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縦柱と横柱のバランスとりま所

縦柱と横柱のバランスとりま所

第一章 組織

■1 組織って?

 人は、生まれてから家族という組織に属し、この時点から、

「組織」における生活が始まります。ここで、組織とは、責

任、権限および相互関係が取り決められている人々及び施設

の集まりを言います。


■2 個人と組織の関係(=誘因と貢献の関係)

 個人は自らの欲求を満たし、満足を得るために組織に参加す

るのであって、組織が提供する満足と引き換えに組織に貢献

するものであるといわれることがあります。

 ただし、これは企業組織を前提とした議論であり、人が「家

族」という組織に属する場合には、必ずしもこの関係は成り

立たないともいえます。


■3 欲求5段階説

 ところで、さまざまな欲求を持つ個人がどのような満足を組

織に求めるかの議論において、心理学者マズローの「欲求5

段階説」が使われることがあります。

 欲求5段階説とは、個人の欲求には階層性があり5段階に分類

できるとし、その5段階における低次の欲求が満足されれば

より高次の欲求を満足させるべく個人は行動するという説で

す。そして、5段階の階層は以下のように分類されます。


1.「生理的欲求」とは、個人が生きていくために必要なもの

に対する欲求をいいます。例えば、食べ物、睡眠などがあり

ます。

2.「安全の欲求」とは、雇用安定も含めた生活上の安全を求

める欲求をいいます。例えば、住居、衣食、金銭、精神的自

由に対するものがあります。

3.「社会的欲求」とは、周りの人との心のふれあいを求める

欲求をいいます。例えば、友情、愛、仲間意識、良好な人間

関係に対するものがあります。

4.「尊厳の欲求」とは、他人に尊敬されたい、名誉を得たい

といった欲求をいいます。

5.「自己実現の欲求」とは、自己の潜在的能力を最大限に発

揮したいという欲求をいいます。

 時代の変遷を見ますと、

 社会全体が貧しい時代には、金銭的な欲求を満たして「生理

的欲求」を刺激したり、雇用確保を図って「安全の欲求」を

刺激したりすることで個人を動機付けることができました。

社会がある程度豊かになってくると、生理的欲求や安全の欲

求は満足され、「社会的欲求」に訴えることで個人のインセ

ンティブを引き出そうとしました。

 さらに社会が豊かになってくると、「尊厳の欲求」や「自己

実現の欲求」を刺激して、仕事に対するやりがいや喜びを高

めるような方策が組織に必要となりました。


■4 組織成立のための条件

 組織が成立するためには、

第一に組織参加者全員に受け入れられる「共通の目的」があ

り、

第二に組織参加者全員に、共通目的達成のために「協働する

意欲」があり、

第三に組織参加者をつなぐ上下左右双方向の「コミュニケー

ション」があること、

が必要です。

 組織の共通目的や組織から提供される満足が組織参加者に伝

達され、各参加者の活動を結びつけて、システムとしての組

織の活動が可能となるのです。

 例えば、家族という「組織」の中では、よりよく生活したい

という「共通の目的」があって、家族のメンバー全員により

よく生活したいという共通の目的達成のために、妻が料理夫

が洗濯、子供が掃除したりして「協力して働こうという意欲

」があり、家族のメンバーをつなぐ親子兄弟双方向の(一方

的ではない)「コミュニケーション」があることが必要であ

る、と言えば、大まかなイメージがわいてくると思います。

 特に組織成立のためには、第三の「コミュニケーション」が

重要であるといわれることがあります。組織内でのコミュニ

ケーションの迅速さと正確さを確保するため、異なる部門間

で双方向の伝達経路を直結化させます。このことを組織機構

の渡り板と言います。


■5 組織設計における一般原則

 組織設計のためには、組織メンバーの役割を分担させ、各組

織メンバーにバランスのとれた権限と責任を与え、管理を行

う上位階層と日常的な業務を行う下位階層に分けることが必

要になります。そこから導かれるのが下記の5つの原則です



★権限・責任に関する原則

1、専門化の原則とは、組織活動の能率向上のためには役割を

分担して仕事を行う「分業」が重要であり、有効であるとい

う原則をいいます。

 最も典型的な例として職能別専門化がありますが、他には顧

客別専門化、地域別専門化という方法もあります。

2、権限・責任一致の原則とは、組織の各階層には「権限とそ

れに応じた責任」が与えられなければならないという原則を

いいます。

 仮に責任を伴わない権限を与えると無責任体質を引き起こし、

権限を伴わない責任を与えると個人に苦痛を与えモチベーシ

ョンを低下させます。そのため、特定の権限には同程度の責

任が伴うように権限と責任を一致させることが必要になりま

す。

★相互関係に関する原則

3、例外の原則とは、上位階層は例外的事項(例えば戦略的問題

の解決)に専念すべきであり、日常反復的な業務処理につい

ては下位階層に委譲すべき、という原則をいいます。

このような権限委譲は、委譲された側の活動の自由度を高め

創意工夫の余地を大きくし、彼らの挑戦意欲を刺激するという

効果をもちます。また、より現場に近い人間に権限委譲がなさ

れる場合には、現場の状況に即した合理的で迅速な意思決定を

しやすくするという効果ももちます。

4、統制の幅原則とは、1人の管理者が有効に指揮・監督でき

る部下の人数には一定の限界があるという経験則をいいます

。具体的にどの程度の数が望ましいかは、上司および部下の

能力、あるいは部下の仕事の内容により異なります。

5、命令一元化の原則とは、組織の秩序維持のため、各組織メ

ンバーはただ一人の上司からの命令により行動すべきとの原

則をいいます。




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