼きついて、夜泣きする子どもが増えそうですけどね。



Last updated  2006.10.01 13:32:00
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