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miya1728さん
鵺の調教室
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官能小説  支配と服従  SM 

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2014/04/02
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テーマ:支配と服従(3332)







第2部 <戻された秩序>-2


ムシアもキリアも、午後から夕方にかけてが最も辛かった。
朝から辛いX字拘束のままにされているので、引き伸ばされている両手両脚がキリキリと痛み続けるのだった。
鞭による痛みは瞬間的なものであるが、長時間の拘束は一分一秒の割合で少しずつ肉体を苛み、じわじわと深く食い込んでくる種類の痛みである。
彼らは太陽の動きと共に僅かずつ移動する自身の影を見ながら、時間の経過を計っていた。
太陽に灼かれて汗が吹き出し、その流れる汗の塩分が打たれた鞭の腫れあがった傷口を舐めるように染み込んで、痛みを倍加していた。
痛みは肉体的なものだったが、精神的な屈辱感も同様に大きかった。
公開鞭打ちを見に来る人々の数はかなりのものだった。
その視線の中心で、恥辱的な格好で惨めに悲鳴を上げる状況全てを晒される精神的な苦痛というものは、肉体的苦痛を凌ぐ程だった。
長い地獄の一日が終わりかける夕方の薄暗い中に、篝火が炊かれ、最後の焼き鏝の準備も整えられていた。
一旦は少なくなった観客は夕方になるとまた集まり始めた。
これから最大の見ものが始まるからだった。
逃亡奴隷としての懲罰の焼き鏝は胸に所有者のイニシャルが刻まれる。
すなわち、ミリアンの「M」、ヌルガの「N」がそれぞれの胸に同時に刻まれることになっていた。
ただし、その刑はあまりに重く、失神するだけでなく、心臓発作で死亡してしまった例もあった。
そのため、刑を受ける二人には、予め麻酔が打たれ、苦痛が軽く済むようになっていた。
それでもその熱さと苦痛は耐えがたく、肉の焼ける煙が上がると共に、二人の口からは、絶叫が迸り出るのだった。
崩折れた二人の汗と傷だらけのボロ雑巾のような肉体は、拘束が解かれると、再び診療所へ運び込まれた。
そこで殺菌消毒を兼ねた、苦痛を軽くする麻酔クリームが患部に塗られ、介抱された。
懲罰が無事に済むと、翌朝まで、そのままベッドで休んでも良いという最大の慈悲が与えられたのである。
その懲罰をずっと見ていたミリアンの心配は別のところにあった。
「焼き鏝の痕は奴隷らしくて良いけど、綺麗に残してくれるのかしら?」
「ホッホホホッ、心配要らないわ。あとで二人とも私が綺麗に修復して、素敵なアクセサリーになるようにしてあげるから」
「そう、それならいいわ。あまりみっともないのなら、捨てなくちゃならないから」
「ホホッ! そんなもったいないことはしないわよ。あの奴隷たちをいじめるのは楽しいわ。二人とも素晴らしい刺激剤よ。結構暇を潰せるわ」
「まあ、ただ服従するだけの大人しくてつまらない奴隷よりはましだけどね」

そして、刑の行われた日の翌日の朝、診療所へ彼らを迎えに来たのは、ミリアンとヌルガの二人だった。
それまで自分の奴隷であるキリアをミリアンに任せていたヌルガも、刑を楽しんだだけでなく、キリアの状態を確認するためもあって、同行することにしたのである。
まだ夜が明けきらない内にやってきて、二人を車に乗せてミリアンの屋敷に連れ帰ることになった。
ムシアは疲れきっていたが、それでもミリアンに連れられて、不思議な安堵感を感じていた。
しかし、二度と逃亡する気をなくさせるという最後の調教プログラムが、はたしてムシアに向いていたのかどうかは分からない、とも考えていた。
ムシアは決して諦めない男だったからである。
だからといって、今回の失敗のこともあり、その気持ちを決して口に出すことはしまい、とも思っていた。
これから、再び、ミリアンの奴隷としての生活が始まることは当然覚悟していた。
従うことは大した苦痛ではない。
それが最も楽なことであり、生き延びるための唯一の方法であることも知っていた。
抗う勇気を持つことは難しく、苦痛に満ちたものである。
しかし、今は大人しくしていることにしていた。
彼は主であるミリアンの度量や強さを、確かに尊敬してはいた。
こうして迎えに来てくれることも有難かった。
しかし、彼が望んでいたのは、奴隷として服従することではなく、彼女の部下として扱われることだった。
それこそ、逃亡よりも強く希望していることだった。
無論、この世界ではそのような関係は不可能であることも分かっていた。
「それにしても…ムシア、お前はやっぱりバカだね」とミリアンが話し出した。
「…でも、バカな奴隷がいると楽しいわ。私も複雑な気持ちだったのよ。機会さえあれば、お前は逃げ出すことに躊躇しないとは思っていた。それは裏切りだけど、私にとっては、…機会があるのに、逃げる気力もない奴隷などは、それこそ生きている価値もないクズよ。まあ、逃げようなど微塵も思わない大人しい奴隷の方が扱いやすいといって、欲しがる者もいるけどね。私はそうじゃないわ。ほほほっ! だから、逃げてくれてことは、本当に嬉しかったわ。逃亡の罪は重いけど、晒し台の刑だけで済むから、死ぬことはないのだし、ね。…そう、だから、これからも、機会があれば、試しなさい。そのぐらいの気骨と反抗心があった方が、私にとっては、調教も楽しくできるということよ」
ミリアンは更に続けて聞いた。
「それで…ムシア、お前はまだ逃亡したいという気があるのかい?」
「…いいえ、もう懲りました」とムシアは嘘をついた。
「今回の調教は結構楽しかったでしょ? 少なくとも、いろいろと勉強になったはずよ。そのためにプリンセスに依頼したのだからね」
「はい、勉強になりました」
「キリアはどうなの?」
「私は…もともと服従することも奉仕することも苦ではありませんので…感謝の気持ちしかありません」
「本当にそうかねえ」とヌルガが懐疑的に言った。
「まあ、いい。…服従心が不足していると感じたら、すぐにまたプリンセスの収容所に送り込んでやるから覚悟しときな」
「それより、良いニュースをあげるわ」
ミリアンは二人の方を振り向いて、普段は見せない悪戯っぽい目で、微笑みかけた。
「ヌルガと私は、昨夜、よく話し合ったの。…これからお前たちは、私たちの夫婦奴隷にすることに決めたのよ。男同士の夫婦は普通ならおかしいけど、キリアのほとんどは女性だからね。あってもいいかな…なんてね、思ったのよ。…たとえ、奴隷だって、その方が自然のようだし、奉仕も合理的、効果的に行えるからね。…どうかしら? お前達にその気がなければ止すけどね」
ムシアはキリアと顔を見合わせてお互いに頷いた。
「私たちは、もちろん、二人を一緒にいさせていただくことについては感謝します。でも、夫婦奴隷というのは聞いたことがありませんが…」
「そう、今までそんなものは認めてなかったわ。奴隷は男に決まっているしね。でも、私は改革派で新しいことを試すのが好きなの。それが保守的で安穏派の連邦制とはうまくいかない理由でもあるのだけどね。だからこそ、ここでも多様性が必要な時だから、実験的に制度化を決めたの。…あとで届ける予定だけど、島の管理局の許可も得られると思うわ。ヌルガと私は、改めてお前たちを共有することになるのよ。どんな風に弄ぶかは、まだ検討中だけどね。私たちを楽しませてくれるとは思うけど、期待に背くようなら、また最調教するだけよ。だけど…。あまりてこずらせるようなら、捨ててしまうかもしれないわ。それは覚悟しておくことね。ほほほっ」
しかし、ミリアンの最後の笑いは二人には届いていなかった。
彼女の話が長かったためか、ムシアもキリアも、ミリアンの話を最後まで聞いてはいなかった。
彼らは疲労と安堵感に満たされたまま、後部座席兼荷台の上で重なり合って眠ってしまっていた。(了)



ご愛読有難うございました。
この物語はここで終了です。

この後も、アマゾネス島が存続するのか、
存続するとすれば、どのように発展していくのか、
ムシアとキリアは、ミリアンとヌルガの愛玩物として、
さらなる凌辱を受けながらも、
夫婦奴隷として幸せに暮らして行けるのか?

それらは、読者の想像力にお任せして、
私は別の未完の小説に取り組むつもりでおります。

ご意見、ご感想などいただけましたら幸いです。鵺







最終更新日  2014/04/02 04:04:28 PM
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2014/03/20






第2部 <戻された秩序>-1


疲労で倒れたとはいえ、二人は危険な状態というほどではなかった。
それでも、脱水症状や栄養失調が認められたので、診療所に運ばれ、点滴を受けて、三日間は安静にさせられた。
その内に、強制的に体力を取り戻させられた彼らは、島の奴隷にとっては約束事の懲罰を受けることになった。
二人は体力が戻ったと思われる翌日の朝、診療所から全裸のまま、首環を引かれて、晒し台のある、街の中央広場に連れられていった。
懲罰は他の奴隷たちの見せしめとしての意味もある公開懲罰である。
それも、衆人環視のもとに行われる公開晒し台上の鞭打ち刑だった。
そのため、街の中央広場には、常にギロチン形の拘束具が置かれていて、それは晒し台に置かれる最も象徴的な拘束具としての意味も持っていた。
そこに首と左右の手をそれぞれ穴から出すように固定されて、突き出した尻への鞭打ち刑が一般的だったからである。
しかし、ミリアンはその拘束具より、より惨めで恥辱的な刑罰を与えたかったので、ギロチン形の拘束具を一旦片付けさせ、その代わりに、門形の拘束台を用意させた。
地面より一メートルほど高い、かつ広い晒し台の上に、二個の門形磔台が並べて置かれることになった。
それぞれの門柱の中央には低いパイプ柱が取り付けられていた。パイプ柱の前後にはU型のアームが載っている。
晒し者になる二人は各々手足をX字に伸ばして門柱の上下端の枷具に繋がれて拘束された。
彼らの全裸の肉体の隅々までが街の人々に披露された。
さらに、股間の下に位置する伸縮自在のパイプ柱が伸ばされ、前後のU字アームが股間を締め付けるように調節された。前のU字は男性器をより露出するように押し上げ、後ろのU字は尻の谷間を押し広げながら食い入るまで押し上げられた。
それによって、彼らのアナルの全容も露出されるのである。
そのアナルには周囲の目にも分かるよう、オレンジ色の目立つプラグが挿入された。
そして、彼らの局部には、できるだけ長く観客の目を楽しませるために、ミリアンの得意とする「ホットクリーム」で硬く膨張させられていた。。
その日は朝から夕方まで、彼らは一日中X字拘束のままで晒されることになる。
朝、昼、夕方に、それぞれ百回の鞭打ちが行われる予定だった。
そして、最後には、逃亡罪に適用される焼き鏝の刑罰もあった。
朝は観衆の数が少なかったが、昼には、多くの観衆が本格的な晒し台を取り囲んで、処刑を観賞した。
夕方には、さらに人が集まり、滅多に見られない焼き鏝という残酷な刑罰を好奇な目で眺めようという群集で一杯になっていた。
元々、「晒し台」という懲罰の慣習は、その昔、欧州と呼ばれる地域で、罪人を晒しものにするために欧米で使われた道具だと言われている。
人通りの多い広場や交差点などに設置し、その際、その罪を詳細に記してあるプラカードを近くに置いた。
この刑罰は普通、数時間続けられたという。
この島では、その古い習慣を参考にした上で行われるが、厳しい刑罰として用いられるというよりは、もっぱら性的嗜好を満足させるショーとしての役割が強かった。
晒し刑で厳重に拘束するのは、逃亡を防いだり肉体的苦痛を与えることよりも、無防備で無様な姿を晒すことで精神的苦痛を与えることを目的としていた。
顔や下半身が無防備になることを利用して、見せしめとしての恥辱と共に、物を投げつけられたりの、さらなる辱めを与えることも可能だった。
それらのことは、この島の都市デザインを請け負ったヌルガが、はるか昔の「中世の欧州」を参考にしているとミリアンに語っていた。
都市の中央に設けられた「晒し台」はその象徴だという。
我儘な奴隷や酷い粗相をした奴隷は、そこで多くの人の前に晒されて辱められながら、懲罰を受けなければならない規則があったという。
そう語っていたヌルガも、ミリアンと共に、広場で行われる晒し刑罰を鑑賞に来ていた。
今回は、特に逞しい大男と男性である象徴をぶら下げた美少女という特異な組み合わせである。
そのもの珍しさもあって、その催しが行われるという情報は街中の隅々まで流されていた。
刑の執行が始まり、最初の百回の鞭打ちは本格的な厳しいものだった。
逃亡罪の宣告を受けた二人の雄奴隷たちの悲鳴も、百回ずつ同時に聞くことが出来た。
ムシアには特に厳しく鞭が打たれたが、キリアにはそれに耐えるだけの精神力がないだろうからと、手加減した鞭が振るわれた。
それは少女のような可憐さゆえに情を掛けているのではない。あまりに厳しい鞭の苦痛に失神してしまったり、失禁されたのでは、ショーにならないと判断されたからである。
焼き鏝の際には、目隠しと去る具桑が噛まされることを予測して、ムシアはキリアに謝った。
「済まない。俺のせいで、こんなことになって…」
「いいのよ、私は一緒に晒されて嬉しいの。それに私にとっては、辱めを受けることそのものが、どのように辛くても、同時にそれが悦びでもあるのよ。こんな風にされることは昔からの憧れだったの。あなたには分からないかもしれないけど…」
そう言い終わらない内に鞭が飛んできた。
「しゃべるんじゃないよ」という執行ミストレスの叱咤である。
会話は厳禁だったからである。
二人にもそれは分かっていたが、その懲罰も覚悟の上で、ムシアはキリアに話し掛け、そして、キリアもそれに応えたのである。










最終更新日  2014/03/20 01:59:53 PM
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2014/03/09
テーマ:支配と服従(3332)






第2部 <希望への脱出>-3


嵐が去った喜びをムシアはキリアに告げた。
彼女は嵐のさなか、ボートの内側の手摺に必死にしがみついていた。
そして、今もそのままの格好だったが、ムシアの声を受けて、ようやく手摺を離してその場に座り込んだ。
彼は彼女を抱いて、そのまま床に倒れ込み、疲れ果てた身体を横たえた。
ムシアの目が覚めたのは、今度はキリアの喜びの声だった。
「ほら、見て、ムシア! 島が…島が見えるわ!」
痛む身体を引きずるように起こして彼の目に入ったのは、晴れ渡った青空の下にはっきりと映る緑の島影だった。

その頃、ミリアンは再びプリンセスのハウスにいた。
ミリアンがシャワーを浴びていると、後ろからプリンセスが抱き付いてきた。
「駄目よ、ちゃんとシャワーを浴びてから。ベッドの中でゆっくりできるんだから」
「待ちきれないわ」
「私の言うことが聞けないの?」
「…でも、はい、お姉さま、ベッドでお待ちします」
それから、しばらくもしない内に、ミリアンがバスルームから出てきた。
バスタオル一枚を身体に巻きつけて、プリンセスの待つベッドへ行き、その端に腰掛けて言った。
「それにしても、あなたも随分残酷な人ね」
「残酷って?」
「奴隷たちのことよ。まだ生きているのかしら?」
「あら、そんなこと、気になさっていたんですか? 残酷さにおいては、お姉様程ではありませんわ」
「サメに食べられるか、嵐で遭難するか、それでなくても、ちゃんと戻って来られるの?」
「大丈夫ですよ。ちゃんと天候を見ています。酷い嵐ではないし、潮流に乗れば、必ず帰らざるを得ない潮流のコースの上にいるはずです。きちんと計算の上で逃がしたんですからね」
「お前の計算だから、危ないのよ」
「それに…そのくらい乗り越えて生き残れなければ、お姉さまの奴隷でいる資格もありませんわ」
「ホホホッ! 言うわね。それはそうだけど…」
「そして、結局は元に戻ってしまうという絶望感を味わうのです。一旦希望を見出しただけに、その衝撃は激しいはずです」
「確かに、その絶望感に耐えられるだけの精神力を育てることと、希望がないことをきちんと認識させる必要性は認めるわ。でも…」
「それに、彼らも最後の自由を楽しんでいるはずですわ。最後の慈悲ですけどね。ほほほっ」
そして、プリンセスの携帯受信機が鳴った。
彼女が取って、「ああ、そう。分かったわ。ご苦労様」と応えた。
「海岸に見晴らせている部下から連絡が来たわ。奴隷たちがもうすぐ着く予定だって」
「そう? ほとんど予定時間通りね。…では、行ってあげなくてはね。…ほら、急いで支度しなさい」
「はいはい。…全く、私よりも奴隷たちの方が大事なんだから」
「当たり前よ。死んだら許さないわ。あれだけのものは滅多に手に入らないんだから」

やがて、ボートは潮流に乗ったまま、その島に近づいていった。
生い茂る木々の手前に砂浜があるのを確認すると、ムシアは櫂を使って、ボートを浜に近づけて行った。
見たところ、建物や道路や人の姿もなく、文明の影は僅かも感じられない無人島のように思えた。
その時、ボートが暗礁に乗り上げて動かなくなった。
島はすぐ手の届きそうな目の前にった。
ムシアは仕方なく、ボートを捨て、キリアの手を取って、水の中を島の浜辺に向かった。
幸い水深は足が着くぐらいだったので、歩いて進むことができた。
その時、背後で動きがあった。振り向くと、鮫が群がって彼らに迫っているのが分かった。
その時、銃声が聞こえた。
ムシアは軍人であったときの習性から、その瞬間、反射的に逃げ場を探しながら身構えた。
しかし、銃が狙ったのは、彼らではなく、背後の鮫に対してだと悟った。
鮫の群れから彼らを救ったのは、ミリアンだった。
彼女は部下の一人から銃身の長い狙撃銃を借りて、鮫を撃った。
それは見事に二人の奴隷に今にも襲い掛かろうとする一頭の眉間を打ち抜いていた。
その他の鮫たちは、血の臭いを嗅ぎつけ、撃たれて血の噴き出す哀れな一頭に群がっていった。
背後で起こっていることを理解したムシアは、キリアを脇に抱いて、その隙に急いで浜に走った。
その彼に向かって、別の一頭が襲い掛かろうとしたが、それもミリアンが見事に打ち抜いた。
そして、二人は無事に浜に上がることが出来た。

彼はキリアの手を取り、脇に手を回し、抱くようにして歩いた。
疲れきった肉体に最後の力を込めて、次第に高くなる浜辺を一歩一歩上がっていった。
彼女を抱いたまま、引きずるようにして歩いたが、水辺から離れた、波が寄せて来ない場所まで来ると、彼女を抱いたまま、その場に倒れ込んだ。
朦朧とした意識の中でムシアの頭を誰かが蹴っているのを感じた。
その痛みで目が覚め、顔を上げ、自分のいる状況を知るまでに数秒掛かった。
そう、確か、辿り着いたのは無人島だ、それなのに、誰かに救われた記憶があった。
それは矛盾したことだと彼は朦朧とした頭の中で考えていた。
そして、顔を上げた彼の目に入ったのは、見覚えのある赤いヒールだった。
鮫からの恐怖から逃れられたものの、目の前に立っている女性たちを見て、再び眩暈を感じていた。
自由を得たと思い込んでいた彼を待っていたのは、完全な絶望そのものだった。
そこで彼らを待っていたのは、プリンセスとミリアンだったからである。
「遅かったわね。ほほほ…ここの激しい潮流を知っている者は、いつかはここに戻り、この浜に辿り着くことは、この島に長くいれば、誰でも知っているわ。それにボートには発信機も付いているから、お前達の居所は常に分かっていたのよ」とプリンセスが言った。
「それにしても、危なかったわね。ここの海岸は、特に鮫が多いので有名なの」と言うミリアンの声も聞こえた。
「お姉さまの銃の腕がなまっていたら、鮫の餌になっていたところよ。感謝しなさい」
数秒かかったが、疲労と衝撃を抑えて、ムシアがゆっくりと言葉を吐き出した。
「…なるほど、それは感謝するべきだろうな。しかし、…ああ、全ては計算済みで、…俺たちはお前達の掌の上で遊んでいただけだったとは…。しかし、どうしてだ?」とムシアは言いながら、全ての状況を一瞬に理解して、衝撃を受けたように首を振った。
「…どうして、そんなことをしたのかって? これはお前達へのご褒美、仮の自由を与えてあげたのよ。たっぷり楽しんだでしょ? でも、実は、これが最後の調教プログラムだったのよ。お前が常に脱出しようと企んでいるのは分かっていたわ。お前のような意志の硬い危険分子は、目を見れば分かるわ。でも、脱出がいかに難しいかは、勉強になったでしょ? 島を取り巻いている激しい潮流、人食い鮫の大群、あらゆる秘密の箇所に備えている追尾発信装置や監視カメラもそうね。お前達の漂流生活は宇宙衛星からの映像でずっと見ていたわ。もう分かったでしょ。僅かな自由と引き換えに得たものは、大きいはずよ。島からの脱出は完全に不可能であるという事実よ。良く分かったでしょ? それが確かな真実であることをね。でも、実際に体験してみなければそれを信じない愚かな奴隷もいるから、一度はきちんと教えあげなければ、立派な奴隷として生きる道も開けないでしょうからね。それが私たちの慈悲深い愛情よ」
「ちくしょうめ」とムシアが罵りながら、ミリアンを睨んだ。
「おやおや、言葉遣いが昔に戻っているわね。そろそろ自分達の立場を理解しなさい。まあ、今日はまだ疲れきって、ショックから立ち直れないのでしょうからね。許してあげるけど。…明日もそんな口を効いていたら、厳しい懲罰は覚悟するのね。…ああ、それから、もちろん、…奴隷の裏切りや逃亡は大罪だから、その点についての慈悲は与えられないわ。これから厳しい懲罰が待っていることぐらいは覚悟しておいてね」とミリアンは冷たく言い放った。
「いいじゃないの、言葉遣いぐらいは」とプリンセスが彼らを庇うように言った。
「頑張って、死なずにここまで辿り着いたんだから。それに…これから受けるのは、かなり厳しい懲罰よ。私たちも楽しめるじゃない。…ほほほっ! だから、この調教コースは楽しいのよ。がっかりする奴隷たちの表情はとても素敵!この調教コースは最高よ。これからも続けましょうね。ねえ、お姉様。…ほほほっ!」
しかし、すでに虫の息のキリアや、タフなムシアでさえも、彼女の最後の言葉を聞くか聞かない内に、最後の力を失い、その場に倒れ込んでいた。









最終更新日  2014/03/09 02:13:04 PM
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